日薬は7月7日の定例記者会見で、日本薬剤師研修センターと合同で行う、健康サポート薬局に係る研修の実施方法について明らかにしています。(→関連記事)
健康サポート薬局研修について
(日本薬剤師会定例記者会見 2016.07.07)
http://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2016/07/160707_4.pdf
研修項目 | 時間数 | 研修の実施方法 | |
---|---|---|---|
技能習得型研修(集合研修) | 健康サポート薬局の基本理念 | 1 | 【健康サポート薬局のための多職種連携研修会】 (研修会A)4時間分 ※都道府県薬剤師会にて実施→研修標準プログラム |
地域包括ケアシスデムにおける多職種連携と薬剤師の対応(注:自らが勤務する薬局が所在する地域の地域包括ケアシステム係る研修を受講すること) | 3 | ||
薬局利用者の状態把握と対応 | 4 | 【健康サポートのための薬剤師の対応研修会】 (研修会B)4時間分 ※都道府県薬剤師会にて実施→研修標準プログラム |
|
知識習得型研修 | 地域住民の健康維持・増進 | 2 | e-ラーニング22時間分 ※日本薬剤師会が実施 (8月下旬開始予定)
|
要指導医薬品等概説 | 8 | ||
健康食品、食品 | 2 | ||
禁煙支援 | 2 | ||
認知症対策 | 1 | ||
感染対策 | 2 | ||
衛生用品、介護用品等 | 1 | ||
薬物乱用防止 | 1 | ||
公衆衛生 | 1 | ||
地域包括ケアシステムにおける先進的な取組事例 | 1 | ||
コミュニケーションカの向上 | 1 | ||
合計30時間 |
受講者は、研修会A・Bとe-ラーニングをそれぞれ受講し、受講証明書を取得(3通) →日本薬剤師研修センターに申請(5年以上の薬局での実務経験(履歴書)を確認)→研修修了証が送付 →都道府県知事等へ必要書類とともに届出 の流れになるそうです、(→リンク)
またいくつか留意点があります。
- 本研修は、薬剤師の認定制度ではなく、薬局が健康サポート薬局として届出を行うにあたっての人的資質要件であり、基本的には、近いうちに届出を行 う見込み・意欲のある薬局に勤務する薬剤師が対象
- 「地域包括ケアシステムにおける現状と薬剤師の対応」は、厚労省実施要領にて「自らが勤務等する薬局が所在する地域の研修を受講すること」とされているので、研修会Aについては、他県の研修を受講することは想定していない。(研修会Bは他県受講も可)
- 受講証明書には、有効期限を設けられる。有効期限を過ぎた受講証明書による研修修了証発行申請は受け付けない
- 研修修了証の有効期限は発行から6年間とし、修了証に有効期限が明記される
- 同一の研修実施機関の研修課程を全て受講しなければ、研修修了証は発行されないことから、たとえ研修内容が同一・類似であったとしても、他の実施機関が行う研修の受講では、修了証は発行されない。よって、研修会は都道府県薬剤師会のもの、eラーニングは日本薬剤師会のものを受講する必要がある。
研修実施機関として、名乗りを挙げている保険薬局協会でも同様のプログラムの検討を発表していますが、日薬が行う研修と、こういった機関で受けた研修との混合での申請は認められないということです
健康サポート薬局薬剤師研修「集合研修プログラム」 (日本保険薬局協会)
http://www.nippon-pa.org/h-support/
カリキュラム
http://www.nippon-pa.org/h-support/curriculum.pdf
スケジュール案(予定)
http://www.nippon-pa.org/h-support/program.pdf
保険薬局協会の会員向けになっていて、カリキュラムも加盟企業の協力で作られ、終了証も協会で発行するようです。
個人的には、今回の研修は生涯学習とは異なると考えるので、複数の研修実施機関を認める必要があったのか疑問に思っています。お互いに協力し合って、統一したものにできなかったのでしょうか? 下手をすると現場の薬剤師をバラバラにさせてしまう可能性もあるのではないかと危惧しています。
また、10月から申請受付ということもあり、スケジュール的にもかなりタイトになっています。具体的な研修内容が明らかでないのに、なぜこんなに急ぐ必要があるのか疑問です。誰のための制度化なのか改めて考えさせられます。
【ブログ更新しました】 継続企業の豆知識 Kaeマネジメント代表取締役 駒形和哉 https://t.co/8pZOh80D8t
— Kaeマネジメント (@kaemanagement) 2016年7月10日
すでに、一部の都道県では技能習得型研修が始まっていますが、こういった状況もあり、受講者が殺到して混乱している地域もあるようです。(年齢制限とかもし出たらどうしよう)
関連情報:TOPICS
2016.02.15 健康サポート薬局に係る研修実施要綱(通知)
7月11日13:45更新
2016年07月11日 02:34 投稿
日薬が上記をまとめたものをWEBにアップしています。
受講証明書の有効期限は3年間だそうです。
【日薬】
日本薬剤師会・日本薬剤師研修センターが行う「健康サポート薬局研修」について
→リンク (→e-ランニング・サイト)
元記事やツイートでもふれましたが、7月10日の東京都をはじめ、研修会には受講者が殺到、また各地で、受講制限なども行われています。
このため日薬は、都道府県会長協議会で、「本当にやれる薬局だけに手を挙げてもらいたい」と、異例の要請を行ったそうです。
確かに、2年後の調剤報酬改定で、基準調剤加算の施設基準に健康サポート薬局が入るのではないかとの臆測から、経営者から受講しろというケースもあるかと思いますが、すべての参加希望者が、改定をにらんで受講希望するわけではないと思います。
今回の研修は、薬局が健康サポート薬局として届出を行うにあたっての人的資質要件ではありますが、かかりつけ薬剤師としての役割を果たしたいとして純粋に受講しようとする人を閉ざすのもどうかと思います。
在宅要件がクリアされていないなどですぐに申請できない薬局もあるはずです、そういう薬局は要件を満たしてから参加しろということなのでしょうか? 受講証明書の有効期限を3年にすることも疑問があります。
今回の研修内容は、本来であれば、かかりつけ薬剤師指導料を算定する薬剤師に必要な内容だと個人的には思っていますので、研修会は多くの薬剤師が受講できる状況にすべきではないかと思っています。
やはり、この研修内容と実施方法を考えた人たち(→TOPICS 2016.06.24)が、いかに現場を知らないかということなのでしょう。
そして、厚労省や日薬がこの実施方法に疑問を持たずに、まずは制度化ありきで強引にすすめていることが問題ではないでしょうか?
下記記事が気になり、WEBでファイルを探していたのですが、神奈川県薬HPでようやく見つけました。(現在の勤務地外で受講した人もいるはず。日薬はこういうものはHPでアップしたくないのかも)
健康サポート薬局に係る研修について(その11)
(健康サポート薬局に係る研修と同等と考えられる研修【研修会B】 に関する受講証明書の発行について)
(日薬2016.7.20・神奈川県薬WEBサイト)
http://www.kpa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2016/07/b1900e3f77bbcd5f85df4c20db7a0933.pdf
すでに独自の「健康サポート薬局」制度を行っているところなどの道府県独自の事業と思われるものや、支部単位での研修も認められていますが、東京や大阪など該当となる研修がない都府県がいくつかあります。たまたま参加した人はラッキーということになるのでしょうか。
一方、研修会の中には、4年前まで遡ってOKというものもあります。
受講証明書の有効期限は3年間と設定されるいるのにどうなんでしょうね。(チョッピリ不公平感)