地域薬局や地域薬剤師の役割が問われるこの頃ですが、各国で出されているビジョン(将来像・展望)、関連論文をリストアップしました。(随時追加します)
日本では、薬歴の一括管理や24時間対応、在宅など日本独自に定義された「医薬分業」の理解をとりつけるため、どうしても保険調剤業務に力点が置かれがちですが、海外ではPublic HealthやスイッチOTCの活用を中心としたセルフメディケーションの支援など、日本でこれから進めようとしている「健康サポート機能」的な業務にも期待されていることが伺えます。
1.保健省などの公的機関が作成したもの
国名 | 報告書等名 | 概要他 |
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英国 | A Vision for Pharmacy in the new NHS (英国保健省 2003.07.01)→本文 |
2000年に示された3つの課題を踏まえて作成されたもの。病院薬剤師の役割についても言及 |
Choosing health through pharmacy〜A programme for pharmaceutical public health 2005-2015 (2005.04.01 英国保健省)→本文 |
当時衝撃を受けた英国保健省のレポート。国家戦略として薬局を公衆衛生(public health)分野で積極的に活用することが記され、現在の新たな地域薬局の業務へとつながっていると言える。11年を経過し、どこまでこれが実現しているか検証すると興味深い | |
Pharmacy in England: building on strengths – delivering the future (2008.04.03 英国保健省) |
軽度の疾患(meiner ailment)の管理や健康増進、慢性疾患の管理は薬剤師が行い、地域薬局は“healthy living centres”としてGPの相補的な役割を担うべきとした白書。薬剤師が果たすべき役割などを具体化し、行動計画まで示した。(→TOPICS 2008.04.05) | |
The vision for NHS Community Pharmacies (PSNC 2013.08)
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次の4項目を推進すべきとした
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Community Pharmacy Forward View (PSNC 2016.08) |
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Community Pharmacy- helping provide better quality and resilient urgent care(ver.2) (2014.11.06 NHS England) |
関連記事(→リンク) | |
Community pharmacy A blueprint for better health (2011.02 Pharmacy Voice) |
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豪州 | Inquiry into Community Pharmacy in Victoria (2014.10 Legal and Social Issues Legislation Committee) |
豪ビクトリア州議会がまとめた報告書。 17の勧告がある関連記事(→リンク) |
NZ | Pharmacy Action Plan 2016 to 2020 (2016.6.3)
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2015年10月におこなわれた草案に対するパブコメ(→リンク)による意見が多く取り入れてている。次の4項目がかかげられており、日本のように薬歴管理や在宅といった記載はあまりない。
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日本 | 患者のための薬局ビジョン(2015.10.23) | 関連記事(→TOPICS 2015.10.23) |
健康サポート薬局 (2016.02.12 告示) |
関連記事(→TOPICS 2016.06.24) | |
薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究 (厚生労働科学研究 H25-27年) |
2.薬剤師会などの職能団体が作成したもの
報告書等名 | 国名 | 概要他 |
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Developing pharmacy practice a focus on patient care (2006.11 WHO/FIP) |
薬局業務をめぐる時代背景と薬局業務の変貌を示すと共に、ファーマシューティカルケアの実践法や、文献の読み方などのエビデンスに基づいた情報の収集法の解説が盛り込まれ、新しい時代の薬剤師の役割を明確化
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Vision 2020 (2010.09 FIP Community Pharmacy Section)
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国際薬剤師・薬学連合(FIP:International Pharmaceutical Federation)の2010年会で採択されたもの。3つの戦略的目的を定め、次の4つの戦術的アプローチを掲げた
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THE VISION FOR PHARMACY Optimal drug therapy outcomes for Canadians through patient-centred care (2008.6 Blueprint for Pharmacy) |
カナダ | カナダ薬剤師会関連ページ→リンク |
European Community Pharmacy Blueprint (2012.11 PEGU,The Pharmaceutical Group of the European Union) |
EU | 次の4つのModern community pharmacy practice を掲げた
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Pharmacy 2030: A vision for Community Pharmacy in Europe (PGEU 2019.04.19) |
各国の取り組み事例も紹介している。 | |
The Roadmap ~The Strategic Direction for Community Pharmacy (2010.05 the Pharmacy Guild of Australia) |
豪州 | 業界団体?がまとめた報告
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Community Pharmacy 2025 (2018.10 the Pharmacy Guild of Australia) |
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Building upon pharmacists’ practice in Australia A vision for the profession (2014.06 Pharmaceutical Society of Australia) (リンク切れ) |
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Pharmacists in 2023 (2018.09 Pharmaceutical Society of Australia)→本文・プレスリリース |
各分野ごとに、2023年までの11の行動計画を示した(→THE ACTIONS AT A GLANCE) | |
Apotheke 2030 (ABDA 2014)→本文(Google翻訳) |
ドイツ | 高齢化や多剤処方など、ドイツが抱える2030年問題に対応すべく、ドイツ薬剤師連盟がまとめた、薬剤供給の展望 |
NOW OR NEVER: shaping pharmacy for the future (2013.11 Royal Pharmaceutical Society) |
英国 | 英国王立薬剤師会がまとめたビジョン。 「今でしょ。薬局の将来像を作るのは」的なもの。患者向けリーフも。薬剤師やテクニシャンの居宅訪問?というのもある |
Future Pharmacy Practice in Ireland- Meeting Patients’ Needs (2016.11 Pharmaceutical Society of Ireland.) |
アイルランド | |
Vision for community pharmacy in Ireland (2018.03 IRISH PHARMACY UNION) |
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薬剤師の将来ビジョン (2013.4 日本薬剤師会) |
日本 |
3.文献・学会発表
2019年6月23日 更新
2016年07月18日 01:56 投稿