世界で広がる地域薬局での予防接種（FIPレポート）

　アルゼンチンで開催されたFIPの年次総会に合わせて、注目のレポートが公開されています。

Community pharmacies have the potential to vaccinate at least one in eight people right now, FIP says
（FIP 2016.08.27）
http://fip.org/www/index.php?page=latest_news&news=newsitem&newsitem=229

An overview of current pharmacy impact on immunisation:A global report
http://fip.org/files/fip/publications/FIP_report_on_Immunisation.pdf

　タイトルの通り、地域薬局や（地域）薬剤師などによって行われているワクチン接種に関する実態調査の結果で、「ついにこういうレポートが出たか」という思いです。

　この調査は、FIP加盟国（137の国と地域）を中心に、回答が得られた日本を含むアジア、欧州、北南米など世界45か国を調査結果をまとめたもので、 13か国で薬剤師によるワクチン投与が認められているそうです（→一覧表）

薬剤師のみ可：
アルゼンチン、コスタ・リカ、アイルランド、ニュージーランド
薬剤師その他医療職が可：
豪州、カナダ、デンマーク、フィリピン、ポルトガル、南アフリカ、スイス、英国、米国
（参考~薬剤師以外の医療職が可：ボリビア、コンゴ、フィンランド、アイスランド、レバノン、オランダ、パキスタン）

　また、回答のあった71％（日本を含む32か国）では、リフーレットなどを用いた予防接種に関する啓発活動を地域薬局で行っているとしています。（日本は本当に積極的にやっているのかなあ？）

　また、レポートでは、11か国（アルゼンチン、豪州、ベルギー、仏、アイルランド、フィリピン、ポルトガル、南アフリカ、スイス、英国、米国）の薬局におけるワクチン投与に関する事例研究（条件やレーニングの実際などの現状）も詳しく紹介されています。（仏は、予防接種啓発の取組の紹介）

　アクセス面から、地域薬局は予防接種の啓発だけではなく、実際の投与が行われる場として、すでに世界的には認識されつつあることを知っていることも必要です。（日本が名を連ねるのはいつのことだろう）

関連記事：TOPICS
　2012.05.19　薬学生が行うインフルエンザ予防接種（加・米）
　2012.09.06　インフルエンザワクチンとトリメトプリムの再分類（NZ）
　2012.09.22　インフルエンザ予防接種も薬局ビジネス（米国）
　2013.09.14　全米ドラッグチェーンでは年間625万人への予防接種が実施

参考：
Pharmacists could potentially vaccinate one in eight people in the world, new data suggest
（AJP 2016.08.29）
https://ajp.com.au/news/pharmacies-vaccinate-one-eight-report/
Community pharmacies could provide vaccines across the globe, says FIP
（PJ Online 2016.09.09）
http://www.pharmaceutical-journal.com/news-and-analysis/news/community-pharmacies-could-provide-vaccines-across-the-globe-says-fip/20201664.article

Pharmacist vaccination plays vital role in boosting global health outcomes https://t.co/e8XXrzXBE1 pic.twitter.com/V6fh8ADSRP

— Pharmacy Guild (@PharmGuildAus) 2016年8月30日

海外で広がる「薬局における予防接種」についてのレポートです。
日本が医師に業務を集中させ、薬剤師を医師に従属させる傾向にあることについて、理由は多く挙げられるでしょうが、それを脇に置いたとしても、効率の悪い医療制度は大きな問題です。 https://t.co/BuDqaRnTMM

— 高橋 秀和 (@chihayaflu) 2016年8月30日

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2016年09月11日 00:46 投稿