既にご存知かと思いますが、今年から11月は、薬剤耐性(AMR)に係る全国的な普及啓発活動を推進するための「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」に設定されています。
薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議の開催及び
薬剤耐性(AMR)対策推進月間(11月)の設定について
(内閣官房・国際感染症対策調整室 2016.10.4)
http://www.cas.go.jp/jp/houdou/161004amr.html
この設定を受け、11月1日には、第1回の薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議が開催され、(構成員→リンク・薬剤師は構成員に入っていない)
第1回 薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議
(首相官邸WEB・平成28年11月1日開催)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/amr_taisaku/dai1/index.html
会議は現状の確認を各組織・団体等の取組が紹介されていますが、とりわけ構成員が示した現状への危機感が目に留まります。
医療機関における抗菌薬適正使用の啓発
(具芳明 東北大学病院総合感染症科講師)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/amr_taisaku/dai1/siryou2-6.pdf
医療の賢い選択キャンペーン
(徳田 安春 地域医療機能推進機構本部顧問)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/amr_taisaku/dai1/siryou2-7.pdf
抗菌薬使用の啓発のポイント~小児科医の立場から~
(宮入烈 国立成育医療研究センター感染症科医長)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/amr_taisaku/dai1/siryou2-8.pdf
内閣官房・厚生労働省とYahoo!ニュースは共同で次のようなWEB意識調査を実施しています
【感染症対策】「抗菌薬(抗生物質)は、風邪やインフルエンザに効果がないって知ってる?」薬剤耐性(AMR)に関する設問を掲載しています。ぜひ投票をお願いします!(「Yahoo!ニュース意識調査」にリンク)https://t.co/uMPVAx874h pic.twitter.com/vZEHl67FkI
— 内閣官房 (@Naikakukanbo) 2016年10月4日
【感染症対策】「『薬剤耐性』知ってる?」薬剤耐性(AMR)に関する設問を掲載しています。ぜひ投票をお願いします!(「Yahoo!ニュース意識調査」にリンク)https://t.co/KpIubHE7PS pic.twitter.com/7aiR8sft6e — 内閣官房 (@Naikakukanbo) 2016年10月20日
【感染症対策】「抗菌薬(抗生物質)の適切な使用 気を付けている?」薬剤耐性(AMR)に関する設問を掲載しています。ぜひ投票をお願いします!(「Yahoo!ニュース意識調査」にリンク)https://t.co/x2U74SIcNB
— 内閣官房 (@Naikakukanbo) 2016年11月10日
こういった現状が、示されているのにもかかわらず、でてきた取り組みは、SNSでの情報発信や講演会などが中心で、正直なところ、普及啓発になるのかなと思っています
薬剤耐性(AMR)対策推進月間及び今後の普及啓発の取組
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/amr_taisaku/dai1/siryou3.pdf
徳光・木佐の知りたいニッポン!~薬剤耐性を防ぐ いま私たちができること – 政府インターネットテレビ https://t.co/z5wXLF3XRi 抗菌薬は医師の指示通り、決められた期間、決められた量を服用する — Save ABx Japan (@AAD_Japan) 2016年11月11日
ちなみに日薬では、
- 抗菌薬の適正使用に係わる患者へ向けての啓発
- 日本薬剤師会生涯学習支援システムにおいて「薬剤耐性(AMR)を抑制するためのe-ラーニング資材」の作成・提供
を行うとしていますが、今だまだ具体的な動きは…..
薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動への賛同団体における取組一覧
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/amr_taisaku/dai1/siryou2-9.pdf
せっかく、薬剤耐性(AMR)対策推進月間なのに、SNS以外で国民に直接訴えるとりくみは行わないようです。下記のツイートには同意です。厚労省や内閣官房は、医師会や学術団体から苦言が出るのを恐れて、独自の情報発信をしないのでしょう。外部に丸投げの感が否めません。
いやだから抗菌薬の適正利用推進にはまず「医師医療機関に風邪に抗菌薬処方すんな」と指導する前に「国民に風邪に抗菌薬は効かねえんだよ」と指導した方が早いと思うぞ
— かずくり (@kazu_clinica) 2016年11月12日
一方で独自の情報を発信する取り組みも行われています。
抗菌薬を「正しく使う」ために知っておきたいこと(東京都立小児総合医療センター) https://t.co/M4lpKCpJhs #AntibioticResistance — Save ABx Japan (@AAD_Japan) 2016年11月12日
これまでも紹介していますが、抗菌薬を適正使用するという取り組みは、2008年11月18日を European Antibiotic Awareness Day として取り組みを開始したのが最初で、米国の2008年から行われていた“Get Smart About Antibiotic Week” とのタイアップが行われ、今では、Antibiotic Awareness Weekとして全世界的な取り組みとなっています。(ようやく日本でも追いついたに過ぎない)
各国では、国の機関や民間団体による独自の情報発信も行い、啓発の資材なども提供しています。(本来なら日本でもこの程度のサイトを開設すべき)
World Antibiotic Awareness Week 2016
14-20 November 2016
(WHO)
http://www.who.int/antimicrobial-resistance/events/world-antibiotic-awareness-week-2016/en/
European Antibiotic Awareness Day(ECDC)
http://ecdc.europa.eu/en/EAAD/Pages/Home.aspx
Antibiotic Guardian(英国)
http://antibioticguardian.com/
Get Smart About Antibiotics Week(米CDC)
http://www.cdc.gov/getsmart/week/overview.html
http://www.cdc.gov/getsmart/community/index.html
Antibiotic Awareness Week 2016(豪NPS MEDICINEWISE)
http://www.nps.org.au/about-us/what-we-do/campaigns-events/antibiotic-awareness-week
Antibiotic Awareness Week 14-20 November 2016
ANTIBIOTICS: HANDLE WITH CARE (豪州ACSQHC)
https://www.safetyandquality.gov.au/our-work/healthcare-associated-infection/antimicrobial-stewardship/antibiotic-awareness-week/
Antibiotic Awareness Week in Canada
http://nccid.ca/antibiotic-awareness/
英国では、業界団体コラボによるポスターも今年は作成されています。
PSNC、RPSなどの共同のポスター
日本では間違ってもこういうものはつくれないAsk your pharmacist for advice about your symptomshttps://t.co/R6j8LnrEsT
— 小嶋 慎二@アポネット (@kojima_aponet) 2016年11月5日
今月はまだ半月あるので、今後どのような情報が発信されるか注目しましょう。
関連情報:
2015.10.21 抗菌薬啓発週間2015(Antibiotic Awareness Week)
2014.11.24 抗菌薬適正使用のための啓発リーフレットICS
2012.11.12 Antibiotic Awareness Week 2012
2011.11.19 ANTIBIOTIC AWARENESS WEEK
2010.11.18 Antibiotic Awareness Day の輪が広がる
2009.11.19 European Antibiotic Awareness Day 2009
2008.11.08 European Antibiotic Awareness Day
(上記記事のリンク先は削除まだは更新されています)
2016年11月13日 12:53 投稿
既にご存知かと思いますが、12月5日に、薬剤耐性(AMR)アクションプランに定められた対策のうち、厚生労働省が所管する専門的・技術的事項について調査審議を行う小委員会が開催されています。
厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性(AMR)に関する小委員会
(厚労省2016.12.5開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000146302.html
資料の注目なのは、現場での適正使用を推進するための手引書の作成にとりかかることです。
抗菌薬適正使用の手引き(第一版)のコンセプト(案)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000146296.pdf
上記によれば、この手引きは「臨床の現場において、抗菌薬の適正使用を推進する上で重要な項目について、一般診療の場での実践的な対応を中心に解説する」目的で作成され、
主な対象者
・手引きの利用者:外来で診療に携わる医療従事者
・手引きの対象患者:基礎疾患のない患者
となるそうです。
各論の他に、下記のような総論も盛り込まれるとのことです。
総論
・抗菌薬適正使用とは
・抗菌薬使用の適応病態
・抗菌薬の不適正使用とは
・推奨事項
具体的な内容については作業部会が検討することになっていて、19日に第1回会合が行われています。
【日刊薬業行政情報資料】
第1回抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会
(厚労省 2016.12.19 開催)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226796317874
資料は、小委員会と同じような内容になっていますが、小委員会で出された意見が追記されています。
抗菌薬適正使用の手引きのコンセプト(案)に関する小委員会でのご意見
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226796317874#page=30
12月5日に開催された薬剤耐性(AMR)に関する小委員会と、12月19日に開催された第1回抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会の議事録がアップされています
厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性(AMR)に関する小委員会
(厚労省2016.12.5開催)
議事録:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152757.html
資料:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000146302.html
第1回抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会
(厚労省2016.12.19開催)
議事録:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152765.html
資料:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000148254.html