緊急避妊薬・トリプタン・PPI・ドネペジルなどにスイッチ化の要望(Update)

 TOPICS 2016.08.06 で、 セルフメディケーションの推進に向け、スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望を受け付けを行うページを厚労省が開設したことを紹介しましたが、11月30日までに受け付けた、要望成分が9日公表されています。(2017年6月27日追記:赤字は、2016年12月1日~2016年5月31日受け付け分)

 スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望募集で提出された要望について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144557.html

  • 緊急避妊薬(レボノルゲストレル)
  • 偏頭痛治療薬(リザトリプタン安息香酸塩 、リザトリプタン安息香酸塩、エレトリプタン臭化水素酸塩 、ナラトリプタン塩酸塩、ゾルミトリプタン )
  • PPI・胸焼け(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、ラベプラゾール
  • ニキビ治療薬(クリンダマイシンリン酸エステル )
  • 湿疹治療薬(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)
  • ドライアイなど(ヒアルロン酸ナトリウム)
  • 胃炎など(レバミビド)
  • 関節痛など(メロキシカム)
  • 目の殺菌・消毒・洗浄(ヨウ素・ポリビニルアルコール )
  • アレルギー点鼻(フルチカゾンプロピオン酸エステル)
  • 角化症、乾癬 (カルシボトリオール)
  • アレルギー点眼(レボカバスチン塩酸塩)
  • 認知症における認知症症状の進行抑制(ドネペジル塩酸塩 、ガランタミン臭化水素酸塩、メマンチン塩酸塩、リバスチグミン)

 TOPICS 2016.05.05 で紹介したとおり、これらの多くは既に海外でスイッチされており、妥当な要望だと思います。

 このうち、緊急避妊薬(薬価未収載)は、その価格とアクセスの悪さという点でも問題が多く(TOPICS 2011.09.17)、最も必要性が高いと思います。特に海外の方が多く訪れる2020年の東京五輪までにスイッチ化しておかないと、さまざまな弊害が出るものと思われます。

 また、トリプタン製剤も偏頭痛で悩む方には必要な時にすぐ入手できるような仕組みをつくるべきだと思います。

 PPIについては、長期使用によるさまざまなリスク増などの指摘がありますが、短期使用であれば、必要なものだと思います。

 ヒアルロン酸については、関係学会からもスイッチを容認する意見が出されており(TOPICS 201.08.15)、必要性を考えればすぐにスイッチできる状況にあるといえるでしょう。(5年前のことなのに、メーカーは消極的ということにもなるかな)

 個人的には、抗肥満薬(オルリスタット)、抗ウイルス薬(内服)、ピランテルなども、要望があってもよかったのではないかと思っています。

 今後、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議で検討が行われることになりますが、さらなる生活者の声に耳を傾け、生活者の視点で検討をしていただければと思います。

医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku.html?tid=346305

スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望募集について
(厚労省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000127534.html

関連情報:TOPICS
  2016.08.06 スイッチOTCの候補成分の要望の募集が開始(厚労省)
  2016.05.05 海外におけるスイッチOTCの状況(2016)
  2015.05.30 現場・生活者のニーズも~スイッチ化の新たなスキーム
  2015.05.24 一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究
  2014.09.30 NZ、豪、英、蘭、米、日本、スイッチが進んでいるのは?
  2013.09.08 2020年東京五輪開催までに医薬関係者が考えておきたいこと
  2011.09.17 ノルレボ錠、認知の課題は価格とアクセス+啓蒙
  2011.08.15 スイッチ候補10成分についての関係学会の意見
  2006.05.19 スマトリプタンがOTCにスイッチ(英国)
  

2017年6月27日更新(タイトルにも追記)


2016年12月09日 19:58 投稿

コメントが4つあります

  1. (管理人の判断で、コメントに対応する記事に移動させて頂きました)

    スイッチ化の第一弾が公表・・・。
    生活習慣病薬入らず。わかりきったこと。
    医者が手放すわけがない。
    美味しい処方薬だから・・・。
    週刊誌では血圧の異常値について、日本は世界各国からかけ離れた非常識な異常値を作り上げて、降圧剤漬けにしている。そういう批判の記事を出していた。
    降圧剤を服用する必要性の年代別の目標値まで明記している。そして、専門医のコメントでも、今の日本の医師による降圧治療のあり方は異常だという内容も・・・。
    こんな記事を読むと、降圧剤は処方薬として必要というよりは患者を多く作り上げることができて、金儲けの大きな柱になる。
    だから、処方薬としてとどめなければならないと思ってしまう。
    第一弾が部会でどう決定されるか。
    医者どもが、やいやい言うだろう。
    患者をろくろく治しもせず、自分たちの金儲けのために処方薬を減らすことに猛反対で・・・。
    あの日医の幹部どもは患者をどれだけ治しているのだろうか。
    日医のための利益確保にスイッチ化に反対しているだけ。
    医者というよりは、利権政治家だ・・・。
    高齢者の運転免許返上と一緒で、医師免許を返上させたほうが良いのでは・・・。
    まあ、市販薬でも経営者の金儲けだけで、薬剤師の独立権を与えなければ、スイッチ薬が健全に育つわけがないが。これが続く限り、医者に偉そうにはいえない。
    日薬は日医の腰巾着だし・・・。
    厚労省もスイッチ候補薬を公表して、とりあえずはパフォーマンス・・・。
    これからも、医者の顔色を伺いながら、大した品目もスイッチ化せず、だらだら行きますよ・・・。
    一番腹立つのは、かつてのスイッチ化特集で鼻息荒くかきたてた執筆者たち。
    これら輩は保身主義者たちで、旗色が悪くなると沈黙する動物たちだ・・・。
    真のスイッチ化推進者はどんな環境であっても、持論(正論)をしっかりと主張し続ける信念が必要だ・・・・。やはり、小物たちが多い・・・。

  2. (管理人の判断で、コメントに対応する記事に移動させて頂きました)

    薬価引き下げ、高齢者負担引き上げなど等、医療薬剤費削減対策をいろいろと講じているようだが・・・。
    大切なことは、もう一度、原点に立ち戻り、処方薬、スイッチ薬、それ以外のOTC薬というそれぞれの医薬品のあるべき姿を再検討して、制度改革を踏まえたうえで、そこに、しっかりとした線引きを行うべきだ・・・。
    皆保険で処方するのにふさわしい処方薬とは何か、スイッチ化するのにふさわしい品目はどれか、しっかりと考えるべきではないか・・・。
    日医や製薬メーカー、それを取り巻く者たちの利害優先の議論では、国民にとって正当な真の医療改革はできない・・・。

  3. (順番は前後しますが、管理人の判断で、コメントに対応する記事に移動させて頂きました)

    厚労省のスイッチ報告で認知症薬が候補に上がっているらしい。
    要望は国民か、薬剤師か、ありえないことだが、メーカー、誰かはわからない。
    しかし、そのテーブルに、具体的薬名をもって上がってきたことには驚く。
    少子高齢化社会、認知症の患者はさらに増えていくだろう。
    医者の処方なしに、指導薬で薬剤師がこの薬を扱うことが妥当かどうかだ。
    この薬は所謂、脳内アセチルコリンの活性化を促し、記憶力や注意力、つまり
    認知力の改善に一過性の効果は見込めるかもしれない。でも、根本的な効果はない。
    むしろ、副作用として、興奮的、暴力的になるという副作用が報告されている。
    投与量も難しい。(一時期、メーカーの用法用量で問題になったが・・・。)
    認知症患者への臨床的な観察経過も重要視される。
    店頭の薬剤師が消費者と向き合い、この薬を取り扱うことにはあまりにも限界を感じる。
    基本的にはOTC薬スイッチ化には賛成なのだが、突然このような薬剤がテーブルに乗ることを、また、厚労省が公表することに違和感を持っている。
    確かに、パブリック要望の結果を受けて公表したものかもしれないが、であれば、今の医者の認知症処方のあまりにも有益性の無さに、国民は辟易して、皮肉混じりにそれならスイッチ化開放したほうがマシだと叫びたかったのか。
    医者はこの結果を真摯に受け止めるべき。つまり、もう、医者は処方薬をもって患者に信頼されていない証だということを。
    上述とともに、今、盛んに書き立てられている週刊誌での医者や処方薬批判が、このような認知症薬のスイッチ要望結果を招いてしまったとも言える・・・。
    この報告を受けて、厚労省で実際に検討会議が開かれたということを聞いたことがない。
    ただ、要望を受け付けた結果報告として厚労省が公表しただけのものか。
    その先の厚労省の検討工程が見えてこない・・・。
    穿ってみれば、このような認知症薬をテーブルに上げて、いかに、要望を受けた結果(この程度の要望結果なので・・・。)が、まだまだ、検討を要する段階に来ていないことを厚労省はアピールしたかったのか。
    どうも、厚労省の意図がはっきりしない。
    ただ、言えることは医者にかかるまえに、店頭の薬剤師としてスイッチ薬として、必要とする品目は多く眠っている。それを医者は自分たちの既得権だけで阻止しているだけ。
    こんな認知症薬をテーブルに載せるのではなく、もっと、OTC薬スイッチ化にふさわしい品目の検討を真剣に考えなければならない。
    いつまでも、医師のわがままを聞いて、スイッチ化を停滞させるべきではない。
    安倍政権、これからの政権がしなければならないことは、医者や製薬メーカーの不健全な既得権をぶっ壊して、消費者(生活者)のためになる健全なるOTC薬スイッチ化を急ぐべきだろう。
    薬剤師も医者の下請け保健調剤だけで金稼ぎをするという姑息な手段を取るだけではなく、生活者と医者の橋渡し役の中で、OTC薬現場での臨床薬剤師としてするべき職域を新たに創り出さなければならない。そのためには、OTC薬スイッチ化を増やした中で、それを金儲けにするのではなく、それによって生活者が真に恩恵を受けるような薬剤師を目指すべきだ・・・・・・・。
    スイッチ薬(既存のOTC薬も含めて)を通して、生活者と真摯に向き合う、それが、かかりつけ薬剤師の技能を高めることにもつながる・・・。

  4. アポネット 小嶋

    2017年6月22日開催の第2回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会(→資料リンク)に合わせて、要望成分が追加発表されているので元記事で更新しました。