既に報じられていますが、23日、第2回 高齢者医薬品適正使用検討会が開催されています。
第2回 高齢者医薬品適正使用検討会
(厚労省 2017.06.23開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169161.html
今回は構成員や参考人から、高齢者特有の薬物動態や有害事象例、高齢者への多剤処方の現状などの紹介ののち、意見交換が行われたそうです。
- 資料1 「高齢者の特徴的な薬物動態と薬物治療の問題点」大井構成員(鈴鹿医療科学大学)
高齢者における薬物動態について、ジゴキシン、プロプラノロール、エナラプリル、ジアゼパム、トリアゾラム、ピルシカイニドの例を挙げて紹介(日本医事新報記事にある抗菌剤に関するものはスライドにない) - 資料2 「高齢者で特徴的な薬物有害事象」溝神構成員(国立長寿医療研究センター)
多形滲出性紅班と薬剤誘発性褥瘡の症例を紹介 - 資料3 「呉市多剤併用対策について」 前野参考人、森山参考人(呉市保健福祉部)
呉市の取組みを紹介。結構シビアな組み合わせもチェックされていることがわかる - 資料4 「高齢者への向精神薬処方に関する研究」 奥村参考人(医療経済研究・社会保険福祉協会)
BPSDへの向精神薬やBZ系の処方実態について問題提起。カナダでは、BZに関する患者教育冊子があるという。 - 資料5 「Choosing Wisely」北澤構成員(京都薬科大学)
国際的なキャンペーン活動の紹介
一方、厚労省医薬・生活衛生局安全対策課は医薬品添付文書における高齢者関連の記載状況に関する資料を提出しています
この後厚労省は、「高齢者の医薬品適正使用に関する検討課題と今後の進め方について(案)」を提示し、次の4点の論点を示しました
- 高齢者の薬物療法の現状と分析
- 高齢者の多剤服用(ポリファーマシー)対策のためのガイドラインなどの作成
- 多様な医療現場の多職種連携の下での情報収集、管理および共有
- 高齢者の薬剤使用に関する医薬関係者の理解・意識の向上
今後は上記1.2については、検討会の下にワーキンググループを組織し、具体的検討を開始するとのことです。
注目はGLづくりですが、下記のような課題が示されています。
高齢者の薬物動態等を踏まえた投与量の調整 (止めどき、 減らしどき) や薬物相互作用による多剤服用時の副作用の発生による問題を防止するため、医薬関係者(医師、薬剤師、 看護師等) のそれぞれのレベルで参照できる医薬品の適正使用情報を充実すべきである。
(1)各専門領域の学会等と協同し、高齢者の薬物療法、関連する領域毎の診療ガイドライン等の各学会の取組みを包含した国レベルでの包括的な薬剤の適正使用ガイドラインを作成する必要がある。
(2)ガイドラインを作成する際には、次の点に留意するべきである。
- 特に検討が必要な薬剤の領域を考慮:糖尿病、循環器(高血圧、血栓)、認知症、催眠鎮静…..
- 薬剤数調整の適切な対応の基礎の考え方(画一的にあてはめるガイドライン等の困難さを考慮する)
- 患者が置かれたさまざまな医療現場に応じた対策を整理
・急性期、回復期、入院、外来などの各医療現場に適した薬剤数調整/処方変更の考え方
・院内での病棟間での薬剤数調整の考え方(医師→医師、薬剤師→薬剤師)
・複数医療機関間・薬局での薬剤調整の考え方 - セルフメディケーションや栄養補助食品等(検討対象範囲を要検討)も含めた安全対策
- 残薬対策(処方日数制限に関する議論)についてはこのガイドラインでは主眼としない
(3)上記1に掲げるエビデンスが収集・分析される毎に、それに基づき、段階的にガイドラインを増補し、改訂する必要がある。
GLをつくっても・・という思いはありますが、今後の議論の行方に注目したいと思います。
高齢者特有の有害事象や多剤処方の現状を議論 https://t.co/JThfYtfkZy #nikkeidi
— 日経DI (@nikkeidi) 2017年6月26日
抗菌薬の低用量投与には歯止め必要【高齢者医薬品適正使用検討会】 https://t.co/XVyRvNLJ4f pic.twitter.com/GBJekQQVBK
— 日本医事新報編集局 (@jmedj_news) 2017年6月27日
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2017.04.20 第1回 高齢者医薬品適正使用検討会
2017年06月29日 14:31 投稿