スマートドラッグとして、今後規制の対象となる品目

 「集中力を高める」や「頭がスッキリする」など、脳の機能等を高めることを標ぼうして海外で販売されている医薬品等の製品(いわゆる「スマートドラッグ」)について、厚労省では原則として予め薬監証明の交付を受けない限り一般の個人による輸入は認めないこととするパブリックコメントを26日まで行っています。

 下記が今回規制の対象となる27成分で、薬物依存等に関する研究を行っている団体の専門家の意見や厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において検討した結果、医師や薬剤師等の専門家が関与せずに安易に使用することによって健康被害や乱用につながるおそれが高いとまとめられたものです。(懐かしい名前も並んでいます)

 身近でこういったものを利用している人がいるかもしれないということで、一応記事にしておきました。

和名 英名 国内製品 備考
ピラセタム Piracetam ミオカーム内服液 海外で主に流通しているのはカプセル剤である。
国内の内服液(医薬品)は一部のてんかん患者における不随意運動の治療に用いられている。
アニラセタム Aniracetam (旧)ドラガノン 国内で医薬品(脳代謝改善薬)として使用されていた成分である。
エチラセタム Etiracetam 国内で医薬品として販売されているレベチラセタム( 販売名「イーケプラ錠」)のラセミ体である。
レベチラセタム Levetiracetam イーケプラ錠 抗てんかん薬の一つである。
ネフィラセタム Nefiracetam ラセタム系化合物の一種であり、ピラセタムに類似した作用が予想される。
オキシラセタム Oxiracetam ラセタム系化合物の一種であり、ピラセタムに類似した作用が予想される。
プラミラセタム Pramiracetam ラセタム系化合物の一種であり、ピラセタムに類似した作用が予想される。
アトモキセチン Atomoxetine ストラテラカプセル ADHD治療薬の一つである。
イデベノン Idebenone (旧)アバン 国内で医薬品(脳代謝改善薬)として使用されていた成分である。
シチコリン Citicoline ニコリン 医薬品成分(意識障害改善薬)である。
ジヒドロエルゴトキシンメシル酸塩 Dihydroergotoxine Mesilate ヒデルギン
(旧)バソラックス
医薬品成分(循環改善薬)である。
ニセルゴリン Nicergoline サアミオン 医薬品成分(脳循環・代謝改善剤)である。
ニモジピン Nimodipine 海外で医薬品( カルシウムチャネル遮断薬)として販売されている。
ビンポセチン Vinpocetine (旧)カラン 国内で医薬品(脳循環改善薬)として使用されていた成分である。
プロプラノロール塩酸塩 Propranolol Hydrochloride インデラル 医薬品成分(交感神経β受容体遮断薬)である。
アテノロール Atenolol テノーミン 医薬品成分(心臓選択性β遮断剤)である。
ブロモクリプチンメシル酸塩 Bromocriptine Mesilate パーロデル 医薬品成分(持続性ドパミン作動薬)である。
フロセミド Furosemide ラシックス 医薬品成分(利尿降圧剤)である。
チアネプチン Tianeptine 海外で医薬品(抗うつ薬)として販売されている。
ソマトロピン(遺伝子組換え) Somatropin(Genetical Recombination) グロウジェクト皮下注 医薬品成分(ヒト成長ホルモン製剤)である。
デスモプレシン酢酸塩水和物 Desmopressin Acetate Hydrate ミニリンメルト 医薬品成分(抗利尿ホルモン用剤)である。
タンニン酸バソプレシン Vasopressin Tannate バソプレシンは国内で医薬品(脳下垂体後葉ホルモン剤「ピトレシン注射液」)として使用されている。
アドラフィニル Adrafinil 主要代謝物のモダフィニルは医薬品(ナルコレプシー治療剤「モディオダール」)として使用されている。
ナドロール Nadolol ナディック 医薬品成分(β受容体遮断薬)である。
プロカイン塩酸塩(ただし、外用剤を除く。) Procaine Hydrochloride 塩酸プロカイン『ホエイ』他 医薬品成分(局所麻酔剤)である。
国内では、プロカイン塩酸塩を含有する外用剤が一般用医薬品として承認されている。
デヒドロエピアンドロステロン (略称)DHEA プロゲステロンやテストステロンなどの生成に関わるプロホルモンであり、長期服用による生体への影響が大きいと考えられる。
プレグネノロン Pregnenolone DHEA(前記)の前駆体であり、プロホルモンである。長期服用による生体への影響が大きいと考えられる。

関連情報:TOPICS(リンク切れあり)
  2012.07.31 アカデミック・ドーピング
  2012.06.19 子ども向け処方薬の処方動向(米国)
  2008.12.09 科学技術の発展のためであれば、ドーピングは許される?


2018年01月24日 00:19 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    11月26日付けで通知を発出され、イデベノン、シチコリンの2成分を除いた25成分は、2019年1月から個人輸入の制限が決まりました。

    2019年1月から個人輸入が制限されるスマートドラッグ
    (アポネットR研究会最近の話題 2018.12.13)
    http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/181202.html

  2. 今回の規制に関してすが、個人輸入が禁止、または認めないという表現のみで、罰則規定はないのでしょうか?

    要は税関において、仮に発見されたとしても輸入を拒否され送り戻しになるだけで、罰則はない、という理解で正しいのでしょうか?

    また、海外旅行に行った際に上記の薬物を購入し、持ち込んだ場合の処分はどうなるのでしょう?詳しい方がいらっしゃればお答え頂けると幸いです。