オンライン診療で緊急避妊薬へのアクセスは改善されるか?

しばらくぶりのエントリーで申し訳ありません。

本サイトでもたびたび取り上げてきた緊急避妊薬のアクセス改善について、オンライン診療で一歩前進とのようですが、本当にそうなのでしょうか?

この問題については、オンラインライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会で行われた、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で検討されました。

オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_513005_00001.html

そして、6月10日に行われた第6回の検討会(→資料リンク)で、指針の見直し案が示され、13日より、6月24日までの期限で、パブリックコメントが開始されています。

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しに関する意見の募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495190084&Mode=0

オンライン診療の適切な実施に関する指針 新旧対照表
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000188509

関係となる追記部分を抜粋しました。

オンライン診療においては、初診は直接の対面診療を行うこと、直接の対面診療を組み合わせることが原則であるが、以下の診療については、それぞれに記載する例外的な対応が許容され得る。

・ 禁煙外来については、定期的な健康診断等が行われる等により疾病を見落とすリスクが排除されている場合であって、治療によるリスクが極めて低いものとして、患者側の利益と不利益を十分に勘案した上で、直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療を行うことが許容され得る。

・ 緊急避妊に係る診療については、緊急避妊を要するが対面診療が可能な医療機関等に係る適切な情報を有さない女性に対し、女性の健康に関する相談窓口等(女性健康支援センター、婦人相談所、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを含む。)において、対面診療が可能な医療機関のリスト等を用いて受診可能な医療機関を紹介することとし、その上で直接の対面診療を受診することとする。例外として、地理的要因がある場合、女性の健康に関する相談窓口等に所属する又はこうした相談窓口等と連携している医師が女性の心理的な状態にかんがみて対面診療が困難であると判断した場合においては、産婦人科医又は厚生労働省が指定する研修を受講した医師が、初診からオンライン診療を行うことは許容され得る。ただし、初診からオンライン診療を行う医師は一錠のみの院外処方を行うこととし、受診した女性は薬局において研修を受けた薬剤師による調剤を受け、薬剤師の面前で内服することとする。その際、医師と薬剤師はより確実な避妊法について適切に説明を行うこと。加えて、内服した女性が避妊の成否等を確認できるよう、産婦人科医による直接の対面診療を約三週間後に受診することを確実に担保することにより、初診からオンライン診療を行う医師は確実なフォローアップを行うこととする。

注 オンライン診療を行う医師は、対面診療を医療機関で行うことができないか、再度確認すること。また、オンライン診療による緊急避妊薬の処方を希望した女性が性被害を受けた可能性がある場合は、十分に女性の心理面や社会的状況にかんがみながら、警察への相談を促すこと(18 歳未満の女性が受けた可能性がある性被害が児童虐待に当たると思われる場合には児童相談所へ通告すること)、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター等を紹介すること等により、適切な支援につなげること。さらに、事前に研修等を通じて、直接の対面診療による検体採取の必要性も含め、適切な対応方法について習得しておくこと。

なお、厚生労働省は、初診からのオンライン診療による緊急避妊薬の処方に係る実態調査を適宜行う。また、研修を受講した医師及び薬剤師のリストを厚生労働省のホームページに掲載する。

この見直し案については各メディアが伝えていますが、下記サイトのがわかりやすいです。

この間の議論についても、検討会の委員のうち女性が一人ということや、現場の意見とは異なる参考人の意見が重視されたことから、SNSやWEB上では女性の立場からさまざまな批判の声が挙がっています。

一方、この案が改定されると、地域薬局においても無視できない種々の課題が出てきます。

また、現在一部行われている、オンライン診療で「院内処方」で自宅に緊急避妊薬を送ることが今回の指針変更で禁止となったら、今よりもアクセスが悪くなる可能性がでてきます。 さらに、どこの薬局が備蓄・取り扱いをするかということです。

また、案にある転売防止などのために、その場で服用というのも行きすぎのような気もします。

服薬指導や記録の問題も当然考慮される必要があります。副作用や相互作用などの情報提供は必要ですが、関連の情報をどこまで伝えるかなど、プライベートの情報にどこまで立ち入るかという問題もあります。

今回の動きをうけ、現場向けの独自のサポートも始まっています。

でもやはり、海外のようにアクセスを高めるに処方箋のいらない医薬品(現行でいえば、薬局医薬品)にすることが必要だと思います。 すでにSNSなどを通じて、WEB署名も始まっています。私も賛同させていただきました。

今回の問題は、地域薬剤師が Public Health 活動にどう関わるかという試金石にもなるかと思います。

是非皆さんも関心をもって頂ければと思います。

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2019年06月14日 00:41 投稿

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