文部科学省は25日、学校がアレルギー疾患の児童・生徒にどう対応すべきかまとめた、『学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン』(監修:文科省、作成:財団法人・日本学校保健会)を公表しました。
アレルギー疾患について(学校保健ポータルサイト・コラム4月28日)
http://www.gakkohoken.jp/modules/wordpress/index.php?p=2
(ガイドラインは電子ブックでみることができます)
アレルギー疾患(学校保健ウェブサイト)
http://www.gakkohoken.jp/modules/pico2/index.php?content_id=55
このガイドラインでは、食物アレルギーによる「アナフィラキシーショック」に対処する(エピペン)自己注射を、本人に代わって教職員らが打つことは医師法に違反しないとする初めての見解が示されている他、アレルギー疾患のある子どもの保護者から病型や留意点などを記入した「学校生活管理指導表」を学校に提出してもらい、教職員で情報を共有化することなどが盛り込まれています。
アナフィラキシーショックの救命率は、アドレナリンをできるだけ早く投与できるかにかかっていますが、学校でショックが起きた場合で本人が意識を失った場合などに他人が注射することの是非について明確な見解は示されていませんでした。そこで、文科省は法務、厚生労働の両省とも協議し、「救命の現場に居合わせた教職員が注射しても医師法違反にならず、刑事・民事責任も問われないと考えられる」とガイドラインに明記し、教職員が発見者になった場合、必要に応じてエピペンの注射をするなどの対応がとれるよう、教職員全員が情報を共有し、常に準備をしておくことを求めています。
一方、個々の症状等を把握するために示された「学校生活管理指導表」はA4判1枚で、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー・アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎の疾患別に、「疾患の有無」「疾患の内容」「処方薬」「学校生活上の注意点」「緊急連絡先」などを記載するようになっていて、これを保護者を通じて主治医・学校医に記入してもらい、学校に提出します。各校はこれをまとめて管理し、疾患を抱える子どもの生活を支えたり、発作などの緊急時への対応、学校給食への対応などへの活用されるそうです。
この『学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン』(電子ブックで閲覧のみ)、「学校生活管理指導表」と「学校生活管理指導表」活用のしおり(主治医・保護者用・教職員用)(PDFでダウンロード可)は、学校保健ポータルサイトに掲載されています。
学校保健ポータルサイト・電子図書館
http://www.gakkohoken.jp/book/
(2011.09.07追記・PDFがアップされていました、PDF17.1MB)
学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン
http://www.gakkohoken.jp/uploads/books/photos/v00051v4d80367d6506f.pdf
http://www.gakkohoken.jp/modules/books/index.php?fct=photo&p=51
今月末にも全国の幼稚園や小中高校、教育委員会などに管理表の使い方や疾患への対応方法を紹介したガイドライン冊子が、各学校や教育委員会に計約10万部を送付し、教職員や保護者へ配布しての周知を図るとのことです。
薬剤師は、この管理指導表に直接関わることはありませんが、児童や生徒さんが使用する薬剤についての特徴や使用法について、学校薬剤師が尋ねられる可能性もあります。院外処方せんではまず見かけることはない「エピペン」について、最低限の知識を持っておく必要がありそうです。
関連情報:第85回アポネットR研究会報告
エピペンホームページ http://www.epipen.jp/index.html
参考:共同通信4月25日
http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008042501000896.html
時事ドットコム4月25日
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008042501105
毎日新聞4月25日
4月28日 21:50掲載 2011年9月7日更新
2008年04月28日 21:50 投稿