パイロットというと、多くの乗客の命を預かることもあり、薬を服用している場合には飛行機の操縦が許可されない場合がありますが、米連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)は2日、これまでの規定を変更して、一部の抗うつ剤については服用していても航空機の操縦してもよいとする新たな提案を行っています。
FAA Proposes New Policy on Antidepressants for Pilots
(FAA Press Relase 2010.4.2)
http://www.faa.gov/news/press_releases/news_story.cfm?newsId=11293
Questions and Answers
(FAA Policy on Antidepressants 2010.4.2)
http://www.faa.gov/licenses_certificates/medical_certification/specialissuance/antidepressants/
服用が認められるのは、Fluoxetine (米販売名:Prozac)、セルトラリン (ジェイゾロフト、米販売名:Zoloft)、 Citalopram (米飯売名:Celexa)、scitalopram (米販売名:Lexapro)の4剤(ジェネリックも含む)で、変更の理由は、鎮静など精神神経系の副作用がないと判断されたためです、
どうも、隠れて抗うつ薬を服用して飛行機の操縦を行っているパイロットが少なくないようで、そういった人にきちんと申告してもらい、きちんとした管理下で飛行業務についてもらうのが今回の決定の背景にありそうです。
ですから、許可されるといっても薬の効果があり、症状が安定されていることが確認されることが条件のようで、1年間は地上業務を余儀なくされるようです。
一方、日本で使用されているパロキセチン(パキシル)やフロボキサミン(ルボックス、デプロメール)が外されています。レビューの結果、リスクに違いがあると判断されたのでしょうか?
FAA Medical Certification | Psychotropic Medications
(Pilot Medical Solutions)
http://www.leftseat.com/psychotropic.htm
FAA Accepted Medications
(Pilot Medical Solutions 2010.4.2 Update)
http://www.leftseat.com/medcat1.htm
また、上記表を見ていてふと思い出したのですが、以前「パイロットは使用禁止」(TOPICS 2008.05.22)で紹介したチャンピックス(米販売名:Chantix)の扱いを見たところ、副作用発現の可能性がある使用後72時間は飛行業務は不可ということのようです。これでは、パイロットで使っている人はいないでしょうね。
日本ではパイロットが薬を使用することの規定は、航空身体検査マニュアルに一部記されていますが、米国のように詳しくはないようです。
航空身体検査マニュアル(航空医学研究センター)
http://www.aeromedical.or.jp/manual/index.htm
薬と飛行 ~薬を飲んでも飛べますか?~
(PILOT 2000年No.6 11月号 ちょっと古いですが)
http://www.aeromedical.or.jp/pilot/pdf/2000-6.pdf
関連情報:TOPICS 2008.05.22 バレニクリン、パイロットは使用禁止(米国)
2010年04月05日 00:23 投稿