医療モールにおける保険薬局の独立性

 もうご存知の方もいるかもしれませんが、最近のいわゆる“医療モール”の増加に伴い、厚労省保険局医療係は3月31日、地方社会保険事務局に対して、下記のような通知を出しています。

 保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いの明確化について
  (厚生労働省通知文・日本病院会ウェブサイト)
  http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20080331_05.pdf

 これは近年、保険薬局を経営する郊外型大規模商業施設等が所有する土地を、いわゆる「医療モール」等の形態で保険医療機関が賃借し、経営を行う等の実態が散見されるとして、保険医療機関及び保険医療養担当規則における、「一体的な構造」及び「一体的な経営」 に係る規定の解釈をどうすればよいかを地方社会保険事務局に行ったものです。

 通知によれば、『薬局が所有又は貸借する不動産を保険医療機関に賃借又は転貸借していることのみをもって、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号) 第2条の3第1号に規定する「一体的な構造構」又は「一体的な経営」には該当するものではないこと。』との解釈が行われ、単に土地を貸すことだけでは保険医療機関との一体的な経営とはならないとしています。

 医療モールは専門ごとの医療が受けられるところとして、患者さんにとってはありがたい存在です。また、そこで経営する薬局にとっても、複数の医療機関からの発行される処方せんを効率よく数多く応需できるメリットもあります。

 患者の利便性を考えれば、医療モール自体を否定するものではありませんが、賃料を安くする代わりに処方せんの誘導を行うことは全くないといえるでしょうか? また利益を広大な土地の購入にあて、医療モールを自ら開発しそれによりさらに利益を上げることが可能とするなら、保険収入によって得た利益を不動産など医療目的(医業)以外への投資を行ってよいということになります。現状を考えれば仕方がないことかもしれませんが、医療保険制度の理念からいって適切かどうか考えさせられます。

 地価が下落する地方などでは近い将来、結局のところ広い土地を確保した会社(保険薬局)が勝ち組になるのでしょうか?


2008年04月23日 00:30 投稿

Comments are closed.