先週、各メディアが取り上げた、男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版)が、日本皮膚科学会ウェブサイト(http://www.dermatol.or.jp/)に20日、掲載されています。
男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版)
(日皮会誌:120(5)977-986、2010)
http://drmtl.org/data/120050977j.pdf
http://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/120050977.html
ガイドライン全文は、日本皮膚科学会誌掲載の10ページと根拠となる論文のまとめ38ページで構成されています。各報道で内容については既にご存じかと思いますが、改めて紹介します。
治療法 等 | 商品名 | 推奨度 | 理由等 |
---|---|---|---|
ミノキシジル 外用 (男性の男性型脱毛症) |
リアップX5(5%) リアップ(1%) |
行うよう強く勧められる | ミノキシジル外用の発毛効果に関して良質な根拠あり。5% ミノキシジル外用液を外用療法の第一選択薬として第一選択薬として強く推奨。 |
ミノキシジル 外用 (女性の男性型脱毛症) |
リアップレディ (1%) |
行うよう強く勧められる | ミノキシジル外用の発毛効果に関して良質な根拠あり。1% ミノキシジル外用液を第一選択薬として強く推奨。 |
塩化カルプロニウム 外用 |
フロジン外用液 (5%) NFカロヤンガッシュ (2%) NFカロヤンアポジカΣ カロヤンアポジカG カロヤンアポジカΣプラス カロヤンジェルローション1 カロヤン21 カロヤンS (1%) |
用いてもよい | 塩化カルプロニウム単独での有益性は現段階では十分に実証されていないが、生薬との合剤を含むわが国での膨大な診療実績あり。外用療法の一つとして推奨。 |
t-フラバノン 外用 |
花王サクセス | 用いてもよい | 発毛効果に関しては、有効性を示すエビデンスレベルの高い試験があるが数が少ない。一方、副作用は軽微であり、外用療法の一つとして推奨。(但し、女性ではその有益性は不明) |
アデノシン 外用 |
薬用アデノゲン (資生堂) |
用いてもよい | 発毛効果に関しては、有効性を示す根拠は少ない。一方、副作用は軽微であり、外用療法の一つとして推奨。 |
サイトプリン・ペンタデカン 外用 |
薬用毛髪力 ZZ(ダブルジー) (ライオン) 薬用毛髪力イノベート (ライオン) |
用いてもよい | 発毛効果に関しては、有効性を示すエビデンスレベルの高い試験があるが数が少ない。一方、副作用は軽微であり軽微であり、外用療法の一つとして推奨。(但し、女性ではその有益性は不明) |
セファランチン 外用 |
本邦では内服製剤として販売 | 用いない方がよい | 外用の有益性は現段階では実証されていない。今後の臨床試験で十分に検証されるまでは,日常診療において使用を推奨しない。 |
ケトコナゾール 外用 |
ニゾラールローションケトコナゾールシャンプー(輸入品?) | 用いてもよい | 発毛効果に関しては複数の根拠があり、男性症例に対する外用療法の一つとして推奨。(但し、女性では有効性は不明) |
フィナステリド 内服 (男性の男性型脱毛症) |
プロペシア | 内服療法の第一選択薬として強く推奨 | 発毛効果に関して良質の根拠あり。 |
フィナステリド 内服 (女性の男性型脱毛症) |
プロペシア | 用いてはならない | 更年期以後の女性に無効であり、ジヒドロテストステロンの低下により男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れがあり、女性症例に対して使用しないよう勧告。 |
自毛植毛術 | フィナステリド内服やミノキシジル外用により十分な改善が得られない男女の症例に対して、十分な経験と技術を有する医師が行うことは推奨 | 世界全体で年間225,800 件の実施例(男性86.2%,女性13.2%)が報告されており、また高い生着率が得られるという報告がある。 | |
人工毛植毛術 | 現時点では日常診療において使用しないよう勧告 | 化学繊維で作られた人工毛を植える人工毛植毛術については過去に多くの有害事象の報告があり、FDAでは人工毛自体を有害器具として指定している。また、有益性に関しては,利益が危険性を上回る根拠は乏しい。 |
自毛植毛術というのは初めて知りました。また、ニゾラールシャンプーというのもあるんですね。(ちなみにコラージュフルフルはミコナゾールで今回のガイドラインではふれておりません)
ミノキシジルとフィナステリド、ケトコナゾール以外のデータは、どうも臨床試験のデータがほとんどのようで、これをもってエビデンスがあるとは言い難いかもしれませんね。
関連記事:医療介護CBニュース4月20日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/27293.html
2011.07.30 リンク再設定
2010年04月20日 22:18 投稿