地域の環境保健への取組みというと、(学校)薬剤師が関わる分野ではないかと私たちは考えがちですが、日医ではこのほど医師がこういった問題についてどのように取り組むべきかなどを報告書としてまとめ、13日行われた定例記者会見で公表しています。
環境保健委員会が「地域における環境保健活動の展開」について答申
(定例記者会見、日医白クマ通信3月14日)
http://www.med.or.jp/shirokuma/no877.html
「地域における環境保健活動の展開」(日医環境保健委員会答申)
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20080312_3.pdf
この保健委員会では、平成18年2月には『循環型社会形成に向けての医師の行動指針』を示すなど、健康問題に直結する環境問題について、日医としての取組み姿勢を既に明確化していますが、この報告書では、環境保健、とりわけ「環境」の保全、環境から受けるヒトへの健康影響、およびその予防方策等に関する情報発信を日本医師会および医師会員が地域においてどのように展開していくべきかについてをまとめています。
薬剤師と医師とでは、「環境保健活動」への関わり方は確かに異なるかもしれませんが、中には学校薬剤師などが現在取り組んでいる項目もあり、日医がこういった形で自分たちが「今、何が問題になっているか、何についてどのように取り組みべきか」としたこの報告書を読むと、薬剤師の活躍の場をまた奪われかれないという危機感をも感じます。
しかしながら、薬剤師だけしかできない「環境保健」問題がないわけではありません。それは、普段私たちが関わっている医薬品の環境汚染の問題です。海外では、つい先日もAP通信が飲用水中の残留医薬品について独自の報道を行うなど、医薬品の使用量増大に伴って、各国で大きな問題になっています。
これ以外にも、家庭用殺虫剤の問題など、現場の薬剤師や薬学出身者が知恵を出して取組みべき課題もあるはずです。
医療制度改革の下で、とてもこういった分野への積極的な取組みを日薬全体で行うことは難しいことかもしれませんが、せめて「今何が問題で、地域の薬剤師・薬学出身者どのような取組みが行えるか」を改めてまとめることだけでも必要ではないでしょうか。
資料:
「水道水源等における生理活性物質の測定と制御に関する研究」成果ダイジェスト版
http://www.niph.go.jp/soshiki/suido/pdf/h16-18PhAC/PhACdigest.pdf
日本の飲用水中にも、フェノフィブラート、ジクロフェナク、カルバマゼピンがごく微量だが残留していたという、昨年12月23日の朝日新聞で報じられた研究の概要です。上記ファイルは国立保健医療科学院・水道工学部のページにあります。
関連情報:TOPICS
2008.03.10 飲料水中の医薬品成分(AP調査)
2007.10.04 タミフルは下水処理でも分解されず、耐性獲得のリスクに
2006.04.18 下水への医薬品廃棄は環境に影響するか? 環境省実態調査へ
3月18日 1:20掲載
2008年03月18日 01:20 投稿