米国では鎮咳薬として最も広く使用されていたcodeine(米国では処方薬)に代わって、デキストロメトルファン(DXM)が普及し、OTCとして広く使われています。ところが、近年このDXMを含むカプセル剤(OTCなどから成分を抽出し、高含量の粉末をつめたもの)によると思われる健康被害が多発し、FDAは5月20日に、TALK PAPERで、DXM濫用についての警告を伝えています。
FDA TALK PAPER:
FDA Warns Against Abuse of Dextromethorphan (DXM)(2005年5月20日)
http://www.fda.gov/bbs/topics/ANSWERS/2005/ANS01360.html
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/
SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm151133.htm
日本語訳は、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報) Vol.3 No.11に掲載 http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly3/11050609.pdf
各サイトの情報を総合すると、米国でのDXM濫用自体は新しい問題ではないものの、単味のDXM散剤の販売が始まってから特にこの問題は深刻になったようです。これらは、街角で見知らぬ人からもらったり、CLUBで友人からもらうなど、ティーンエイジャーの間に汚染が広がっていて、危険な薬物のきっかけになるものとして、かなり深刻に受け止められています。
またWEB情報によれば、OTCの過量服用でも、同様の健康被害がおこりうるとしていて、米国のティーンエイジャーの11人に1人が、咳止めといったOTCによる濫用を行っているとも伝えています。 こういったDXM濫用防止という観点から、米国では保護者にふだんから、子どもたちがこういったものを使っていないか、手元に置いていないかといったサインを見落とさないようにと注意を促すWEBサイトがあります。しかし、米国ではDXMのような非処方せん薬は原則自由販売であり、他の諸国のように対面販売の形式がとられない限り、濫用を続くように思われます。
日本はどうかというと、先ごろ東京都が公布・施行した「東京都薬物の濫用防止に関する条例」の対象品目として、この「臭化水素酸デキストロメトルファン」が含まれています。このことから、これらが日本でも脱法ドラッグとして流通している可能性があります。また、DXMを含むOTCは日本でもかなりあります。以前はコデイン含有の咳止め液が問題視されましたが、今後はDXM配合のものについても、販売には注意が必要のようです。
参考:Legal but Lethal: The Danger of Abusing Over-the-Counter Drugs
http://www.family.samhsa.gov/get/otcdrugs.aspx(リンク切れ)
Cough and Cold Medicine Abuse(Kids Health for Parents)
http://kidshealth.org/parent/positive/talk/cough_cold_medicine_abuse.html
Greater Dallas Council on Alcohol & Drug Abuse(GDCADA)
http://www.gdcada.org/statistics/dxm.htm(リンク切れ)
東京都薬物の濫用防止に関する条例について 警視庁
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/yakubutu/jorei170401.htm
http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1013514001.html
2005年06月15日 23:00 投稿