共同通信によれば、環境省はは15日、河川や大気中の化学物質を調べる「化学物質エコ調査」の対象に本年度から、新たに医薬品の成分を加える方針を明らかにしたと伝えています。
普段私たちも期限切れなどで、余った薬をつい下水に流してしまいがちですが、微量とはいえ河川などからはさまざまな医薬品成分が検出されていることが、いくつもの研究から明らかになっています。
水環境中の医薬品化学物質(国立環境研究所ニュース22巻4号 2003年10月)
http://www.nies.go.jp/kanko/news/22/22-4/22-4-06.html
〜研究〜わが国の水環境における医薬品の検出と影響評価(山本(清野)敦子氏)
(横浜国立大学 益永・中井&松田 研究室)
http://risk.kan.ynu.ac.jp/seino/study.htm
(学会発表の抄録が掲載されています)
記事によれば、初年度はまず、フェノバルビタール・フェニトイン・フェナセチン・メトキサレンの4種類を対象に、病院近くの河川など数カ所でサンプルを採取し、汚染状況を調べるという。さらに来年度からは、抗生物質や抗がん剤など対象を順次拡大し、抗生剤については家畜の病気予防にも広く使われていることから、畜産施設周辺での調査も検討しているとのことです。
わが国では、国がこうした調査に乗り出すのは初めてですが、米国では既に、地質調査局(USGS:U.S. Geological Survey)が、2002年3月に調査レポートを発表しています。
What’s in that Water? 〜 USGS Releases First Nationwide Look At Pharmaceuticals, Hormones And Other Organic Contaminants In U.S. Streams
http://www.usgs.gov/newsroom/article.asp?ID=390
また、米環境保護局(EPA)クリスチャン・ドートン氏は、独自の薬品廃棄物の抑制計画案をまとめて、Environ Health Perspect誌に発表しています。
Cradle-to-Cradle Stewardship of Drugs for Minimizing Their Environmental Disposition While Promoting Human Health. — I. Rationale for and Avenues toward a Green Pharmacy
(Environ Health Perspect 111:757-774 (2003).
http://www.ehponline.org/docs/2003/5947/abstract.html
http://www.ehponline.org/members/2003/5947/5947.html
究極のところ、汚染防止には汚染原因となる廃棄される医薬品を少なくすることしかなく、ドートン氏は薬を飲み残ししないようにする、抗生剤を必要以上に使わない、大衆薬のパッケージを小さくする、消費(処方)を促す消費者への広告を考慮する、有効期限(使用期限)の延長を検討するなどの具体例を示しています。
これから行われる、環境省の実態調査に注目したいと思います。
参考:共同通信4月15日
WIRED NEWS 2002.12.20
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20030107308.html
2006年04月18日 23:00 投稿