運動前のイブプロフェンの服用は小腸にも有害(海外研究)

 スポーツ選手の間で、鎮痛薬が広く常用されていることは以前紹介(TOPICS 2012.06.06)しましたが、運動選手などが、痛み対策などで運動前にイブプロフェンを服用すると胃腸障害だけではなく、小腸にも障害を及ぼすとする研究結果が発表されています。

Aggravation of Exercise-Induced Intestinal Injury by Ibuprofen in Athletes
(Med Sci Sports Exerc. 2012;22(12) p2257-2262)
http://journals.lww.com/acsm-msse/Fulltext/2012/12000/Aggravation_of_Exercise_Induced_Intestinal_Injury.1.aspx
(オープンアクセス)

 この研究は、9人の健康成人にイブプロフェンを服用した後に自転車に乗ってもらい、小腸の腸壁からの細胞漏出度(plasma intestinal fatty acid binding protein (I-FABP) levels)を調べるというものですが、運動による小腸への影響はこれまでの研究ですでに知られているそうです。

Exercise-induced splanchnic hypoperfusion results in gut dysfunction in healthy men.
(PLoS One. 2011;6(7):e22366. Epub 2011 Jul 21.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3141050/

 運動をすると、血液が筋肉に行く代わりに、小腸への血流が減少するために小腸の腸壁機能に障害が誘発されるというものですが、今回の研究では、さらにイブプロフェンを服用することでその影響がどのように変わるかを調べたもので、運動によって誘発された小腸へのダメージがイブプロフェンの服用でさらに悪化されるとしています。

 アスリートのNSAIDsの使用は決して低くないといわれ、小腸へのダメージが大きければ、消化物の吸収能が損なわれる可能性があるとして、研究者らは明確な医学的なNSAIDsの使用はやめるべきだとしています。

関連情報:TOPICS
 2012.06.06 サッカー選手と鎮痛薬の使用 

参考:
Painkillers Before Exercise May Be Bad for the Gut
(MebMD 2012.12.06)
http://www.webmd.com/fitness-exercise/news/20121205/painkillers-before-exercise-gut?ecd=soc_tw_120712-mid_news_painkillersbeforeexercisebadgut
For Athletes, Risks From Ibuprofen Use
(NY Times 2012.12.05)
http://well.blogs.nytimes.com/2012/12/05/for-athletes-risks-from-ibuprofen-use/
Ibuprofen use by athletes may cause harm
(CBC.Ca 2012.12.06)
http://www.cbc.ca/news/health/story/2012/12/06/exercise-ibuprofen-risks.html


2012年12月08日 12:31 投稿

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