処方せん薬の試験販売と医師への紹介率(英国)

 以前にも紹介しましたが、英国では処方せん医薬品であっても、医療専門職が協力して治療プログラムを作成し、これを地元当局が承認すれば医師以外でも供給・販売が可能となるという『PGD(patient group direction)』という独自の制度があります。

 チェーン店Bootsの一部店舗では、このPGDを利用した処方せん薬の販売が行われていますが、PJ誌の最新号でその現状が紹介されています。

 Boots refers two-thirds of PGD clients to their GPs(PJ Online News 2008.3.15)
  http://www.pharmj.com/Editorial/20080315/news/p297boots.html

 現在Boot社が行っているのは、erectile dysfunction service(マンチェスターの店舗でシルデナフィルを試験販売)、weight loss service(全国262の店舗で実施、orlistatを販売)、 hair retention(全国142の店舗で実施、フィナステリドを販売)、chlamydia screening and treatment(全国344の店舗で実施、アジスロマイシンを販売)ですが、シルデナフィルとフィナステリドの購入にあたっては、その場での血圧・コレストロール値・血糖値の検査を行うことが求められています。

 記事によれば、erectile dysfunction serviceでは3人中2人が、またweight loss serviceでは5人中4人がこれらの検査で異常が見つかり、購入することができずに医師(GP)への紹介が行われたとの調査結果を伝えています。太っている人やEDの人にやはり何らかの異常があることを考えれば、当然の結果と言えます。

 英国では医者にすぐにみてもらえないという特殊な事情がありますが、やはり血糖値や血清脂質値などの必要な検査をまず薬局で行えるようにして、対象者については医師へ受診勧告(紹介)を行うというこの仕組みは、わが国でもセルフケアを推進する上でも是非参考にしてもらいたいものです。

 関連情報:TOPICS
                 2007.02.13 バイアグラを処方せんなしで試験販売(英国)
          2005.11.23 薬局でクラミジア検査キットを無料配布(英国)

3月16日 23:40掲載


2008年03月16日 23:40 投稿

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