厚労省は21日、前回、前々回調査(TOPICS 2012.01.20 2010.06.18)に続き一般用医薬品が改正薬事法の規定通りに販売されているかどうかの調査結果を発表しています。
平成23年度一般用医薬品販売制度定着状況調査結果報告書の公表について
(厚生労働省 2012.12.21)
http://www.mhlw.go.jp/stf/2r9852000002rnaf.html
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T121221I0010.pdf
報告書
概要:http://www.mhlw.go.jp/stf/2r9852000002rnaf-att/2r9852000002rnbw.pdf
全文:http://www.mhlw.go.jp/stf/2r9852000002rnaf-att/2r9852000002rncn.pdf
この調査は、2009年6月1日から全面施行された改正薬事法に伴い、新たな一般用医薬品販売制度が創設された。本調査は、制度改正の趣旨を踏まえ、一般消費者の立場から、実際の販売現場における制度の定着状況などの実態を把握することを目的として実施した。目的に、2011年11月~12月に、全国の薬局・薬店から立地や人口規模などを考慮して抽出した薬局2,924店舗・薬店3,229店舗の合計6,153店舗(チェーン4,147、独立2,006)を対象に行われています。(栃木県は140店舗)
調査方法は、民間業者の調査員が一般客を装って購入する覆面調査形式で実施され、第1類医薬品については、「胃腸薬(H2ブロッカー)」「解熱鎮痛薬」「外用消炎鎮痛剤」を、第2類医薬品については、「総合感冒薬」を対象として調査を行ったそうです。(今回も具体的なシナリオはわからない。ケースによって対応が異なることも考えられるので、明らかにする必要があるのでは)
その結果、次のようなことが明らかになったそうです。(主なところを前回、平成21年度調査結果と比較してみました)
H23調査 | H22調査 | H21調査 | |
---|---|---|---|
第1類医薬品の取扱い状況 | 全体66.4% 薬局86.0% 薬店48.7% |
全体66.8% 薬局88.0% 薬店43.3% |
全体67.5% 薬局88.4% 薬店47.6% |
独立店78.7% チェーン店60.5% |
独立店68.3% チェーン店63.5% |
独立店57.1% チェーン店78.8% |
|
第1類医薬品を取り扱う店舗のうち、リスク分類別の陳列が規定通り陳列されていなった割合 | 全体15.2% 薬局13.2% 薬店18.4% |
全体10.3% 薬局10.2% 薬店10.6% |
全体2.4% 薬局2.4% 薬店2.3% |
独立店13.6% チェーン店16.2% |
独立店14.3% チェーン店7.0% |
独立店4.3% チェーン店0.9% |
|
店舗の従事者全員が名札を全員つけていなかった割合 | 薬局13.9% 薬店3.9% |
薬局19.1% 薬店17.1% |
薬局22.8% 薬店33.2% |
リスク分類の定義・解説の掲示を確認できた割合 (※リスク分類の定義・解説の掲示は、2012年5月31日まで経過措置がとられている。) |
薬局55.5% 薬店54.0% |
薬局40.5% 薬店38.6% |
薬局31.5% 薬店28.1% |
第1類医薬品の販売時の対応 | |||
→文書を用いた情報提供文書 | 55.2% | 31.5% | 46.5% |
→文書を渡されたが詳細な説明がなかった | 1.3% | 2.9% | 7.1% |
→口頭のみ | 38.6% | 59.1% | 22.5% |
→説明なし | 4.9% | 6.5% | 19.8% |
第1類医薬品を購入しようとした際の情報提供者 | |||
→薬剤師 | 84.5% | 74.0% | 70.4% |
→登録販売者 | 6.0% | 8.1% | 3.3% |
→一般従事者(名前のみ) | 2.1% | 3.4% | 2.9% |
→名札未着用もしくは見えなかった | 7.4% | 14.5% | 23.4% |
第1類医薬品販売時の文書を用いた情報提供の割合が改善する(といっても5割という数字には批判もある)など、全体に改正薬事法の周知が徹底していることがうかがえますが、第1類医薬品が規定通りに陳列されていない割合が増えている(特にチェーン店)点や、第1類医薬品の取扱い率が増えていない、一方でチェーン店では取扱い率が減少傾向にある点が気になりました。(薬剤師のいない店舗が増えているから当然か。特にロキソニンSの販売・陳列の実態などはどうだったんだろう)
また今回はウェブサイト上で、一般用医薬品の販売サイトを掲載しているモールや独自ドメインで医薬品の販売を行っているウェブサイト213件を抽出した調査も行われています。
- 4つのサイト(1.3%)で第1類医薬品の「取扱いあり」としていた
(3サイトでは「この商品は売り切れです」との表示がされたが、1つのサイトでは実際に購入できた) - 141のサイト(68.2%)で第2類医薬品の「取扱いあり」としていた
(48のサイト(55.7%)では実際に購入できたが、その他については購入履歴などからキャンセル通知が来て購入ができなかった) - 医薬品に関する問い合わせをしたところ返信があったウェブサイト(140件)について、問い合わせから返信までに要した時間をみると「24時間以内」が92.1%、「24時間から48時間」が5.7%、「48時間以上」が2.1%であった。
一方、今回も今回調査を行った全国の調査員の自宅等に来訪した配置販売業者の来訪時の対応等についての調査結果もまとめています。(サンプル数51件)
- 第1類医薬品を取り扱っている配置販売業者はなかった
- 配置箱の中で、医薬品がリスク分類別に陳列されているかみたところ、「リスク分類別に区分されていた」のは42件82.4%だった
さて、 各紙報道によれば医薬品ネット裁判の上告審で、国敗訴の公算が伝えられています。(TOPICS 2012.12.21)
今後、法改正がなければ、郵便等販売(ネット販売)の新たなルールづくりは避けられず、厚労省や新政権がどのように対応するか注目されます。
関連情報:TOPICS
2012.12.21 医薬品ネット販売上告審、国敗訴の公算
2012.01.20 第1類の書面による情報提供を行う店舗は3割に留まる
2010.06.18 2割の店舗で第一類の説明を行わず(覆面調査の結果が公表)
2012年12月24日 20:31 投稿