全ての抗うつ薬、若者の自殺リスクを追記

 厚生労働省医薬食品局安全対策課は10月31日付で、SSRI、SNRI、三環系など国内で販売されているすべての抗うつ薬について、24歳以下の患者で自殺念慮・企図のリスクが増加することを使用上の注意に盛り込むなどの添付文書の改訂を行うよう、日本製薬団体連合会に指示しました。

使用上の注意改訂情報(平成19年10月31日指示分)
   (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構・使用上の注意改訂指示)

 改訂では、新たに[効能・効果に関連する使用上の注意]の項が設けられ、

「抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。」「家族等に自殺念慮や自殺企図のリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。」 

が追記されました。

 また、[重要な基本的注意]の項の自殺企図に関する記載については、

「うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。また、新たな自傷、気分変動、アカシジア/精神運動不穏等の情動不安定の発現、もしくはこれらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。」 

に統一されました。

 さらに[その他の注意]の項には、

「海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。」

の追記が行われています。

 今回の措置は、米FDAが今年5月、18~24歳の患者について全ての抗うつ薬が自殺リスクを増加するとした、添付文書の変更を受け、日本でも専門家による検討を経て決定されたものです。

 なおこれに伴い、「患者向医薬品ガイド」も変更される見通しです(三環系抗うつ薬については新設)。

資料:
FDA Proposes New Warnings About Suicidal Thinking, Behavior in Young Adults Who Take Antidepressant Medications(FDA NEWS 2007.5.2)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/2007/ucm108905.htm
Antidepressant Medication Products(FDA Medwatch)
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/
SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm150814.htm

Questions and Answers on Antidepressant Use in Children, Adolescents, and Adults
 (FDA 2007.5.2 Update)http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/InformationbyDrugClass/ucm096321.htm
Psychopharmacologic Drugs Advisory Committee の FDA 提出資料(2006.12.13開催)
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/06/briefing/2006-4272b1-01-FDA.pdf 

引用:「自殺」リスクで全ての抗うつ薬の添付文書を改訂へ
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 11月2日)
      http://www.yakuji.co.jp/entry4852.html
    日刊薬業ヘッドラインニュース11月2日


2007年11月02日 23:00 投稿

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