ニュージーランド(NZ)の医薬品規制機関のMedsafeとニュージーランド保健省は8日、デキストロメトルファン(DXM)、フェニラミン、トコンを含有するOTCについて、12歳未満への販売は薬局のみとする分類の変更を行うと発表しました。
Sale restrictions on some cough and cold medicines for children under 12
(Medsafe media Release 2010.6.8)
http://www.medsafe.govt.nz/hot/media/2010/CoughandColdJune2010.asp
今回の変更は、今年4月13日に行われた医薬品分類に関する委員会(Medicines Classification Committee Meeting)での勧告を受けてもので、委員会の議事録も合わせて公表されています。
Minutes of the April 2010 Medicines Classification Committee Meeting
http://www.medsafe.govt.nz/profs/class/mccMin13April2010.htm
DXM、フェニレフリン、トコンはグアイフェネシンなどと共に、6歳以上の適応がある製品については、今まで一般商店でも販売ができるgeneral saleという分類だったのですが、6歳未満へ風邪薬・咳止め薬の使用禁止に伴って、6歳以上についても有用性や安全性を評価し、今回薬局医薬品(pharmacy-only medicines)に再分類し、専門家のアドバイスの下で販売することを求めたものです。(ニュージーランドでは、この他にrestricted medicineという要薬剤師薬という分類もあります)
議事録を見ると、長年使われてきた安全性や利便性(地方では再分類されると不便になるらしい)を考慮しつつも、エビデンスの有無、Abuse potential(濫用の可能性)、Inappropriate use(不適切な使用)、Precautions(どのような予防措置が行われているか)、Communal harm(一般への危害を加える可能性?)についても検討が加えられ、OTC薬としての有用性について多角的が評価が行われています。
例えば、DXMのAbuse potential の項目をみると、「DXMは国際的に濫用が行われている成分として確認されており、NZの有害事象モニタリングセンターでも2例の報告がある。コデインの販売制限がすすめられており、DXMへの濫用に向う可能性がある」と指摘、また、フェニレフリンのInappropriate use の項目を見ると、やせ薬としての不正使用があると指摘されるなど、濫用の問題についてもきちんとリスクを検討しています。(DXMについては12歳以上のgeneral saleが適切かという指摘があり継続審議)
日本でも、OTC薬の安全対策を検討する場合にはこういった視点での検討も行う必要があると思います。
なお、医薬品の分類に関する委員会では、リザトリプタン5mgの要薬剤師薬への分類変更を勧告しています。トリプタン製剤のOTC化は、スマトリプタン、ゾルミトリプタンに次ぎ、3成分目のようです。
関連情報:TOPICS
2009.10.08 6歳未満に風邪薬・咳止め薬は与えられるべきではない(NZ)
2010.05.09 デキストロメトルファン濫用問題で9月にFDA諮問委開催へ
2010.04.29 OTC医薬品の使用環境における問題点と今後の課題(学会シンポ)
参考:
Kids’ cold medicines warning(NZ Healard 2010.6.8)
http://www.nzherald.co.nz/health/news/article.cfm?c_id=204&objectid=10650609
2010年06月09日 11:48 投稿