26日、注目の一般用医薬品のインターネット販売等のルール作りを行う7回目の検討会が開催されています。とりあえず資料をチェックしました。(今後記事更新する場合があります。詳しい状況は、今後の報道でご確認下さい。)
第7回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会 資料
(厚労省 2013.04.26開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000030s6y.html
資料1 コミュニケーション手段に求められる機能等について(PDF)
リスク区分ごとに、コミュニーケション/情報提供についてどのような論点があるかをまとめたもの。テレビ電話によるやりとりについても想定されている。
資料2 適正使用のために収集すべき主な使用者情報について(PDF)
適正使用のために収集すべき主な情報として次の9項目を挙げています
- 使用者の基本情報(年齢、性別、体重等)
- 服用履歴、アレルギー・副作用歴
- 妊婦・授乳婦の別
- 併用薬・健康食品(飲み合わせなど)
- 服用薬の効果や副作用(使用者本人が自覚しているもの)
- 症状の基本情報
(使用者が自己申告できる事項。発生部位、履歴、症状の時間、治療状況等) - 症状の性質、状態等のうち、専門家が目視でのみ確認できるもの
(症状の外見や状態等) - 症状の性質、状態等のうち、専門家が嗅いだり、接触することでのみ確認できるもの
(口臭、体臭、症状の状態等) - 購入者の挙動(購入者と使用者が異なる場合がある)
資料3 一般用医薬品の安全性確保のための方策とその具体的な条件(案)(PDF)
店舗販売と比較しながら、インターネット販売時における、下記項目の具体的な方策に対応する条件を示す
- 安心・信頼できる店舗において販売されること
(販売サイトが「正当」なものであることを示すロゴなどを分かりやすく表示する) - 使用者の状態や状況、問題意識、困っている点などが正確に専門家に伝わり、それらに基づき使用者の状態等を適切に確認できること
(リスクが高い特定の品目について、使用者の状態等を専門家が確実に確認できるかどうか)
(乱用等のおそれのある特定の品目について、店頭における「声かけ」等の抑止効果をどのようにインターネット等で確保できるかどうか) - 必要な資質・知識を持った専門家が確保されていること
(専門家の氏名等の基本情報や、薬剤師免許証の画像※等をサイト内に分かりやすく表示する) - 医薬品の必要な情報を、専門家が積極的に、分かりやすく、かつ確実に購入者側に伝わるようにし、購入者側がそれを適切に理解できること
(購入者側の状況等を確認できない場合、特に購入者側から何ら申し出がない場合に、どのように状況等を確認するか) - 購入者側の相談に専門家が適切に応じられること
(店舗販売では、一般用医薬品の販売時間には、必要数の専門家を常駐している) - 医療が必要な人に適切な医療にアクセスさせられること
(インターネット等による受診勧奨の効果をどのように考えるか。また、インターネット等で受診勧奨を行ったとしても、そのメールが読まれないことに対して、どのような対策が必要か) - 多量購入、頻回購入等を防止可能なこと
(乱用等のおそれがある品目※については、一度に販売できる個数の上限を設けること。具体的な品目については、要検討というので、当然店舗販売にも適用されるかもしれない) - 医薬品の陳列、表示等が適切に行われること
(リスク区分ごとに販売サイトに表示すること)
(過去の購入履歴等から関連商品を勧める広告等の取扱いをどのように考えるか) - 販売後も必要な相談に応じるための体制が整備されていること
(営業時間外に相談に対応できる時間帯と連絡先を販売サイトに分かりやすく表示すること) - 保管や搬送に当たり、専門家の管理・監督の下、適正に医薬品の品質管理等が行われること
(薬局・薬店から購入者宅への輸送の際に、購入された医薬品の品質等が損なわれないよう、適切な発送手段を確保すること) - 医薬品の選定から情報提供、受渡し、販売後のフォローにわたる全ての流れにおいて、専門家が関与、管理・監督し、購入者側からもそれが明確に分かること
(特定の品目について、販売記録を作成すること。これも、店舗販売で明確に規定される可能性あり) - 医薬品の適正使用を促すこと
- 個人情報が適切に管理されており、適切にセキュリティー対策等が実施されていること
(なりすましや販売サイトの改ざんなどを防止するためのセキュリティー対策が行われていること。これは結構ハードルが高いかも)
資料4 一般用医薬品の適正なインターネット販売等の確保について(PDF)
以下の案を提案しています。
- インターネット販売等を行う事業者に対して、都道府県知事への届出を義務付けることが適当
- 偽造医薬品の販売や購入を防止する観点から、購入者が、適法にインターネット販売等を行う販売サイトを簡便に識別できることが必要
- 国及び都道府県は、上記2の仕組みについて国民への周知徹底を図るとともに、国において速やかに情報を集約し、インターネット販売等を行う薬局・薬店やその販売サイトのリストを、厚生労働省又は第三者機関のホームページ上で公開※することとしてはどうか
(なお、この場合には、厚生労働省のホームページが「広告の一部化」しないような配慮が必要)
- 明らかに使用者に問題があることを認識しながら、専門家として通常求められる説明を適切に行わずに販売し、それが直接の原因となって健康被害等が生じた場合などには、民事上の賠償責任を問われ得る。
- 現行の薬事法上、いわゆる「インターネットショッピングモール」運営者に対する義務等に関する規定はないが、出店事業者が違法な行為を行っていることを認識しながら、合理的期間内に必要な措置を講じなかった場合等には、民法上の賠償責任を問われ得る。
- 現行の薬事法上、使用者等に対する義務等に関する規定はなが、購入時の注意喚起や添付文書の禁忌事項に反した使用(多量服用や目的外利用等)により健康被害が生じた場合等には、副作用被害救済制度の対象とならない。
資料6-1 薬の購入に関する意識と実態調査報告書(抜粋)(平成24年度厚生労働科学研究)(PDF)
長野県内在住の成人男女3,000人、長野県内の村部成人男女500人を対象に郵送による調査。回答率は56%
- インターネットで医薬品や健康食品、化粧品などを購入したことがあるか聞いたところ「ある」と答えた人は17%だったが、20代に限ると約40%に達した(医薬品に限るとこのうちの11.8%=全体の2%)
- 薬の購入先について、最もよく利用するものを1つ選んで回答してもらったところ、「ドラッグストア・スーパーなど」が半数超の52%とトップで、「薬局」は26%にとどまった
- インターネットでの薬販売について、「購入者の状態がわからないため、適切な薬を選択する機会が失われ、安全性や有効性が確保できない」と思う人が8割以上を占めた一方、「利便性が高まる一方、危険も伴うが、自己責任であり認めても問題ない」と思う人も半数近くいた
- インターネットなどによる販売を通して、薬を購入したいと思うか尋ねたところ「購入したい」は3%で、「場合によっては購入したいと思う」の17%と合わせて約2割にとどまった
資料6-2
一般用医薬品における専門家の意識と実態に関する調査報告書(抜粋)(平成24年度厚生労働科学研究)(PDF)
薬剤師の在籍する長野県松本市の薬局104に調査。回答率は84.6%。
上記、一般生活者との調査結果と比較している。
また、一般用医薬品をインターネットなどで販売したいと思うか聞いたところ「販売したいと思う」は2%、「場合によっては販売したいと思う」が15%と合わせても2割に満たなかった。
資料7 一般用医薬品販売における安全性確保のための方策について(國重構成員提出資料)(PDF)
前回検討会で示された論点(案)などへのネット販売における対応策を示した他、電通総研が行った意識調査結果を紹介しています。
その他、参考資料
参考資料1 一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する主な論点(第6回資料1)(PDF)
参考資料2 対面により行われなければならない等とされている主な事例(第6回資料4)(PDF)
参考資料3 対面による販売の利点(生出構成員提出資料)(第6回資料7)(PDF)
参考資料4 安全性確保のための具体的方策に関する法令規定(第5回資料4)(PDF)
参考資料5 インターネット販売等における様々なコミュニケーション手段について(第5回資料6-1)(PDF)
参考資料6 インターネット・コミュニケーションと対面コミュニケーションにおける情報の伝わり方の差異についての意見書(後藤構成員提出資料)(第5回資料6-2)(PDF)
参考資料7 一般用医薬品のリスク分類の考え方について(第5回資料7)(PDF)
関連情報:
2013.04.19 第6回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.04.05 第5回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.03.22 第4回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.03.13 第3回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.02.27 第2回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.02.14 一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討が始まる
2009.08.31 若い世代ほど、注意が必要なOTCをネットで購入(国内研究)
2013.01.19 医薬品ネット販売に関する国内外の情報
2013.04.24 総合感冒薬は主婦が食料雑貨のついでに購入している?
2012.09.14 日本人はOTCの副作用や依存性はあまり気にかけない?
2013年04月26日 16:59 投稿
参考資料
一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する主な論点
(7)新しいルールについては、憲法や現行の法体系との整合性を図り、違憲・違法とならないものとする必要があるのではないか。
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この検討会自体が最高裁の違法判決を前提に討議されるべきものであるはずが、5年前と変わらぬ討議内容でしかない。日本国の官僚の方々には、順法意識・順法義務がないように思える。
遅くなりましたが、関連記事です。
なかなか具体的議論にすすまないようですが、次々回の検討会までに厚生労働省がたたき台を示すことが確認されたようです。
ネット販売検討会 次回以降、厚労省「原案」をもとに議論へ
(RISFAX 2013.04.26)
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=41117
【ネット検討会】条件提示も議論深まらず‐次々回までにたたき台
(薬事日報 2013.05.01)
http://www.yakuji.co.jp/entry31127.html
販売形態ごとの情報収集の可否が争点に
(日経DI 2013.04.27)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201304/530277.html
医薬品ネット販売、悪質業者対策で届出制検討、厚労省
(m3.com 2013.04.30)
http://www.m3.com/news/GENERAL/2013/4/30/171169/
第7回OTCインターネット販売検討会〜厚労省のシナリオが見えてきた!(前)
(NET IB NEWS 2013.04.30)
http://ib-kenko.jp/2013/04/7otc_0430_knk_01.html
第7回OTCインターネット販売検討会~厚労省のシナリオが見えてきた!(後)
(NET IB NEWS 2013.05.01)
http://ib-kenko.jp/2013/05/otc_2_0501_knk_02.html