14日、Lancet Oncology 誌のオンライン版に、ARBが発がんリスクを高める可能性があるとした論文が掲載され話題になっています。
Angiotensin-receptor blockade and risk of cancer: meta-analysis of randomised controlled trials
(The Lancet Oncology, Early Online Publication, 14 June 2010)
http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(10)70106-6/abstract
この研究は9つのRCTのメタアナリシスで、新しいがんの発症リスクが8%上昇、特に肺がんの発症リスクは25%上昇したとしています。(がんによる死亡リスクは有意差なし)
専門の研究者らからは、「上昇はわずかであり、かえって不安を煽るだけだ」という意見がある一方、「服用している人は多く、数字が小さいといっても、影響は十分考慮すべきだ」といった意見も示されています。
この研究では、服用していたARBがテルミサルタン(85.7%)だったということもあり、ベーリンガー・インゲルハイム社は、同日コメントを発表しています。(研究では、成分ごとのリスクの比較はしていない)
Boehringer Ingelheim affirms safety of telmisartan with an analysis of 50,000 patients and strongly disagrees with the publication of Sipahi et al in Lancet Oncology June 2010(2010.6.14)
http://www.boehringer-ingelheim.com/news/news_releases/press_releases/2010/14_june_2010_.html
参考:
Blood Pressure Drugs Linked to Cancer Risk
(Medpage TODAY 2010.06.13)
http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/OtherCancers/20652
Cancer link to common heart drugs
(BBC NEWS 2010.06.13)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/10295126.stm
2010年06月14日 16:26 投稿
この論文に対し、日本でもベーリンガー社とアステラス社が共同でステートメントを発表しています。
50,000例のデータの評価分析に基づき、テルミサルタンの安全性を確認
(アステラス株式会社 プレスステートメント 6月14日)
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/pdf/100614.pdf
米FDAは7月15日、ARBとがんリスクとの関連について現在調査中であることを発表しました。
そしてFDAとしては、ARBががんリスクを増加させると結論していないと発表しています。
FDA Drug Safety Communication:
Ongoing safety review of the angiotensin receptor blockers and cancer
(FDA 2010.7.15)
Angiotensin Receptor Blockers (ARBs):Ongoing Safety Review for Cancer Risk
(FDA Safety information 2010.7.15)