行政刷新会議、医薬品ネット販売の規制緩和検討は先送り

 15日、行政刷新会議が開催され、今年度中の結論を目指す項目をまとめた「規制・制度改革に関する分科会第一次報告書」が提示され、承認されています。

行政刷新会議(第10回)議事次第(2010年6月15日開催)
  http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi/honkaigi10.html

 分科会で出された案では、対処方針が「調整中」となっていた「一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和」は、最終的な報告書では項目自体が削除されています。

資料3:規制・制度改革に関する分科会 第一次報告書
  http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi/honkaigi/d10/pdf/s3.pdf

 CBニュースによれば、今回の削除について蓮舫行政刷新担当相は、「(内閣府の)政務三役が一体となって調整をさせていただいたが、残念ながら時間が足りなかった」と述べ、関係者から意見を聞いて、秋以降に引き続き検討する考えを示したそうです。

 参議院選挙にあたって近く示される民主党のマニフェストの内容によっては、秋以降「仕分け」を含めたバトルが展開されるかもしれませんね。

 一方、平成22 年1月18 日から2月17 日の1ヶ月間に募集して寄せられた「国民の声集中受付月間(第1回)」についての報告も行われています。

 受付月間に寄せれた意見は4,841 件で、うち3,817件(79%)は規制や制度に関するものが占め、さらにこのうちの1,827件が「医薬品通販規制の撤廃」を求めるものだったそうです。

参考資料4:「国民の声集中受付月間(第1回)」において提出された提案への対応について
 http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi/honkaigi/d10/pdf/ss4.pdf

 このうち、「規制・制度改革に関する分科会第一次報告書」に盛り込まれなかった90項目について、各府省と協議の上、対処方針をとりまとめたそうです。

資料4-1 「国民の声集中受付月間(第1回)」において提出された提案等への対処方針について
 http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi/honkaigi/d10/pdf/s4-1.pdf

 上記によれば、「処方せんの電子化」や「薬局の薬剤師不在時の閉鎖方法の緩和(薬局全体の閉鎖から調剤室及び第1類医薬品陳列棚の閉鎖へ緩和し、薬剤師不在時でも第2類、第3類医薬品を販売できるようにする)」などについて、今年度中の検討が開始されるそうです。

関連情報:TOPICS
  2010.04.30 医薬品ネット販売の規制緩和など、行政刷新会議での検討へ

参考:医療介護CBニュース6月15日
  http://www.cabrain.net/news/article/newsId/28126.html  


2010年06月16日 01:06 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    15日の蓮舫行政刷担当相のオープン記者会見のやり取りが、内閣府HPにアップされています。

    蓮舫内閣府特命担当大臣オープン記者会見要旨
    (2010年6月15日 内閣府6月21日掲載)
    http://www.cao.go.jp/kaiken/1006renho/2010/0615-2kaiken.html

    ネット販売についての質問はCBニュースの記者さんがしたんですね。


    (問)キャリアブレインの敦賀と申します。
     規制改革の報告書案の中で、ライフイノベーションで2点ペンディング事項があったと思います。EPAの受験機会の拡大と、あと医薬品のネット販売について、たしかペンディング事項だったと思うんですけれども、何か医薬品の項目はなくなっているような気もするんですけれども、この2点についてどうなったか、ちょっと教えてください。

    (答)これは、私が枝野前大臣から引き継いだときに、まさに検討事項になっていた2案件でございます。EPAに関しては、結果として載せさせていただいておりますが、インターネットの薬の販売は、今回項目ごと削除をさせていただいております。これは、取りまとめで労を多くされた大塚副大臣から詳細な報告は伺っておりますが、やはりインターネットの薬の販売となりますと、意見がどちらかというと極端といいますか、相反する方向に割れるものですから、それを調整するのが政治の役割で、まさに政務三役、副大臣、政務官が一体となって調整をさせていただいていたんですけれども、残念ながら時間が足りなかった。ただ、今回その項目ごと入れることはできなかったんですが、引き続き、秋においても第2弾をやろうと考えておりますので、これは丁寧に両者の声を聞きながら、私は進めていきたいと思っています。


    「両者の声を聞いて」とのことですが、覆面調査の結果(TOPICS 2010.06.18)が微妙に影響しそうですね。

    それと、薬害オンブズパースン会議、全国薬害被害者団体連絡協議会など15団体が、6月18日付で、「一般用医薬品のインターネット販売原則禁止の継続を求める要望書」を、厚生労働大臣、行政刷新担当大臣、消費者庁担当大臣あてに提出しています。

    一般用医薬品のインターネット販売原則禁止の継続を求める要望書15団体連名で提出
    (薬害オンブズパースン会議2010年6月18日)
    http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=757

    「対面販売の原則を堅持して、店頭販売を含め、専門家による実効性のある情報提供と相談対応を徹底して、改正薬事法の理念である一般用医薬品の適切で安全な使用を実現することである」とするなら、覆面調査の結果(TOPICS 2010.06.18)を踏まえて、業界団体にも要望書を出した方がいいんじゃないですかね。

  2. アポネット 小嶋

    「対面販売の原則を維持する」との表現を入れることに全委員が反対したとされる、6月7日開催の第3回規制・制度改革に関する分科会の議事概要と、会議後記者会見の内容が行政刷新会議ウェブサイトに掲載されています。

    第3回 規制・制度改革に関する分科会議事概要→リンク

    規制・制度改革に関する分科会(第3回)終了後記者会見録→リンク

    議事概要をみると、第1次報告書にネット販売が対処項目として盛り込まれなかったのは、対象項目に盛り込むことは分科会として「対面販売の原則を維持する」ことを認めることにつながるので、できないということだったようです。