19日、興和新薬株式会社は、フラボキサート塩酸塩(ブラダロン)のスイッチ品「レディガードコーワ」を新発売したと発表しました。改正薬事法の施行に合わせて外箱に「第1類医薬品」の表示が初めて入ります。
レディガードコーワ新発売(興和株式会社プレスリリース8月19日)
http://www.kowa.co.jp/s/s236.htm
レディガード製品情報 http://hc.kowa.co.jp/ladyguard/lineup.php
効能・効果は「女性における頻尿(排尿の回数が多い)、残尿感」で男性には使用できません。これは、医療用医薬品の禁忌に「下部尿路に高度の通過障害のある患者」が記載されているこから、前立腺肥大の男性が使用しないように、女性の頻尿治療薬として開発されたためです。
添付文書 HTML PDF(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構HP)
添付文書で注目点は、次の症状等がある人は何らかの重篤な疾患等による症状の可能性があるので、泌尿器科の専門医を受診することと記載されている点があげられます。
- 脳脊髄疾患(脳腫瘍、脳梗塞や脳出血等の脳血管障害、パーキンソン病、脊髄損傷、脊椎腫瘍等)の診断を受けた人
- 子宮癌又は直腸癌等の骨盤内手術を受けた人
- 血尿、排尿痛、膀胱痛、尿失禁の症状のある人
- 日中の頻尿がなく,就寝後のみ頻尿のある人
- 発症が急性(発症後1ヵ月以内)の人
つまり、販売時にあたっては「頻尿にはいろいろな原因が考えられ、薬剤師は購入希望者に上記に該当していないかどうかを確認してからの販売が求められている」のです。
承認にあたっての審議の議事録を見ても、「ある程度効果があるかなと思えば、漫然と使ってしまうのではないか」「頻尿があって残尿感がある方というのは、高齢者の場合はどうしても尿失禁がつながってくることがある。果たして、販売時そこまでご相談できる状況にあるか」などの意見が示され、薬剤師向けの情報の充実と薬剤師による適切な情報提供が求められています。
「マイセルフコーワ女性用・レディガードコーワ」(一般用医薬品の承認審査に関する情報)
(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構HP)
薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会 議事録(2007年9月5日開催)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/09/txt/s0905-3.txt
こういった状況にもかかわらず、興和のサイトにも日薬のHPにも販売者向けの情報が現時点では掲載されていません。
大正製薬といい興和といい、OTCを主力とするメーカーは消費者向けの情報サイトを掲載しても、なぜ販売者向けの情報を掲載しないのでしょうか? 商品を取り扱ったら情報がもらえるというのはもう少し考え直すべきではないでしょうか?
興和の場合、アピール度の高いTVコマーシャルを作ると思いますので、消費者が過剰な期待を持たないか心配です。私たちも十分な情報を提供できるようにしなくてはいけないでしょう。
おそらく、ネット販売業者がまたこれを出品するのでしょうが・・・
関連情報:TOPICS
2008.08.07 医薬品のネット販売制限は消費者の利便を損なうか?
2008年08月19日 23:23 投稿
もし男性がレディガードを服用してしまった場合どうしたら良い?
この「フラボキサート塩酸塩」には弱い副交感神経抑制作用があります。このため、人によっては排尿筋が弛緩、膀胱括約筋が収縮されて、尿が出ににくくなる場合があります。
男性の場合、この尿が出にくくなるという症状は、前立腺肥大に伴って生じる場合があり、前立腺肥大のある方が、この「フラボキサート塩酸塩」を服用するとこういった症状がさらに悪化することが考えられます。
今回、レディガードが「女性専用」となったのは、中高年に多い前立腺肥大の方が自己判断でこのくすりを飲んで、症状を悪化させないようにとする配慮のため(であれば、抗ヒスタミン剤入りの風邪薬も全て女性用にしなくてはなりませんね)で、男性が服用すると直ちに問題が生じるというものではありません。
医療用製剤(ブラダロン錠他)では、「下部尿路に高度の通過障害のある患者」には禁忌となっていますが、前立腺肥大症の方の使用は禁忌にはなっていませんので、前立腺肥大の可能性がある中高年が誤って使用しない限りは、服用を中止しさえすればよいと思います。
ブラダロン錠添付文書(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構HP)
私は、子宮筋腫で子宮を全摘出した40代です。乗物に乗るとすぐトイレに行きたくなります。バス旅行がにがてになります。今度バス旅行の計画があり服用してみようと購入しましたが、子宮癌ではありませんが、骨盤内手術というところがひっかかり、服用しても良いか悩んでいます。
投稿ありがとうございます。
申し訳ありませんが、本サイトではくすりについての個々の相談はお受けしていません。
頻尿はさまざまな原因でおこりますので、北村様の体調をよく把握されておられる、かかりつけの薬局(なければ是非この機会につくって下さいね)か、かかりつけの医師にご相談されることをおすすめします。