フルオロキノロンによる末梢神経障害は長期化する(米FDA)

 米FDAは15日、フルオロキノロン系薬剤(経口・注射)による末梢神経障害(Peripheral neuropathy)はいったん発症すると長期化する可能性があるとしてラベルの変更を求めるとともに、注意を呼びかけています。

FDA requires label changes to warn of risk for possibly permanent nerve damage from antibacterial fluoroquinolone drugs taken by mouth or by injection
(FDA Drug Safety Communication 2013.08.15)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm365050.htm
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM365078.pdf

 フルオロキノロン系による末梢神経障害は、既に知られている副作用の一つ(といっても個人的にはこれまであまり重視していなかった)で、米国でも2004年に全てのフルオロキノロンに対してラベルへの追記が行われていましたが、FDA有害事象報告システム(AERS)のレビューから、投与数日以内の急激な発症ケースや、フルオロキノロン中止後も1年以上症状が継続するケースが確認されたことから、今回改めて、ラベルの変更を伴う注意喚起が行われるようです。

 FDAでは患者に対し、フルオロキノロン系薬剤(点眼・点耳を除く)を使用中に、手や足に、痛みや熱感、むずむず感(tingling)、しびれ、脱力感(weakness)、感覚異常を感じた場合には、フルオロキノロンを中止したり、他の抗菌剤に変更する場合があるとして、医療専門職にまず相談することを呼びかけるとともに、調剤時に添付される“Medication Guide”をきちんと読むよう呼びかけています。(医療専門職はきちんと交付する)

 FDAのアナウンスでは、引用文献は示されていませんが、Pubmedで調べると古いものが多いのですが、いくつかの研究があります。

Peripheral neuropathy associated with fluoroquinolones.
(Ann Pharmacother. 2001 Dec;35(12):1540-7.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11793615

Peripheral sensory disturbances related to treatment with fluoroquinolones.
(J Antimicrob Chemother. 1996 Apr;37(4):831-7.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8722551
http://jac.oxfordjournals.org/content/37/4/831.full.pdf

関連記事:
ニューキノロン系薬の末梢神経障害に関する警告強化へ,米FDA
(MT Pro 2013.08.16)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1308/1308049.html

8月16日 17:40リンク追加


2013年08月16日 11:05 投稿

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