論文・報告あれこれ 2014年4月

 他サイトではあまり紹介されていない、ちょっと気になった論文や報告などをピックアップしました。紹介の日付が5月以降となっていますが、ツイートした時期に合わせて、この月の分として取り扱わせて頂きました。

 気になったものは独立記事にするかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。これから (J-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります) 

 ★更新することが多いので、2013年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。  

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
05.11 某ファミリーレストラングループにおける客席禁煙化前後の営業収入の相対変化 未改装店,分煙店の相対変化との比較
(日本公衆衛生雑誌 61(3) p130-135,2014)

ファミレスのロイヤルホストの協力を得て行われた研究。禁煙化と分煙化の改装がランダムに行われていないなどの限界があるものの、客席を全面禁煙とすることにより営業収入が有意に増加するが、分煙化では有意な増加は認めらなかったと結論づけた。ちなみに同社では、2013.11より客席全席禁煙を実施している(→プレスリリース
05.11  高血圧治療ガイドライン2014
(日本高血圧学会)

珍しくオンライン版がオープンアクセス。
05.11 保険薬局における小包装製品の箱出し調剤による薬剤師業務に関する研究
(薬学雑誌 早期公開 2014.04.25)
(アドレス変更となる可能性あり)
上田薬剤師会で行われた研究。計数調剤と比較して、薬剤師の調剤時間の変化、調剤ミスの有無、包装形態の違いによる薬剤師ならびに患者の満足度について検討した。
05.11 Case of Pregabalin-Associated Heart Failure Decompensation in a Patient With a History of Stage I Heart Failure.
(Ann Pharmacother Published Online 25 Apr 2014)
心不全患者にプレガバリンを投与し、心不全が悪化したという症例報告。心不全患者へのプレガバリン(リリカ)の投与はやはり不向きで、使用する場合は、モニターが必要だとした。
05.11 The Association between Influenza Treatment and Hospitalization-Associated Outcomes among Korean Children with Laboratory-Confirmed Influenza
J Korean Med Sci. Published Online 1 Apr 2014)
韓国のコホート研究。インフルエンザ罹患時に、タミフルに抗生剤を上乗せすることは、かえって入院期間や発熱を長引かせる(?)とした。
05.11 Beneficial Effects of Rikkunshito, a Japanese Kampo Medicine, on Gastrointestinal Dysfunction and Anorexia in Combination with Western Drug: A Systematic Review
(Evid Based Complement Alternat Med Published Online 20 Mar 2014)
西洋薬との併用に関する六君子湯についてのシスティマティック・レビュー
05.11 Non-steroidal anti-inflammatory drugs and the risk of atrial fibrillation: a population-based follow-up study
BMJ Open Published Online 8 Apr 2014)

NSAIDsの使用と心房細動の発症リスクの関連を調べた、オランダの前向きコホート研究。研究者らはリスク増があるとしたが、NHS Choices の解説記事では、使用状況が正確に把握されていないなどとして、NSAIDが、心房細動のリスクを増大させることを証明するものではないとしている。
05.11 後発医薬品による医療費適正化に関する調査研究報告書
(健保連 2013.06)

ちょっと前のものですが、英仏における、後発医薬品使用促進のための施策とそ
の効果、今後の課題・問題点等を文献から整理し、わが国の今後の後発医薬品使用促進策を検討したもの。
05.11 Antimicrobial resistance: global report on surveillance 2014
(WHO 2014.04.30)
耐性菌の現状をまとめたWHOのレポート

05.11 Guidelines for the screening, care and treatment of persons with hepatitis C infection
(WHO 2014.04.08)

費用などにも言及している。

05.11 ADVERSE DRUG EVENTS IN CHILDREN UNDER AGE 18
ISMP Quarterwatch Published 16 Jan 2014)
2008-2012にFDAに報告があった18歳未満の45610例の有害事象報告を解析したもの。1位はインフリマキシブ、2位はモンテルカスト、3位はソマトロピンだった。
05.11 Attention-deficit hyperactivity disorder (ADHD) stimulant medications as cognitive enhancers
(Front Neurosci Published Online 29 May 2013)
精神刺激薬のメチルフェニデートやアンフェタミンの非医療使用や濫用の現状についてまとめたもの。
05.11 Digital Drug Safety Surveillance: Monitoring Pharmaceutical Products in Twitter
Drug Saf Published Online 29 Apr 2014)
アルプラゾラム、シタロプラム、デュロキセチン、ガバペンチン、イブプロフェン、イソトレチノイン、ラモトリギン、レボノルゲストレル、メトホルミン、メトトレキサート、ナプロキセン、オキシコドン、パロキセチン、プレドニゾン、プレガバリン、セルトラリン、トラマドール、バレニクリン、ベンラファキシン、ワルファリン、ゾルピデムの23剤について、Twitterのツイートを収集し、FDAへの報告データとの比較を行ったもの。
05.11 Antidepressant Dose, Age, and the Risk of Deliberate Self-harm
JAMA Intern Med Published Online 28 Apr 2014)

抗うつ薬を推奨された用量より多く使用すると意図的な自傷リスクが高まるかもしれないとした報告。
05.11 Effects of 14 frequently used drugs on prostate-specific antigen expression in prostate cancer LNCaP cells
Oncol Lett Published Online 5 Mar 2014)
岐阜薬大の報告。アムロジピン、ロキソプロフェンなど14薬剤についてPSA値への影響をHuman prostate carcinoma LNCaP cells を用いて調べたもの。ベタメタゾンは影響を受ける可能性があるという
05.11 Statins use is associated with poorer glycaemic control in a cohort of hypertensive patients with diabetes and without diabetes
(Diabetology & Metabolic Syndrome Published Online 23 Apr 2014)
スタチン使用は、高血圧患者と糖尿病を有する高血圧患者のHbA1cレベルの増加と関係しているとした。
05.11 メマンチン塩酸塩(メマリー®)の中等度および高度アルツハイマー型認知症に対する長期投与時の忍容性ならびに有効性の検討
(日本老年医学会雑誌 51(1) p74-84 2014)
2002年~2011年の本邦で実施したメマンチン塩酸塩の種々の臨床試験の結果を集計し、長期忍容性と有効性を検討したもの。
05.11 Adverse Drug Reaction Reporting by Patients: An Overview of Fifty Countries.
Drug Saf. Published online 15 Apr 2014)
海外の副作用患者直接報告システムの現状などについてまとめたもの。フルテキストで確認したい。
05.11  Case management for blood pressure and lipid level control after minor stroke
CMAJ Published online 14 Apr 2014)

看護師主導によるケアより薬剤師主導によるケアの方が目標達成されるとしたカナダ・アルバータ州の報告。
05.11 Statin use and incident dementia: A nationwide cohort study of Taiwan
Int J Cardiology Published Online 31 Mar 2014)

台湾の population-based retrospective cohort study。スタチンの使用が高齢者の認知症の発症リスクを低めるかもしれないとした。
05.11 Oral health, dental care and mouthwash associated with upper aerodigestive tract cancer risk in Europe: The ARCAGE study
Oral Oncology Published online 28 Mar 2014)

1963人の口腔関連のがん患者とライフスタイルの関連を調べた、欧米で行われた多施設共同研究(case-control study)。うがい薬を1日3回以上行う人でオッズ比が上昇したことから、英国で大きく報道された。アルコール配合のうがい薬の使用が原因とされたが、詳しく調べられたものではない様子。
05.11 Donepezil and life expectancy in Alzheimer’s disease: A retrospective analysis in the Tajiri Project
BMC Neurology Published Online 11 Apr 2014)
ドネペジルの使用と平均寿命との関連を調べた国内の研究。
05.11 The association between zolpidem and infection in patients with sleep disturbance.
(J Psychiatr Res Published Online 27 Mar 2014)
台湾の研究。ゾルピデムの使用は感染のリスクを増加させるとした。
05.11 Trends in Inappropriate Drug Therapy Prescription in the Elderly in Sweden from 2006 to 2013: Assessment Using National Indicators
Drugs & Aging Published Online 1 Apr 2014)
適切な処方のGLが示されているスウェーデンでは、高齢者への不適切な処方が減少傾向にある。長時間型BZ(ジアセパム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム)は半減。一方でオキサゼパムやゾピクロンは増加。
05.11 Taste hyposensitivity in Japanese schoolchildren
BMC Oral Health Published Online 11 Apr 2014)
こどもたちの味覚が低下しているとした報告。口腔内の健康状態との関連はほとんどないとした。日頃の食生活(食行動)の影響ってどれだけあるんだろう。
 05.11 小児急性中耳炎の取り扱い
日本と米国の2013年版小児急性中耳炎ガイドライン
-が変わり,どこが変わらなかったのか―

(日本耳鼻咽喉科学会会報 117(3) p168-174 2014)
 
05.11 Onset time of hyperkalaemia after angiotensin receptor blocker initiation: when should we start serum potassium monitoring?
(J Clin Pharm Ther Published Online 22 Nov 2013)
入院患者を対象とした韓国の研究。ARBによる高カリウム血症は投与開始直後に頻繁に発生するとして、投与開始数日以内に、血清カリウムの測定とGFRのモニタリングを行うべきだとした。
05.11 Self-induced burn injury from thermal footbath in patients with diabetes neuropathy—a common mishap in Asian culture
Br J Med practioners 7(1) 702 2014)
マレーシアでは糖尿性神経傷害に足湯を用いることがあるらしい。これは、適切でないと大変なことになるという症例報告。日本でも注意が必要かも。
05.11 Potentially Inappropriate Prescribing in Older Primary Care Patients
PLoS ONE Published Online 24 Apr 2014)
セルビアの地域薬局で行われた研究。
05.11 A case of levocetirizine-induced fixed drug eruption and cross-reaction with piperazine derivatives
Asia Pac Allergy Published Online 31 Oct 2013)
韓国の症例報告
05.11 2013 Annual Report on EudraVigilance for the European Parliament, the Council and the Commission
(EMA 2014.4)
EUにおけるファーマコビジランスに関する年次報告。2013年に検出されたシグナルと現時点での対応状況が記されている。
05.11 Minutes of the meeting on 3-6 March 2014
(EMA Published Online 28 Apr 2014)
EMA PRAC の議事録。

最終更新日:2014年5月12日

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