欧州医薬品庁(EMA)は22日、ケトプロフェン外用剤に関するレビュー結果を公表し、ケトプロフェン外用剤は医師による処方でのみ使用されるべきとした勧告を発表しています。
Meeting highlights from the Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP) 19-22 July 2010
(EMA 2010.7.23)
European Medicines Agency confirms positive benefit-risk balance of topical formulations of ketoprofen
(EMA PRESS RELEASE 2010.07.22)
欧州でも、ケトプロフェン外用剤はオランダを除く各国で、クリーム、ゲル、液、プラスター剤として販売されていますが、フランスで今年はじめ、光線過敏症などの有害事象によりゲル剤の販売承認が一時停止されたことを受け、EMAとしてのレビューが行われたようです。
Gel Ketum® contenant du kétoprofène : suspension de la décision de l’Afssaps portant sur l’autorisation de mise sur le marché – Point d’information
(afssaps 2010.05.12 フランス語)
EMAではレビューの結果、重篤な光線過敏症の発症は100万人に1人程度であり(日本では、この比ではないとは思うのですが。やはり適正使用が行われている?)、ベネフィットがリスクを上回るとしながらも、octocrylene が含まれる製品(=a chemical sun filter included in several cosmetic and care products、つまり日焼け止め剤?)と併用されると、光線過敏症のリスクが高まることがあるなど、ケトプロフェン製剤による光線過敏症の可能性について医療専門職による説明が必要だとして、医師による処方のみで使用されるべきであるとしています。
日本では、ケトプロフェン外用剤は第一類医薬品として、一部でOTCとして販売が行われていますが、やはりしばしば指摘されるのがいわゆる使い回しによる光線過敏症の発現です。
また、この季節でもどうかと感じるのですが、今でも肌の露出部への使用目的にケトプロフェンパップ・プラスター剤の処方をしばしば見かけます。医師の光線過敏症への認識はどうなのでしょうか?(患者さんも先生が出すんだから安全と考える人もいるんだろうな)
日本でも、ケトプロフェンを処方せん医薬品に戻して、使い回しを行いにくくする、慎重な処方が行われる雰囲気を作る必要があるかもしれませんね。
関連情報:TOPICS 2010.06.11 5割以上の家庭で処方薬の使い回し、友人間でも
2010年07月26日 00:30 投稿
フランス医薬品庁が、ケトプロフェン外用剤の販売停止を命じたのに対し、供給者から提訴があり、執行停止の仮処分が確定していたそうです。 6月の欧州セルフメディケーション協会年次総会においてフランスOTC医薬品協会の人に聞いても、BTCで引き続き販売されているとのことでした。 今回の判断は、EUとしての整合性を確保しようとするもので、結果として処方せん医薬品として流通させる事など、リスク最小化措置を講じ、3年以内に見直しを行なうという混乱回避措置のように受け止められました。
日本では第一類医薬品のパップ剤と第二類医薬品の外用塗布剤とがあるようです。圧倒的に大量の出回りは医療用貼付剤にみられるようです。
日本でのOTC医薬品での被害発生事例は、今回の欧州の評価よりも更に少ないようです。 我が国
での評価がどうなるか、未だ不明ですが、オクトクリレン配合の化粧品や医薬部外品とのかかわりについては、注意が必要と思われます。
日本語訳概要が、海外公的機関 医薬品安全性情報 に掲載されました。
医薬品安全性情報Vol.8 No.17(2010.8.19)
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/17100819.pdf
薬事食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 安全対策調査会(平成22年度第6回)
2010年10月8日(金)午後5時から7時
厚生労働省専用第23会議室
議事
1. アゼラスチン塩酸塩のリスク区分について
2. アデノシン三リン酸ナトリウムのリスク区分について
3. ケトチフェンフマル酸塩のリスク区分について
4. トリアムシノロンアセトニドのリスク区分について
5. ラノコナゾールのリスク区分について
6. ミノキシジルのリスク区分について
7. ケトプロフェン外用剤の安全対策およびリスク区分について
8. その他
まず、議事1.から6.までが一括して事務局説明ののち、順次リスク区分の変更について意見が求められた。結果は以下の通り。
1. アゼラスチン塩酸塩 ⇒2
2. アデノシン三リン酸ナトリウム ⇒2
3. ケトチフェンフマル酸塩 ⇒2
4. トリアムシノロンアセトニド ⇒② 指定第二類
5. ラノコナゾール ⇒② 指定第二類
6. ミノキシジル ⇒1
いずれも、パブコメを求めたうえ、告示改正を行う。
次いで、議事7の前半として、欧州におけるケトプロフェンの評価について説明がなされ、使用上の注意の改訂などが提起された。結果は以下の通り。
ケトプロフェン外用剤(医療用)については、使用上の注意を改訂する。これに伴い、一般用についても、使用上の注意を改訂するなどしたうえで、販売の継続を認める。
さらに、議事7の後半に移った。審議の結果は以下の通り。
市販後調査を終了したケトプロフェン外用剤(一般用、貼付剤)について、(現行の第一類の区分から)指定第2類に移す。また、現在第2類とされているその他の一般用ケトプロフェン外用剤(塗布剤)についても、指定第二類に移す。
パブコメを求めたうえ、告示改正を行う。
その他においては、まず、先に追加された一般用漢方処方(加減法が主体)について、一括して第2類に指定する追加告示を行うことが報告・了承された。また、先の部会で承認された一般用医薬品のリスク区分の検証を進めるWGについてその構成及び作業の進め方が以下の通り説明され、いずれも了承された。
8つの専門分野毎に2ない4名の委員をリストし、作業の進展に合わせ、適宜召集のうえ、意見を集約する。作業は、配合剤のリスク区分の見直しに取り組むものとし、まずは生薬製剤、次いで漢方処方、その後(いわゆる西洋薬からなる)その他の配合剤の見直しを進める。考え方としては、従来配合されている成分にのみ着目していたが、配合量や比率などを加味した検討を行う。
専門分野(薬剤;生薬;漢方医学;皮膚;アレルギー;呼吸器;肝臓;腎臓;)
いつも情報ありがとうございます。
やはり指定第二類に移行ですか。(貼付剤を指定第二類にリスク強化?は評価できますが)
大丈夫なのですかね。医療用だっていまだ光線過敏症の報告が少なくないのに。そういったことを考慮しているんですかね?
指定第二類の情報提供のあり方も考える必要があるかもしれませんね。
どこかに資料が掲載されたら、記事にしたいと思います。
関連情報:TOPICS 2010.03.25 リアップなど、リスク分類変更に動き出す