規制改革に関する第3次答申が公表(Update3)

 医薬分業などへのバッシングや市販品類似薬の保険給付範囲の見直し、スイッチ推進など、私たちの関係の深い分野についてこの間、公開・非公開でさまざまな議論が行われたきた規制改革会議(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/meeting.html)ですが、16日、答申としてまとめられ、首相に提出されています。

規制改革に関する第3次答申~多様で活力ある日本へ~
(規制改革会議 2015年6月16日)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/publication/p_index.html
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/publication/150616/item1.pdf

 このうち、私たちとの関係が深い、健康医療ワーキング・グループ(WG)の分野については、「国⺠の利便性向上」「医療・福祉サービスの発展による経済の活性化」「保険財政の健全化」の3つの基本的考えのもとに規制改革に関する考え方が示されています。

 注目の構造的独立の規制については、答申書でははっきりしませんが、各紙報道によれば、公道を介するやフェンスの設置、(おそらく敷地内の薬局も?)については規制緩和する一方、院内薬局(建物内薬局)については、今回答申では見送られたようです。

 一方で、公開ディスカッションでも取り上げられた、リフィル処方についても言及しています。(答申書11ページ)

関連分野の具体的な規制改革項目は以下の通りです。

①医薬分業推進の下での規制の見直し
ア. 薬局における診療報酬とサービスの在り方の見直し

  • 薬局全体の改革の方向性の検討(平成27 年度検討・結論)
    (地域包括ケアの推進において、薬局及び薬剤師が薬学的管理・指導を適切に実施する環境を整える観点から、かかりつけ薬局の要件を具体的に明確化するなど、薬局全体の改革の方向性について検討する)
  • 調剤報酬の見直し(平成27 年度検討・結論、次期診療報酬改定において措置)
    (門前薬局の評価を見直すとともに、患者にとってメリットが実感できる薬局の機能は評価し、実際に提供したサービスの内容に応じて報酬を支払う仕組みに改めるなど、努力した薬局・薬剤師が評価されるようにする)
  • サービス提供の在り方の検討(平成27 年度検討・結論、平成28 年度措置)
    (薬局においてサービス内容とその価格を利用者に分かりやすく表示し、利用者が薬局を選択できるようにする。さらに、利用者がサービスごとに利用の要否を選択できるよう、提供されたサービスを利用者が確認することも含めてサービスの提供の在り方を検討する)
  • リフィル処方せんの導入の検討(平成27 年度検討・結論)

イ. 政策効果の検証を踏まえたPDCA サイクルの実施とそれに基づく制度の見直し
~医薬分業の政策効果について、医薬品による治療の安全性向上と保険財政の効率化の観点から、定性・定量両面で検証を行い、検証結果等を踏まえて、今後の医薬分業推進における政策目標や評価指標を明確化する。

  • 政策目標や評価指標の明確化(平成27 年度検討・結論)
  • 制度の見直しへの反映(平成27・28 年度検討・結論、平成29 年度措置)

ウ. 保険薬局の独立性と患者の利便性向上の両立(平成27 年度検討・結論、平成28年度措置)

エ. ICT 技術を活用した服薬情報の一元化(平成27 年度検討・結論)

②医薬品に関する規制の見直し
ア. 新医薬品の14 日間処方日数制限の見直し(平成27 年度検討・結論)

イ. 市販品と類似した医療用医薬品(市販品類似薬)の保険給付の在り方等の見直し

  • 医療用医薬品の給付及び使用の方策(平成27 年度検討・結論)
  • 調査(ビタミン剤とうがい薬の医療費適正化の検証)の公表(平成27年度措置)

ウ. スイッチOTCの更なる推進(平成27 年度措置)

健康・医療分野(概要)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/publication/150616/item2-2.pdf




 今後はこの答申に沿った内容が中医協などで提案されると思いますが、かかりつけ薬局推進のためにも、リフィル処方箋やスイッチOTCの更なる推進などは前向きな検討をしてもらいたいものです。

 製薬や医療関係の団体は、今回の答申についてどのような反応を示すでしょうか?(日薬もプレスリリースで見解を発表してよ)

参考:
規制改革会議が安倍首相に答申「薬局機能に応じた調剤報酬抜本的見直し」明記
(日経DI 2015.06.17)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201506/542677.html

【規制改革会議】門内薬局、提言は見送りへ‐第3次答申まとまる
(薬事日報 2015.06.17)
http://www.yakuji.co.jp/entry44203.html

関連情報:TOPICS
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6月17日 15:30 16:15 23:10更新


2015年06月17日 14:48 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    日薬がプレスリリースを出しています。

    規制改革に関する第3次答申について
    (日本薬剤師会 2015.06.17)
    http://www.nichiyaku.or.jp/action/pr/2015/06/20150617pressrelease.pdf

    保険薬局の構造規制の見直しについては、答申の中で「医薬分業の本旨を推進する措置を講じる中で、患者の薬局選択の自由を確保しつつ」規制を改めると明記されており、患者の薬局選択の自由をはじめとする本会のこれまでの主張が理解されたものと考えています。

    しかし、昨日からの一部報道に見られるように、今回の答申が院内薬局への道につながるかのような誤解が生じる余地も残っています。本会としては、今後具体的な内容を議論していく過程で、こうした懸念を払拭し、引き続き、医薬分業の本旨である「患者本位のかかりつけ薬局」の着実な推進に向けた検討が行われるよう、厚生労働省に強く申し入れを行っていくとともに、関係者の理解を深めるべく取り組んで参ります。

    さらに、保険薬局の独立性等以外の「薬局における診療報酬とサービスの在り方の見直し」などの項目については、中医協等での診療報酬(調剤報酬)改定に向けた議論を含めて具体的な検討が進められていくことになりますが、本会としてはその中で積極的に意見を述べていく所存です。