論文・報告あれこれ 2016年9月

 しばらくお休みにしていましたが、ちょっとメモとして再開してみました。紹介日は基本的にツイートした日です。(続くかなあ?)

 他サイトではあまり紹介されていないものを中心に、ちょっと気になった論文や報告、発表などをピックアップしました。気になったものは独立記事に するかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。必ずしも最近アップされたものとは限りません。(特にJ-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間 過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります)

 ★更新することが多いので、2013年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。

 右下にこのページの最終更新日を記してあります。

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
09.18 Current Safety Concerns with Human Papillomavirus Vaccine: A Cluster Analysis of Reports in VigiBase
Drug Safety Published Online 16 Sep 2016)
WHOのVigiBase(関連性が疑われる国際的副作用データベース)の2015年1月1日までのHPVワクチンに関するデータを解析したもの。あえて、日本とデンマークのデータを除外しての解析も行った。
09.18 Report on long-lasting symptoms following HPV-vaccination
(Lareb 2015.12.14)

Cervarix接種後の有害反応231例の追跡調査結果をまとめた上記論文で引用されているオランダLarebのレポート。ワクチン接種との因果関係については、can not be concluded nor excluded.とし、一部について疫学調査が必要と勧告
 09.17 Antibacterial Soap?
You Can Skip It — Use Plain Soap and Water

(FDA Consumer Update 2016.09.02)
禁止が決まった抗菌石鹸に関する情報をわかりやすくまとめたもの
09.17 Gabapentin – Assessing the Potential Risk of Serious Breathing Problems
(Health Canada Summary Safety Review 2016.09.16)
レビューの結果、ガバペンチンの使用と重篤な呼吸障害のリスクと関連付ける証拠があるとして商品情報に記載るする。高齢者や呼吸障害をもたらす薬剤との併用もリスクが高いとした。
09.15 Stronger, clearer labels for over-the-counter acetaminophen products to further address the risk of liver damage
(Health Canada 2016.09.15)

カナダにおけるアセトアミノフェンの新たな過量服用対策の公表。包装制限の必要との声も。
09.16 喫煙と健康
(喫煙の健康影響に関する検討会報告書)

(厚労省2016.8)

13にまとめられた 「喫煙と健康問題に関する検討会報告書」を踏まえ、受動喫煙問題など喫煙に関する新たな科学的知見、たばこの規制に関する世界的動き、国内のがん対策、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けての受動喫煙防止対策を強化のためにまとめらたもの。内容の拡張・更新にはH27厚生労働科学研究が寄与した。
09.16 脱たばこ社会の実現過程における社会経済影響に関する研究:たばこ対策の加速化に向けてのエビデンス
(H27厚生労働科学研究)
先行研究、資料等から、社会経済面での影響をレビューし、脱たばこ社会の実現に向けて必要な、社会経済的面を考慮した効果的なたばこ対策のあり方を検討したもの。
09.16 特定健診・保健指導における健診項目等の見直しに関する研究
(H27厚生労働科学研究)
γ-GTPは糖尿病の発症だけでなく、脳・心血管疾患の発症も予測することが示された。また慢性腎臓病、各種の心電図所見や眼底検査所見は脳・心血管疾患の発症を、蛋白尿は腎機能低下を予測する指標であった。
09.16 内服薬処方せんの記載方法標準化の普及状況に関する研究
(H27厚生労働科学研究)

「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書」(平成22年1月)に沿った、内服薬処方せんの記載方法の標準化の普及状況について調査したもの。医療機関やシステムベンダーは保険局通知の存在は8割以上が認識しているが、実行しているのは医療機関で14%に留まった。(そんなにあるの? 検討会までやったのに)
09.15 認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル (第二版)
(国立長寿医療研究センター長寿政策科学研究部)

車社会の地方の方には必見。認知症と自動車運転について考えるために、事例を挙げて、認知症の解説や運転を中止ししなければいけなくなった時の対応などをまとめたものでわかりやすい。H27厚生労働科学研究として行われた。
09.15 かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)

非専門医であるかかりつけ医に向けて、抗精神病薬使用の意義と危険性、開始や中断の基準、記載されている薬剤の種類や投与量などに対してより明確な記載や加筆修正を行い、かかりつけ医の医療安全の向上をめざした。H27厚生労働科学研究として行われた。
09.15 子供の医薬品誤飲防止のための包装容器評価に関する研究
(H27厚生労働科学研究)
医薬品誤飲事故の防止対策としては、まず第一に、国民に対する事故防止の啓発活動を、行政、製薬企業、医療機関・薬局が一体となって継続的行うことが必要であるとした。
09.12 Comparative Review of Approved Melatonin Agonists for the Treatment of Circadian Rhythm Sleep-Wake Disorders
Pharmacotherapy Published Online 1 Sep 2016)
アゴメラチン、徐放性メラトニン、ラメルテオン、Tasimelteon について検討
09.12 Can social media data lead to earlier detection of drug-related adverse events?
Pharmacoepidemiol Drug Saf Published Online 7 Sep 2016)
アトルバスタチンとシブトラミンについて、患者支援グループのウェブサイトの口コミを検討
09.12 Use of drugs for ADHD among adults—a multinational study among 15.8 million adults in the Nordic countries
Eur J Clin Pharmacol Published Online 1 Sep 2016)
ADHD治療薬の使用はこの5年で倍増。88%でメチルフェニデート製剤が使用されていた。
09.10 Evaluation of pharmaceutical lifesaving skills training oriented pharmaceutical intervention.
(Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences Published Online 7 Sep 2016)
岡山大薬学部の学部教育で行われている救命薬学講座の教育成果
09.06
09.06 Risk of Extrapyramidal Adverse Events With Aripiprazole
J Clin Psychopharmacol. 2016 Oct;36(5):472-4.)
09.06 Efficacy of triple therapy with esomeprazole, amoxicillin, and sitafloxacin as a third-line Helicobacter pylori eradication regimen
Int J Infect Dis Published Online 30 Aug 2016)

東大が行ったエソメプラゾール、アモキシシリン、シタフロキサシン3剤併用による除菌の有効性の研究
09.06 Expert opinions on the first-line pharmacological treatment for delirium in Japan: a conjoint analysis.
Int Psychogeriatr. 2016 Jun;28(6):1041-50.)
09.05 Drug-induced Gynaecomastia
Prescriber Update 2016; 37(3) September)

ニュージーランド副作用モニタリングセンターに報告された女性化乳房の原因薬剤の上位は、スピロノラクトン、オメプラゾール、シメチジン、ラニチジン、リスペリドン、シンバスタチンだった
09.04 Abstracts of the Royal Pharmaceutical Society (RPS), Annual Conference 2016, 4–5 September 2016, ICC Birmingham, UK
Int J Pharmacy practice Published Online 29 Aug 2016)
オープンアクセス(現時点)で読めるのはありがたい。ポスター数が結構すごい。
09.04 Medication use and the risk of motor vehicle collisions among licensed drivers: A systematic review
Accid Anal Prev. Published Online 25 Aug 2016)
09.04 Pharmacist-led minor ailment programs: a Canadian perspective
Int J Gen Med Published Online 10 Aug 2016)
09.01 Attitudes Toward Prohibiting Tobacco Sales in Pharmacy Stores Among U.S. Adults
Am J Prev Med Published Online 1 Sep 2016)

CDC研究者による薬局がたばこを販売することの是非について調査結果。成人の2/3は販売は好ましくないとした。
09.01 Over 150 pharmacies provide warfarin service
(NZ 2016.08.29)

ニュージランド保健相の発表。2010年から15地区でパイロット事業として開始され、2012年には全国事業に。薬局で指採血し測定、用量の調整が可能だという。
09.01 救命救急センターにおける90歳以上の超高齢者に対する集中治療の意義
(日本集中治療医学会雑誌 236(5) 561-566,2016)

09.01 FDA warns about serious risks and death when combining opioid pain or cough medicines with benzodiazepines;requires its strongest warning
(FDA Drug Safety Communication 2016.08.31)

この内容だと、コデイン類が含まれる日本の市販の風邪薬や咳止めとBZ系(ベンゾジアゼピン系)の併用は好ましくないということになるわけだが・・・
09.01 薬局薬剤師の疑義照会による医療費削減効果及び医薬分業率との関連性 -全国薬局疑義照会調査-
(薬学雑誌 136(9) 1263-1273,2016)

 


最終更新日:2016年9月22日