ツイッターと論文・報告あれこれ 2017年9月で紹介しましたが、健保連は9月25日に、国民皆保険制度の維持に向けた提言「2025年度に向けた医療・医療保険制度改革について」を発表し、このなかで、保険給付範囲を見直しや薬剤費の伸びを抑制のため、服薬指導管理、処方変更、分割調剤(リフィル処方)など、薬局・薬剤師が本来果たすべき機能を発揮する体制づくりを構築すべきとした提言を行っています。(→リンク)
「2025年度に向けた医療・医療保険制度改革について」を発表
’(健保連 2017.09.25)
http://www.kenporen.com/press/2017-09-25-21-00.shtml
かなり思い切ったことを言うなとその時は思ったのですが、実は独自に海外の薬局や薬剤師の役割や薬剤政策を独自に調査し、まとめていたことがわかりました。
健保連海外医療保障
http://www.kenporen.com/study/medical-security/
目次がないので、これだけでは何が書かれているかがわかりませんが、中身をよくみたところ、薬剤政策と題する複数のレポートがまとめられていましたので、項目だけ書き出してみました。(健保連さんすみません)
表題・著者 | 概要・コメント |
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ドイツ医療保険における薬剤支給に関する政策
松本 勝明(熊本学園大学教授)
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ドイツにおける薬剤政策の動向
藤本 健太郎(静岡県立大学准教授)
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フランスの薬剤政策
稲森 公嘉(京都大学教授)
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フランスの薬剤政策の動向
稲森 公嘉(京都大学教授)
(→健保連海外医療保障 No.109)
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英国NHSにおける薬剤給付 ─高額薬剤に対する給付、OTC 薬の使用に関して 亀井 美和子(日本大学教授)
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英国NHSにおける薬局の役割 ─高齢社会を見据えたロードマップ 亀井 美和子(日本大学教授)
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イギリスの薬剤政策と薬局・薬剤師の役割
田畑 雄紀(関西大学非常勤講師)
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アメリカの薬剤政策─薬価のあり方を中心に
石田 道彦(金沢大学教授)
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アメリカの薬剤政策─薬剤師の業務拡大と薬価 高騰への対応 石田 道彦(金沢大学教授)
とをんきょに |
まだ、これらのレポートを精査してませんが、箱出し調剤など制度面は異なりますが、健保連は独自のこういった調査で、もっと薬剤師の職能を生かせという提言が可能になったと思います。
こういった海外の取り組みがあることから、中医協などの審議会や講演会などでの、健保連の委員の方々の力強い発言があるのだと思う一方、改めて薬歴の一元管理で医薬分業のメリットばかりを追っている日本はどうなのかとも思いました。
是非、一読をお勧めします。
関連レポート:論文・報告あれこれから
紹介日 | 論文・報告タイトル (紹介記事・ブログ、関連論文) |
概要・コメント |
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2017.08.15 | Cost Effectiveness of Support for People Starting a New Medication for a Long-Term Condition Through Community Pharmacies: An Economic Evaluation of the New Medicine Service (NMS) Compared with Normal Practice (Pharmaco Economics 2017 Aug 3) |
英国の地域薬局で行われている、New Medicine Service(NMS)の費用効果を検討したもの |
2017.07.16 | A cross-sectional study using freedom of information requests to evaluate variation in local authority commissioning of community pharmacy public health services in England (BMJ Open 2017 Jul 10; 7(7)) |
イングランドの地域薬局における public health services の現状をまとめたもの |
2017.06.25 | Remuneration and Regulation of Community Pharmacy – Literature Review (豪保健省 2016.11) |
豪保健省が薬局に対する報酬を決めるため、外部に委託して調査研究した報告書。豪、NZ、日本、米、加、仏、スペイン、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スェーデン、英、アイルランドの医療制度などが紹介されたもの。日本は保険制度、薬局や卸を取り巻く状況を文献や雑誌などを参考に非常によくまとめられていて、かかりつけ薬剤師制度も”family pharmacist guidance fees”として紹介されている(まあ実態は微妙だけど) |
2017.04.10 | 2016年 海外情勢報告 (厚労省 2017.3.24) |
海外の医療制度や社会保障制度などを紹介したもの。英国の薬剤師活動の紹介は今回も詳しい。
>薬剤師による処方、相談指導する場合の報酬の評価等、薬剤師の役割の見直しについても検討が進められ、薬剤師による処方が可能な薬剤の種類が増加、相談指導に係る報酬の評価基準も改訂され、薬剤師が様々な事項の相談にのることができるようになった |
2017年12月05日 23:10 投稿