2018年調剤報酬改定の見通し(Update)

 遅れましたが、今年もよろしくお願いします。

 10日の中医協で、これまでの議論の整理が示されました。

第382回中央社会保険医療協議会 総会(2018.01.10開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000189198.html

 10日、12日の中医協での議論を経て、最終的な骨子が示され、これに対するパブリックコメントが開始されています。(意見募集は19日まで)

「平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)」に関するご意見の募集について
(厚労省2018.01.12)
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20180112-01.html

平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/dl/p20180112-01a.pdf

 下記に、調剤関連の部分を抜粋しました。今日の議論を踏まえて、これらが改定の柱となります。

Ⅰ 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
Ⅰ-2 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価

(7) かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料について、服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導を行うかかりつけ薬剤師の取組を推進するため、同意取得時に薬剤師・患者双方のかかりつけ薬剤師の必要性の確認を要件とし、併せて同意取得の様式を整備する。

(8) 処方せん集中率が高い等の薬局であっても、かかりつけ薬剤師指導料等の一定の算定実績がある場合には、調剤基本料の特例対象から除く取扱いを見直す。

(9) 地域医療に貢献する薬局について、一定時間以上の開局や医薬品の備蓄品目数等に加えて、薬物療法の安全性向上に資する事例の報告や副作用報告体制の整備を要件とするほか、処方せん集中率が高い薬局等を含めて、夜間・休日対応等の地域支援の実績等を踏まえた評価を新設する。これに伴い、基準調剤加算を廃止する。なお、医療資源の乏しい地域の薬局については、当該地域に存在する医療機関が限定されることを踏まえ、調剤基本料の特例対象から除外する。

Ⅰ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

(21) 薬剤師、管理栄養士の訪問指導料について、単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直す。

(22) かかりつけ薬剤師による在宅対応を推進するため、無菌製剤室の共同利用などの評価を見直す。

Ⅱ 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実

Ⅱ-1-1 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価

(5) 内服薬である医療用麻薬のうち、がん疼痛療法に適応のあるものについて、
使用実態を踏まえて投薬期間の上限を見直す。

Ⅱ-1-6 感染症対策や薬剤耐性対策、医療安全対策の推進

(2) 薬剤耐性対策を普及し推進する観点から、以下のような見直しを行う。
① 地域包括診療料等及び薬剤服用歴管理指導料について、抗菌薬の適正使用に関する普及啓発に努めていること等を要件とする。

Ⅱ-1-8 薬剤師・薬局による対人業務の評価

(1) 薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用に係る取組を調剤報酬において評価する。

(2) 適切な薬学的管理・指導の推進の観点から、薬剤服用歴管理指導料について、適切な手帳の活用実績を要件とし、当該要件に応じた評価に見直す。

(3) 継続的な薬学的管理・指導等を推進するため、薬剤服用歴の記録に次回の服薬指導の計画を追加することなどを通じ、薬剤服用歴管理指導料等について評価を見直す。

(4) 重複投薬の防止等の薬学的管理を推進する観点から、重複投薬・相互作用等防止加算等について、残薬調整に係るもの以外の評価を見直す。

(5) 医療機関の求めに応じた、調剤後の患者の服薬状況の継続的な把握と医療機関との共有を推進するため、服薬情報等提供料の評価を見直す。

(6) かかりつけ薬剤師による在宅対応を推進するため、無菌製剤室の共同利用などの評価を見直す。(Ⅰ-5(22)再掲)

(7) 対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料の評価を見直すとともに、対人業務に係る薬学管理料を充実させる。

Ⅲ 医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進

(3) 常勤の薬剤師に係る週当たりの勤務時間の要件について、育児・介護時の例外的な取扱いを調剤報酬において明確化する。

Ⅳ 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化
Ⅳ-2 後発医薬品の使用促進

(1) 薬局における後発医薬品調剤体制加算等について、新たな政府目標を踏まえ評価を見直す。

(3) 一般名処方加算について、一般名による処方が後発品の使用促進に一定の効果があるとの調査結果等を踏まえ、より一般名による処方が推進されるよう、評価を見直す。

Ⅳ-6 医薬品の適正使用の推進

(3) 向精神薬の多剤処方やベンゾジアゼピン系の抗不安薬等の長期処方の適正化推進のため、向精神薬を処方する場合の処方料及び処方せん料に係る要件を見直す。また、向精神薬の多剤処方等の状態にある患者に対し、医師が薬剤師と連携して減薬に取り組んだ場合の評価を新設する。

(4) 薬剤耐性対策を普及し推進する観点から、以下のような見直しを行う。(Ⅱ-1-6(2)再掲)

  1. 地域包括診療料等及び薬剤服用歴管理指導料について、抗菌薬の適正使用に関する普及啓発に努めていること等を要件とする。
  2. 小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料について、抗菌薬の適正使用に関する普及啓発に努めていること等を要件とするとともに、抗菌薬の適正使用に資する説明を行った場合の評価を新設する。

(5) 医療機関と薬局の連携による医薬品の適正使用を推進するため、長期処方や残薬に係る疑義照会についてその取扱いを見直す。

(6) 上記に加え、長期処方に係る分割指示の取扱いを見直す。

(7) 薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用に係る取組を調剤報酬において評価する。(Ⅱ-1-8(1)再掲)

Ⅳ-7 備蓄の効率性や損益状況等に応じた薬局の評価の推進

(1) 医薬品の備蓄の効率性や医療経済実態調査結果における損益率の状況等も踏まえ、大型のいわゆる門前薬局等に対する評価を適正化する観点から、現行の処方せん受付回数及び現行の特定の医療機関に係る処方せんによる調剤割合に基づく調剤基本料の特例対象範囲を拡大する。

(2) 医薬品の備蓄の効率性や医療経済実態調査結果における損益率の状況等も踏まえ、特に大型のいわゆる門前薬局の評価を更に適正化する。

(3) (1)及び(2)と同様に医薬品の備蓄の効率性も考慮し、いわゆる同一敷地内薬局の評価を適正化する。

(4)薬価調査が適切に実施される環境整備を図るため、現在検討中の「流通改善ガイドライン」を踏まえ、初診料、再診料及び調剤基本料等の未妥結減算に係る報告に併せて、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況の報告を求めるなどの見直しを行う。(Ⅰ-4(4)再掲)

Ⅳ-8 医薬品、医療機器、検査等の適正な評価

(4)④ 血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)の使用実態等を踏まえ、保険給付の適正化の観点から、必要な対応を行う。

1月12日15:30更新(タイトルも変更)


2018年01月10日 13:46 投稿

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