広島県呉市は、後発医薬品の情報を国民健康保険加入者に通知することを決めたそうです。健保組合では、同様の通知を開始しているところもありますが、自治体(国保)ではおそらく初めてだと思います。同市では、2008年度当初予算案に関連事業を含め約4600万円を計上、7月にも通知を始めるとのことです。
各紙によれば、呉市の国保加入者は人口の約1/3を占める約92,000人で、通知の対象は慢性疾患などで長期間処方されている薬に後発品がある場合だけのようです。
健保組合では、NTTデータ社などがすすめているサービスを利用しているようですが、呉市の場合も、“レセプトを電子データ化→後発医薬品と照合→後発医薬品があれば、削減できる金額などを示した通知書を加入者に送付→加入者は薬局で通知書を提示し後発薬への切り替えを求める”というもので、おそらく自前のシステムではなくNTTデータのシステムかもしれません。
中国新聞によれば、今回同市が情報通知に踏み切った背景には、財政の厳しさがあるところに加え、団塊世代の大量退職などによる加入者の増大で国保運営の厳しさが増しているためだとしています。地元足利市でも、14日の下野新聞で国保税の引き上げについての記事が掲載されており、ひとごとではないかもしれません。(足利市の場合は、後期高齢者医療制度の開始で高齢者約15,000人が同制度へ移行、国保税の税収が大幅に減ることも引き上げ理由に挙げているそうです)
呉市では、医師会、薬剤師会などで準備組織を既に設置し、医師会と薬剤師会が後発薬の選定作業もすすめているとのことですが、2006.4.7のTOPICSでも指摘したように、このような情報提供は、こういったシステムに頼らなくとも薬局でも可能ではないでしょうか?。
今回の調剤報酬の改定で「医療費削減のために積極的に取り組んだ薬局・薬剤師には、国から報酬が出る」仕組みは一応できましたが、薬局をさらに活用する仕組みをつくれば、自治体や健保組合が無駄な出費を抑えることも可能だと思うのですが。
関連情報:TOPICS 2006.04.07 『ジェネリック医薬品促進通知書』提供サービス
NTTデータ社などが行っている通知書(例)〜東京広告業健康保険組合WEBサイト
http://www.adkenpo.or.jp/member/info/tsuchisho.pdf
参考:
47NEWS2月15日
http://www.47news.jp/CN/200802/CN2008021501000472.html
中国新聞2月14日
http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200802140269.html
2月16日 0:30掲載
2008年02月16日 00:30 投稿