緩和ケア普及のために必要な対策(日医調査)

 日医はこのほど、全国の臨床の現場にいる医師が、現状のがん緩和ケアをどのような認識でいるか、さらに今後何を必要と考えているかなどについて尋ねた「がん医療における緩和ケアに関する医師の意識調査」(今年1月〜2月に実施)の調査結果を公表しました。

 この調査は、日医のすべての診療所医師94,224名、および精神科のみの病院を除く7,807病院の医師173,299名の合計267,523名を対象におこなわれたもので、97,961名(回答率36.6%)から回答が得られています。

「がん医療における緩和ケアに関する医師の意識調査」報告書(日本医師会2008年3月)
   http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20080903_3.pdf

「がん医療における緩和ケアに関する医師の意識調査」報告書まとまる
   (日本医師会 白クマ通信 2008年9月5日)
   http://www.med.or.jp/shirokuma/no1000.html

 調査結果によれば、麻薬の取り扱いの説明、手続き、管理が困難だとして、がん診療を行っている診療所の医師でも約30%が麻薬免許を有していないと答え、がん患者に疼痛緩和のために医療用麻薬が必要となった場合には、病院に受診や処方を依頼しているケースが少なくないと分析していまあう。

 また、緩和ケア普及のために有効な課題について尋ねたところ、患者・家族向けの相談窓口や対応が困難な苦痛を和らげる専門治療を行う医療機関の存在などの他、緩和ケアについてよく知っている医師以外の職種(看護師・薬剤師など)を増やすことなどが優先順位として高いことが示されています。

 報告書では、麻薬管理の手続きの簡略化の検討の必要性を指摘するとともに、緩和ケアに関する相談に乗ることのできる医師、看護師、薬剤師などを養成したうえで、症状緩和などで困ったときに専門家にいつでも相談できるシステム(地域単位での緩和ケアチーム)づくりなどが必要だとしています。 

関連情報:TOPICS 2008.09.08 薬剤師は、多職種との協働を模索すべきである


2008年09月16日 20:35 投稿

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