第1回医療情報化に関するタスクフォース

　TOPICS 2010.05.11 で、政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部（IT戦略本部）が「新しい情報通信技術戦略」をまとめ、近い将来おくすり手帳も電子化されるかもしれないした記事を掲載しましたが、実現に向けてのかなり具体的な案が、8日開催された医療情報化に関するタスクフォースの第1回会合で示されています。

高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
医療情報化に関するタスクフォース（2010年9月8日開催）
資料：http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/iryoujyouhou/dai1/gijisidai.html

　このタスクフォースでは、今後下記の点についてヒアリングや調査等が行い、来年の2月までにとりまとめが行われます。

1.「どこでもMY 病院」（自己医療・健康情報活用サービス）構想の実現

以下の事項につき、調査・検討を実施する。

1. 医療・健康情報の帰属及び取扱いについて
2. 自己医療・健康情報活用サービスの運営主体について
3. 医療・健康情報の電子化方策について
4. 医療機関から個人への電子情報の提供形態について
5. 情報に応じた適切なセキュリティレベルについて

2.シームレスな地域連携医療の実現

　以下の事項につき、調査・検討を実施する。

1. 二次医療圏を基本とした地域連携ネットワークで取り組む対象疾病について
2. 在宅に於ける医療と介護の共有すべき情報について
3. 二次医療圏を超えた地域連携ネットワークについて
4. 遠隔医療の推進に関する進捗状況について
5. 死亡時画像診断（Ai)の推進に関する進捗状況について

3.レセプト情報等の活用による医療の効率化

　医療の効率化に資するレセプト情報等の利活用のあり方について、医療情
報の適切な管理の在り方も含め、調査・検討を実施する。

4.医療情報データベースの活用による医薬品等安全対策の推進

　医療情報データベースの活用による医薬品等安全対策に関する進捗状況に
ついて、医療情報の適切な管理がどのように行われているかも含め、調査・
検討を実施する。

　このタスクフォースの会合は非公開であるため、議事要旨が出るまでは議論の中身はわかりませんが、資料を見る限り、調剤情報については、現在処方せんに記されれているQRコードを患者さんが携帯電話で読み取り、それを自身で自身の健康データを管理するサーバーにアップし、さらにこのデータを患者さんや医療関係者が必要に応じて取り出すというシステムの導入を目指しているようです。（携帯電話にとりこんだ情報も患者自身がおくすり手帳のように活用することができそう）

資料５－１：「どこでもMY病院」構想の実現説明資料
資料５－２：「どこでもMY病院」構想のタスクフォースにおける検討課題について

　おそらく、医科で患者さんに渡している明細書や検査や検診データなども電子化を想定した標準化を行った上で同じように今後QRコードされ、患者がそれを入手するという仕組みがとられるようです。

　実績があり、費用もあまりかからないので、サーバーやセキュリティの問題がクリアができれば、おそらく実現までの期間は短いのではないかと感じました。

　また、「シームレスな地域連携医療の実現」の資料も結構衝撃を受けました。

資料６－１：「シームレスな地域連携医療の実現」説明資料
資料６－２：「シームレスな地域連携医療の実現」のタスクフォースにおける検討課題について

　将来的には処方せんの電子化に結びつく事項なのですが、上記資料を見る限り、地域医療連携の中に薬局がほとんど位置付けられていない点は大いに心配です。

　特定の医療機関との連携だけではなく、地域の基幹病院や複数の医療機関との連携を模索し、実践していかないとこういった枠から薬局が外されてしまう可能性があるのではないかと改めて感じました。

　また、地域連携パスでの地域薬局の関わりの少なさもこの構想から外されることを非常に懸念します。

　これらが本当に実現するかは懐疑的な部分もありますが、私は今回ばかりはおそらく10年以内には実現し、活用されていくのではないかと考えます。

　以前の記事で指摘しましたが、これが実現すればかかりつけ薬局の必要性が高まると同時に、大学病院や地域の基幹病院の周りに乱立する門前薬局の存在意義も問われるような気がしてなりません。（地元の究極の門前薬局、10年後は大丈夫だろうか？）

関連情報：TOPICS
　　2010.05.11　2013年にもおくすり手帳は電子化される？
　　2010.08.05　「地域医療連携体制の構築と評価に関する研究事業」報告書

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2010年09月15日 02:19 投稿