なかなか医系メディアが取り上げないので記事にしました。
米FDAは16日、妊娠中の約20週以降に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用すると、胎児にまれではあるが深刻な腎臓の問題を引き起こす可能性があるとして、使用制限を呼びかけています。
【米FDA 2020.10.16】
Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs (NSAIDs): Drug Safety Communication – Avoid Use of NSAIDs in Pregnancy at 20 Weeks or Later
https://www.fda.gov/safety/medical-product-safety-information/nonsteroidal-anti-inflammatory-drugs-nsaids-drug-safety-communication-avoid-use-nsaids-pregnancy-20
【米FDA 2020.10.16】
FDA recommends avoiding use of NSAIDs in pregnancy at 20 weeks or later because they can result in low amniotic fluid
https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-recommends-avoiding-use-nsaids-pregnancy-20-weeks-or-later-because-they-can-result-low-amniotic
今回の注意喚起は、子宮の中でクッションのように働き、胎児の肺、消化器系、筋肉の発達を助ける羊水について、妊娠約20週頃から胎児の腎臓によって生成されるが、NSAIDsの影響によって影響を受け、羊水の生成が少なくなる懸念があるためです。
専門家の間では以前から知られている懸念ですが、さまざまなNSAIDsが市販されていることから、今回の発表になったものと思われます。
発表での具体的な注意喚起の内容は以下の通りです(原文でご確認下さい)
- 医療専門職は妊娠20〜30週へのNSAIDの処方を制限し、妊娠30週間以降の処方は避けることを推奨(心臓の問題を引き起こす可能性がある)
- NSAID治療が必要であると判断された場合は、使用を可能な限り最少で短期間の使用にとどめること
- NSAIDによる治療が48時間を超える場合は羊水の超音波モニタリングを検討し、羊水過少症が見つかった場合はNSAIDを中止する
- 妊娠20週以降の妊娠中のNSAIDの使用は、羊水過少症、場合によっては新生児腎機能障害につながる胎児腎機能障害を引き起こす可能性がある
- なお、医療専門職の指示の下で、妊娠中の任意の時点で特定の妊娠関連状態での81mgの低用量アスピリンの使用は除外される
- 妊娠中の女性は、医療専門職からの特別の指示がある場合を除き、妊娠20週以降はNSAIDsを使用しないで下さい
現在日本では、医療用・一般用ともに、妊娠後期(妊娠28~40週)については禁忌になっていますが、理由は胎児の動脈管収縮リスクで今回とは異なります。
日本では、NSAIDs配合のOTC風邪薬や解熱鎮痛薬は多くあるので販売時には留意が必要となります。
また、米FDAでは今回、点眼薬は除外としていますが、日本においては、大量・長期の貼り薬の使用についても留意する必要があるかもしれません。
胎児の深刻な腎臓の問題を引き起こす可能性があるとして、米FDAは、妊娠約20週以降のNSAIDの使用を避けるよう勧告
【USATODAY 2020.10.16】
Pregnant women should not take ibuprofen after 20 weeks, FDA says. It could harm the baby’s kidneys. https://t.co/xT9VsSVzJA— 小嶋 慎二@アポネット (@kojima_aponet) October 17, 2020
2020年10月20日 00:22 投稿