濫用等のおそれのある医薬品の成分指定に係る研究(2024厚生労働科学研究)

2024年委実施された医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究の報告書がアップされました

濫用等のおそれのある医薬品の成分指定に係る研究(現時点では未アップ)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/177774

先行して、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部HPにアップされました
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/index.html

各成分の依存性や乱用につながる精神作用性などに関する情報を収集・整理し「濫用等のおそれのある医薬品」の指定範囲に関する見解案を作成した

報告書全文
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/24KC2005.pdf

全国29施設から報告された294症例について検討
患者の平均年齢は29.1歳、女性が71.4%を占めた
製品の具体名も例示

(分担研究1)(p19-)
全国の依存性専門医療機関を受診する患者における市販薬乱用の実態に関する研究
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/24KC2005.pdf#page=22

有効成分
ジヒロドコデイン 55.1%
 エスエスブロン錠、パブロンゴールドA、新ルル

デキストロメトルファン 34.7%
 メジコンせき止めPro、新コンタック、エスエスブロン液L

ジフェンヒドラミン 17.7%
 レスタミン、ドリエル

ブロモバレリル尿素 15.3%
 ウット、ナロン錠

アリルイソプロピルアセチル尿素 7.1%
 イブ、ロキソニンSプレミアム、新セデス錠、バファリンプレミアム

カフェイン製剤 3.4%
 エスタロンモカ

乱用時の使用量(平均)は
 エスエスブロン錠 50.6錠
 パブロンゴールドA 63.2錠
 ナロン錠 21.8錠
 メジコンせき止めPro 37.9錠
 新コンタック錠 29.0錠
 レスタミン 84.6錠

乱用される製品には「ブランド嗜好性」があることが明らかになった

SNSなどのインターネットを乱用の情報源とし、「幻覚がみえる」という効果を期待しているといった臨床的特徴もみられた

日本中毒情報センターに問い合わせのあった市販薬の意図的摂取の事故を集計解析することにより、事故発生状況を明らかにした

(分担研究1)(p59-)
市販薬の意図的摂取に関する問い合わせの集計及び解析業務(委託)
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/24KC2005.pdf#page=62

意図的摂取の問い合わせ件数が多かったもの

162件 エスエスブロン錠
79件 イブA錠
75件 メジコンせき止め錠Pro
67件 バファリンA
58件 エスタロンモカ錠
53件 レスタミンコーワ糖衣錠
48件 新ルルA錠s
44件 パブロンゴールドA〈錠〉
30件 ウット

学術文献により、その主成分の薬理作用、中毒症状または薬物依存性等を調査し、それらの情報をまとめた

(分担研究2)(p99-)
乱用等のおそれのある医薬品の追加候補となる薬剤に関する文献的調査
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/24KC2005.pdf#page=102

デキストロメトルファン
アリルイソプロピルアセチル尿素
ジフェンヒドラミン
カフェイン
コデイン
ジヒドロコデイン
メチルエフェドリン
ブロモバレリル尿素
エフェドリン
プソイドエフェドリン

について調査検討

あSNSでの書き込みで不適正使用されていると推察される市販薬の販売名の把握し、上位5品目についてさらに解析

(分担研究3)(p127-)
ソーシャル・ネットワーキング・サービスを情報源とするテキストマイニングおよび予防啓発に関する研究
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/24KC2005.pdf#page=130

研究班ではこれらを踏まえ次のような見解をまとめています

濫用等のおそれのある医薬品の成分指定に対する見解案

  1. デキストロメトルファン及びジフェンヒドラミンは、数多くの市販薬症例、意図的摂取による中毒情報の報告があり、乱用に伴う健康被害を文献上でも確認できることから、直ちに「濫用等のおそれのある医薬品」として指定すべきである
  2. カフェインは、依存症としての症例報告は限られているが、意図的摂取による中毒情報の報告や、心電図異常の出現などが報告されていることから、何らかの販売規制が必要である
  3. アリルイソプロピルアセチル尿素は、国際的に医薬品として使われておらず、乱用に伴う健康影響に関する情報が乏しいが、国内の依存症専門医療機関からは一定数の症例が報告された
    すでに「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されているブロモバレリル尿素も含めて、医薬品として承認の妥当性についても検討していくことが必要と考えられる

2025年04月15日 16:31 投稿

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