薬機法改正案が衆院厚労委を通過(Update)

4月16日、衆議院厚生労働委員会が開かれ、政府提出の薬機法改正案が賛成多数で可決されました。

採決後、附帯決議の動議が出され、こちらも賛成多数で可決されました。

法案の実質の審議は短い時間でしたが、9日開催の厚生労働委員会での野党から出された質疑や要望について、付帯決議に反映されたように思います。

またこの質疑や要望を後押した方々の尽力も大きかったと思います。

参議院での審議もありますが、今後はこの附帯決議を踏まえて、どのような省令案が示され、どう運用するかにかかっています。

16日午後に付帯決議がアップされています(記事更新)

項目13~は地域薬局や薬剤師の関連事項です。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

第217回国会閣法第15号 附帯決議

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一 製造販売業者等の薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令を発出するに当たっては、事業者の経営権にも十分に配慮し、事業者が自律的に役員体制の見直しを行えるようにあらかじめ必要な指導を徹底すること。また、役員の変更命令を発出する場合の判断の考え方や手順をあらかじめ公表すること。

二 後発医薬品業界の再編を進めるに当たっては、業界の自主的な取組を促すだけでなく、個々の後発医薬品企業が、その経営状況、製造能力及び品質管理等について第三者による評価を受ける枠組みを新たに検討するなど、客観的な外部の視点を織り込んで着実に再編を推進すること。また、令和六年度補正予算によるモデル事業の成果も踏まえ、令和八年度中に品目統合による生産効率化の進展、産業力の強化等の観点から具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、令和十二年度末までの後発医薬品製造基盤整備基金設置期間中の後発医薬品業界の再編の取組を加速化させること。

三 後発医薬品製造基盤整備基金による支援を始めとした、本法に規定する医薬品の安定供給のための措置の実施状況を踏まえ、医薬品の供給不足が解消されない場合は、後発医薬品の産業構造や薬価の見直しを含め、医薬品の安定供給のための措置を検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

四 条件付き承認に当たっては、承認後に行う検証的臨床試験の内容及び臨床試験成績に関する資料を提出する期限等を可能な限り具体的に定め、正当な理由なく期限内に検証的臨床試験によって有効性及び安全性が確認できなかった場合には承認取消し権限を適切に行使すること。

五 本改正は条件付き承認制度を米国の迅速承認制度と同様の制度とすることを目指すとされているが、米国の迅速承認制度によって承認された抗がん剤には、承認から五年以内に延命効果やQOL(生活の質)の改善を示せなかったものがあると指摘されていることを教訓に、条件付き承認制度の適切な運用を図ること。

六 条件付き承認制度によって承認された医薬品等については、市販後の安全対策を強化することが必要であり、承認に当たっては、強化する市販後安全対策の内容を具体的に定めること。また、安全対策には医薬品副作用被害救済制度における情報も活かすこと。

七 医薬品の添付文書に、条件付き承認制度によって承認された医薬品であることや承認の条件を明記し、患者にも十分な情報提供を行うこと。

八 条件付き承認制度によって承認された医薬品等により副作用被害を受けた場合は、医薬品副作用被害救済制度によって迅速な救済を行うとともに、医薬品副作用被害救済制度の対象となっていない抗がん剤の扱いについては引き続き検討していくこと。

九 医薬品等の有効性及び安全性の評価において最も信頼性の高い方法は、比較臨床試験であること、薬事承認申請に際して添付する資料を定めた一般規定である本改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第十四条第三項等の「品質、有効性及び安全性に関する資料として厚生労働省令で定める資料」は、原則として、臨床試験の試験成績に関する資料であることに変わりがないことを改めて確認すること。

十 リアルワールドデータは臨床試験に完全に代わるものではなく、薬事承認におけるリアルワールドデータの利活用には、適合性及び品質が適切なレベルで担保されたデータベースの構築とリアルワールドデータの利点と限界を十分に踏まえた基準の確立等が必要であり、引き続きリアルワールドデータの利活用のための適切な基盤の構築に努めていくとともに、リアルワールドデータのみに基づく薬事承認は慎重に検討すること。

十一 革新的医薬品等実用化支援基金について、創薬環境の整備に資する事業に対して適切な支援が透明性をもって行われるよう、対象事業に関する基準の策定、対象事業の認定及び認定取消し等を適正に行うとともに、基金の執行状況について定期的に公表すること。

十二 「「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」中間とりまとめを踏まえた政策目標と工程表」に基づき、成果目標の実現に向けて、関係府省が一丸となって必要な施策・事業の推進を確実に行うこと。

十三 処方箋なしでの医療用医薬品の販売についていわゆる零売規制の具体的な運用を定める厚生労働省令やガイドライン等の策定に当たっては、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の積極的なOTC化推進及び薬剤師との相談を通じて患者が主体的に医薬品を選択・購入するセルフメディケーション推進の政策方針に逆行することがないよう留意し、処方箋の交付を受けた者以外の者に対して医療用医薬品の販売が認められる「やむを得ない場合」の範囲・運用については、国民の医薬品へのアクセスを阻害しないよう十分に配慮すること。

十四 前項の運用については、本改正以前より零売を行ってきた薬局等が、国民の医薬品へのアクセスに一定の役割を果たしていることも考慮し、過度な指導や規制により営業継続が困難となることのないよう、必要最小限かつ合理的な規制措置にとどめること。

十五 医療資源の効率的な活用を図る観点から、セルフメディケーションの社会的意義について国民への周知啓発を推進し、地域の医薬品供給体制の多様性と安定性の確保に努めること。

十六 国連女子差別撤廃委員会の勧告を尊重し、緊急避妊薬の全国の薬局での恒久的な販売について、面前服用を始め、年齢制限、親の同意、価格などのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する自己決定権)に関する諸課題について、これまでヒアリングやパブリックコメントでしか意見を聴いてこなかった当事者、とりわけ若い世代の意見を代表する者を検討の場に参画せしめること。

十七 リフィル処方箋の利用状況に関する実態調査を行い、利用が進まない理由を把握するとともに、患者と医療機関の負担軽減、医療費の抑制、医師の業務負担軽減等のリフィル処方箋利用のメリットについての周知・広報に努めることにより、リフィル処方箋の更なる利用促進に取り組むこと。

十八 地域における薬局の役割・機能を更に整理・明確化し、国民にわかりやすいものとするとともに、地域に必要な役割・機能を持つ薬局に対し、適切に診療報酬上の評価を行うこと。

十九 薬学教育を受けた薬剤師の専門性を有効活用するため、プライマリ・ケアへの更なる薬剤師の関与を検討し、必要な措置を講ずること。また、薬剤師の更なる専門性向上のため、養成課程における教育内容、生涯にわたるキャリア形成の在り方、ふさわしい処遇等について検討を行い、必要な措置を講ずること。

【衆議院・委員会ニュース 2025.04.16】
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/kourou5A89C5134451C2B749258C6E0004183E.htm

【厚労省】
第217回国会(令和7年常会)提出法律案
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/217.html

関連情報:TOPICS
  2025.04.16 薬剤師職能の活用を(衆院厚労委質疑)

2026年4月16日17時50分更新


2025年04月16日 14:44 投稿

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>