論文・報告あれこれ 2025年4月

しばらくお休みにしていましたが、気が向いたときにときどき再開します。来月以降も継続できるかどうかはわかりません。この期間に投稿していたものも盛り込みました。

他サイトではあまり紹介されていないものを中心に、ちょっと気になった論文や報告、発表などをピックアップしました。気になったものは独立記事に するかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。必ずしも最近アップされたものとは限りません。(特にJ-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間 過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります)

★更新することが多いので、2013年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
04.17 閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題―新たな症候群の確立について―
(日本肥満学会・女性の低体重/低栄養症候群ワーキンググループ)
低体重や低栄養が原因で生じる骨密度の低下や月経周期異常など、さまざまな症状や体調不良を示す女性の健康状態を、新たな症候群として確立する必要があるとした提言
04.15 地域包括ケアシステムの資源としての民間企業と連携した多様な高齢者の「居場所」の利活用のあり方に関する調査研究事業
(令和6年度 老人保健健康増進等事業)
事例集で、西宮市の白澤薬局、行田市のウエルシア薬局の取り組みが紹介
04.12 Food sweeteners: Angels or clowns for human health?
Curr Res Food Sci. 2025 Mar 12)
甘味料の定義と分類、使用によるヒトの健康への影響についてレビュー
04.12 Community-level social capital and polypharmacy among public assistance recipients in Japan: A multilevel cross-sectional study
SSM Popul Health. 2025 Mar 20)
生活保護を受けている成人の69.5%は、6種類以上の経口薬を服用
地域社会における高齢者の市民参加を促進することが、生活保護受給者のポリファーマシーの解決に役立つ可能性がある→関連厚生労働科学研究(報告書未アップ)
04.12 Community pharmacists’ role in optimising antibiotic use: The HAPPY PATIENT project to improve dispensing practices in five EU countries
Res Social Adm Pharm. 2025 Mar 22)
フランス、ギリシャ、リトアニア、ポーランド、スペインEU5か国の地域薬局で行われた共同研究
抗菌薬の適正使用を最適化するパートナーとして、地域薬局の可能性が示された
04.11 Associations of medical outcomes with substances involved in suicide attempt cases age 50 and older reported to U.S. Poison Centers, 2016-2023
Front Public Health. 2025 Mar 26
医療従事者は、抗うつ薬や鎮静薬を処方されている高齢者の自殺リスクの兆候を評価し、認識するための研修を受ける必要がある
04.11 地域連携薬局・専門医療機関連携薬局が地域で果たすべき機能に関する調査研究
(2023厚生労働科学研究)
認定されている地域連携薬局(約3900薬局)、専門医療機関関連薬局(約170薬局)における地域における他の医療施設との連携およびその具体的活動の実態を明らかにし、今後、地域において認定薬局がどのような機能を果たすことが望まれるかを調査
2023年度は調査票の作成のとどまった
04.11 薬局における口腔の健康維持・増進を推進する薬剤師対象教育プログラムの開発および地域住民を対象とした口腔の健康サポート事業の有用性評価
(2023厚生労働科学研究)
健康サポート薬局に勤務する健康サポート薬局研修修了薬剤師が地域住民の口腔の健康維持・増進に介入することの、歯科健診率改善効果を検討
04.09 Repository of National Essential Medicines Lists (nEMLs)
(WHO)
世界各国で策定された必須医薬品リストのポータル。日本はなぜか「基礎的医薬品」のリストが紹介
WHOプレスリリース
04.09 Use of carbamazepine during pregnancy: Growth risks for babies
(Medsafe 2025.04.09)
最近の観察研究によると、妊娠中のカルバマゼピンの使用は、在胎週数に対して小さい赤ちゃんが生まれたり、小頭症になったりするリスクを高める可能性があることが明らかになった
04.09 How can pharmacist remuneration systems in Europe contribute to generic medicine dispensing?
Pharm Pract (Granada). 2012 Jan;10(1):3-8.)
ほとんどのヨーロッパ諸国における薬剤師の報酬は、1品目あたりの固定報酬と、医薬品の取得価額または納入価額の一定割合の組み合わせで構成されている
04.09 Analysis of the impact of removing mucolytics and expectorants from the list of reimbursable drugs on prescription rates: a time-series analysis for France 1998-2010
(Health Policy. 2011 Oct;102(2-3):159-69)
2006年3月に、去痰薬などが保険償還の対象から外されたフランスでの措置が、代替薬 (他の気管支拡張薬、鎮咳薬、抗菌薬) の処方、および公的健康保険のコストに及ぼす影響を評価
04.06 医療機関・薬局の低密度エリアにおける医薬品供給の実態と流通コスト分析
(2023厚生労働科学特別研究)
流通不採算の発生が深刻化し、一部の品目で出荷調整が長期化する中、流通不採算の実態を数量的に把握し、その深刻度を明らかにした
関連記事(日本経済新聞2025.04.06)
04.05 薬名類似に起因する薬剤誤処方の傾向分析―薬剤師による誤調剤事例との比較―
(医薬品情報学 26(4) p178-185,2025)
慶応大の研究。薬局ヒヤリ・ハット事例から、薬剤名の類似性に起因する処方ミス234件と調剤ミス152件が抽出された
04.05 長期薬物治療患者におけるリフィル制度に関する意識調査
(医薬品情報学 26(4) p198-207,2025)
東薬大の研究。利用率が低い理由と今後の展開を推測するため、6か月以上継続して薬物治療を受けている患者を対象にリフィル制度に対する意識をWEB調査リフィル制度を利用したくない理由について、自由記述では次のような意見があった・制度を使うと病院側の利益が減る面が想像できるため、利用したくても医師には言い出しにくいと感じる
・制度が変わっても医師がそれを拒むような診療をしている。そういった問題点をどこに訴えればいいのか
04.03 Developing an Ecotoxicological Classification for Frequently Used Drugs in Primary Care
Int J Environ Res Public Health. 2025 Feb 16)
広く使用されている医薬品を生態毒性、つまり水生生態系への危険性に基づいて分類、一般的に処方される医薬品(特に抗菌剤やNSAIDs)が、水生生物多様性に不可欠な魚、藻類、細菌の健康に重大な影響を及ぼすことが明らかになった→EurekAlert!
04.02 Recognizing Pharmacists’ Expanding Role in Canadian Healthcare
(Léger 2025.04.02)
カナダ各州の薬剤師の役割の拡大についての概要を紹介したもの
04.01 アルファカルシドールからエルデカルシトールへの変更が血清Calcium(Ca)値と腎機能に及ぼす影響
(YAKUGAKU ZASSHI 145(4) p351-357,2025)
<エルデカルシトールを新たに開始または変更した場合、血清Caレベルを2週目以内に測定する必要がある
04.01 これまでの議論のまとめ(在宅医療における薬剤提供のあり方について)
(厚労省 2025.03.31)
唯一とりまとめが難航していたもの。理想論ばかりが並んでいるが、薬剤師が関わらなくてもすむこと、できないことをしっかり線引きする必要があると思う。臨時的な対応」が必要な状態に至ることがないように、「地域医薬品提供体制のためのアクションリスト(仮称)」を策定される予定

最終更新日:2025年4月19日

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