日薬雑誌の9月号を見ていたら49ページに、7月24日に行われた薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の模様が紹介されていました。これを見ると、厚労省は一般用医薬品のリスク区分の見直しには消極的であることがうかがえます。
部会では、コデインと小児用風邪薬の問題が取り上げられ、コデインについては、日病薬の堀内委員が、「諸外国において、授乳婦がコデインを服用した場合の、乳児のモルヒネ過剰摂取の危険性や死亡例が報告されている。薬剤師が購入者にこうした情報を提供する必要性から、リン酸コデインについては第二類ではなく第一類にすべきではないか。」と指摘したのに対して、厚労省の事務局は、「リスク区分の変更については、安全対策と連携をとりつつ、柔軟に対応していきたい」と回答に留まったそうです。
また、小児用風邪薬の問題についても、日薬の生出委員がグアイフェネシンを第三類に指定することについて、「米国FADほか諸外国で本年1月以降に『2歳未満の乳幼児には原則使用しない』措置がとられている。第二類とすることが適当ではないか」(個人的には、鎮静作用のある全て抗ヒスタミン剤について、第二類を指定第二類にすべきと発言すべきだったと思います)と述べたのに対し、厚労省の事務局は「リスク区分は添付文書の記載に基づいて判断している。生出委員ご指摘の点については、その後『使用上の庄意の改訂』を行っており,今後こうした状況を踏まえ,リスク区分の変更が検討されることになる」と説明したそうです。
どうも、厚労省はリスク分類の変更は影響が大きいと見えて、なるべく行いたくないという立場のようです。海外では、たとえ自国の研究報告でなくても、問題が指摘された場合には、速やかにきちんと情報発信や注意喚起をしていますが、厚労省はからの情報発信はかなりのタイムログがあります。
現在、指定第二類に関するパブリックコメントが実施されていますが、こうなると本当に見直しをするのか疑いを持たざるを得ません。
一方、日薬や病薬もこういった場で指摘するのも大事ですが、ホームページなどを通じて社会にもっとアピールしてもよいのではないでしょうか?(海外の薬剤師会ではやってますよ)
つい最近でも、小児風邪薬2歳未満の用法を有する一般用かぜ薬・小児用(内用)、鎮咳去痰薬(内用)、鼻炎用内服薬について、[用法及び用量に関連する注意]の項に 「2歳未満の乳幼児には、医師の診療を受けさせることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させること。」を追記するよう、厚労省は製薬企業に対し使用上の注意の改訂指示を行っています(TOPICS 2008.07.05)が、日本OTC医薬品協会や日薬は一般向けに対し未だアピールしていませんね。私はこういったこと姿勢も、厚労省のリスク分類の見直しを消極的にしていると思えてなりません。
関連情報:
2008.09.17 薬事法施行規則等に関するパブリックコメント
2007.08.18 コデイン服用後の有害事象は遺伝子の型によって左右される
2008.08.25 子ども用OTC風邪薬、さらに規制強化か(米国)
2008.04.09 抗ヒスタミン剤、2歳未満は処方せんが必要(豪州)
2008年09月21日 21:55 投稿
10月23日、議事録が公開されています。(資料はすでに掲載されています)
議事録:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/txt/s0724-2.txt
資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/s0724-5.html
日本における一般用のかぜ薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬についての使用上の注意の改訂(TOPICS 2008.7.5)について、次のようなやりとりがありました。
○倉田雅子委員
今のところで、このように一般用医薬品が注意の改訂になったときに、私ども一般の者にはどのようにして伝わってくるのでしょうか。既に市販されているものもあって、このように変わるわけですから、そうすると回収されることになるのですか。
○安全使用推進室長
既に販売されたものについては回収という話はありませんが、新たに出荷するものからは、このような使用上の注意が記載されたものが、添付文書として箱の中に入ったものが流通するということです。ただ、箱を開けないと分からないということではなくて、外箱にも、買う際に分かるようにこういった記載をするような指示も併せて行っております。また、販売に当たって、当然今回の改訂については、日本薬剤師会をはじめ、こういった対応をしたことを現場でも説明していただくように、併せてお願いをしております。
未だ、現場では対応がされていないのですが・・・・