調剤外部委託化による薬剤師の対人業務強化と地域活動参画への影響とは?

京大の経営管理大学院の方の研究で興味深いです。

薬剤師が捻出された時間を対人業務強化に取り組む意識を持ち合わせているか、全国規模のインターネット調査を実施し、調剤の外部委託化が薬剤師の業務にどのような影響を及ぼすのか、調剤の外部委託化の有効性を分析。
(Xに1月12日に投稿したものを再構成しました)

【実践政策学 9(2) p163-176,2023】
調剤外部委託化による薬剤師の対人業務強化と地域活動参画への影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ppseb/9/2/9_163/_article/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ppseb/9/2/9_163/_pdf/-char/ja

調剤業務の外部委託化が有効であることを示唆した一方で、次のような点を指摘している

  • 改正が整い、捻出された時間を薬剤師が高い確率で対人業務に取り組むことが主目的であるが、薬剤師の臨床現場では人不足のため残業対応も多く、休暇取得意思の強い薬剤師が多くみられ、調剤の外部委託化の本来の意図が反映されない懸念が存在している。
  • 今後の調剤報酬改定において、調剤料が大幅圧縮されることになれば、調剤の外部委託化は加速度的に進む可能性がある。
  • その分の原資が、かかりつけ薬剤師指導料などの対人に関わる報酬に回らず、調剤報酬全体が圧縮の方向性となれば、薬局開設者は薬剤師の人員削減に動くことが経営上考えられる。
  • 今後はこれらの診療報酬も絡めた経済的な問題解決が必要となる。
  • 更には、薬剤師は対人に力を入れ、患者や地域住民の QOL 向上に寄与しなければ支持が失われることとなる。
  • 調剤の外部委託化により薬剤師の対人業務の体制強化が整った場合、患者や地域住民の希望に沿った薬剤師の行動についての示唆が必要。

さらっと読んでみて、改めて「対人業務」とは何なのかを考えさせられました。

調査項目には、取り組みたい患者サービスの選択肢として本来業務であるはずの、セルフケア/セルフメディケーション支援といった項目はなく、一般の認識はこんなものなのかと改めて思い知らされました。


2025年04月22日 12:11 投稿

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