親が使用するミノキシジルに子どもが触れることは危険

日本でも発毛や育毛、脱もの進行予防に使われているミノキシジル外用液ですが、あるオンラインニュースが目に留まりました。(Xに2024.12.06に投稿したものを再構成しました)

【Techinsight japan 2024.12.06】
【海外発!Breaking News】親の薄毛・脱毛治療薬が皮膚や口から吸収、乳幼児11人が狼男症候群を発症(スペイン)
https://japan.techinsight.jp/2024/12/ac12051624.html
https://news.livedoor.com/article/detail/27710861/

記事によれば、親が使用するミノキシジルが、乳幼児の皮膚や口などを通じて体内に吸収、それによって乳幼児が「狼男症候群(多毛症)」を発症したケースが欧州で2023年以来、11件確認されたとのこと。

そこでソースを検索・確認したところ、EMAのファーマコビジランス・リスク評価委員会(PRAC)が警告文を盛り込むよう勧告を既に出していました。

【EMA 2024.08.13】
Minoxidil (topical formulation): CMDh scientific conclusions and grounds for variation, amendments to the product information and timetable for the implementation
https://www.ema.europa.eu/en/documents/psusa/minoxidil-topical-formulation-cmdh-scientific-conclusions-grounds-variation-amendments-product-information-timetable-implementation-psusa-00002067-202310_en.pdf

ミノキシジル(外用剤)のPSURに関するPRAC評価報告書を考慮すると、科学的結論は以下の通りである

自発的な報告から得られた、ミノキシジルの不注意な外用曝露後の小児における多毛症に関する利用可能なデータ(いくつかのケースでは密接な時間的関係、ポジティブなde-challengeを含む)を考慮すると、PRACは、ミノキシジル(外用剤)の使用と不注意な外用曝露後の乳幼児の多毛症との間の因果関係は、少なくとも合理的な可能性であると考える。

PRACは、ミノキシジル(外用剤)を含む製品の製品情報を適宜修正すべきであると結論づけた。

ミノキシジル外用剤の誤飲に関する利用可能なデータを考慮し、PRACは、ミノキシジル(外用剤)を含む製品の外箱および直包装を適宜修正すべきであると考える。

製品特性の概要に以下の警告を追加すること:

ミノキシジルへの不注意な局所曝露による小児の多毛症:

ミノキシジル外用剤を使用している患者(介護者)のミノキシジル塗布部位への皮膚接触により、乳児に多毛症が発生した症例が報告されている。

多毛症は、乳児がミノキシジルにさらされなくなると、数ヵ月以内に可逆的であった。

したがって、小児とミノ​​キシジル塗布部位の接触は避けるべきである。

パッケージ リーフレットへの表記

ミノキシジル外用剤を使用している患者 (介護者) のミノキシジル塗布部位に皮膚が接触した後、乳児の体に過剰な毛が生える症例が報告されています。

乳幼児がミノキシジルに触れなくなると、数ヶ月以内に毛髪の成長は正常に戻りました。

ミノキシジルを塗布した体の部位に子供が触れないように注意が必要です。

ミノキシジル外用剤を使用している期間中に、子供の体に過剰な発毛が見られる場合は、医師に相談してください。

こちらの記事によれば、ミノキシジルへの偶発的な曝露による乳幼児の全身性多毛症の発生は「深刻」だと伝えています。

Alerta máxima en padres que usan minoxidil para la calvicie: detectan 11 casos de ‘síndrome del hombre lobo’ en bebés
(Lecturas 2024.12.02)
https://www.lecturas.com/diario/alerta-maxima-padres-que-usan-minoxidil-para-calvicie-detectan-11-casos-sindrome-hombre-lobo-bebes_166896

文献を検索したところ、両親が 5% および 7% の局所用ミノキシジルを使用したことが原因で重度の多毛症を呈した 3 人の乳児の症例も報告されていました。

Severe hypertrichosis in infants due to transdermic exposure to 5% and 7% topical minoxidil
(Dermatol Ther. 2020 Nov;33(6):e14230)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dth.14230

本邦で発売されているリアップの使用上の注意を確認しましたが、保管及び取扱い上の注意に「小児の手の届かない所に保管してください」の記載はありましたが、こういった潜在的リスクは書かれていませんでした。

【PMDA添付文書情報】
リアップ
https://www.info.pmda.go.jp/ogo/J0601007666_07_01
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/J0601007666_07_A.pdf


2025年04月24日 10:38 投稿

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