Avandia、EUは撤去・USは厳しい使用制限へ(Update)

 欧州医薬品庁(EMA)と米FDAは23日、心臓血管病のリスクが指摘されているチアゾリジン系糖尿病治療薬のアバンディア(Avandia、一般名:rosiglitazone。Avandamet、Avaglimの合剤も含む)について、EUではリスクがベネフィットを上回るとして市場からの撤去(承認の取消)が勧告、そして米国では厳しいアクセスの制限が発表され、アバンディアは市場からの大幅な撤退を余儀なくされそうです。

European Medicines Agency recommends suspension of Avandia, Avandamet and Avaglim~Anti-diabetes medication to be taken off the market
(EMA Press Release 2010.9.23)

Questions and answers on the suspension of rosiglitazone-containing medicines (Avandia, Avandamet and Avaglim)(EMA 2010.9.23)

FDA significantly restricts access to the diabetes drug Avandia
Makes regulatory decisions on RECORD and TIDE trials
(FDA Press Release 2010.9.23)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm226975.htm

Q&A: Avandia (rosiglitazone)(FDA 2010.9.23)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/
PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm226976.htm

Avandia (rosiglitazone): REMS – Risk of Cardiovascular Events
(FDA 2010.09.23)
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/
SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm226994.htm

  23日はもともと、EMAの医薬品委員会によるレビューの結果が発表される日だったのですが、米FDAでも23日、ラベルの変更などの制限下で販売の継続を認めるとした、諮問委員会の結論(TOPICS 2010.07.15)に沿った従ったアクセスの制限が発表されました。(同時発表はたまたま? EMAの方針発表後だと、FDAへの判断に批判が集まるから?

 今回の発表により、EUでは数ヶ月以内に流通の停止、そして米国では、アバンディアを使用する場合には、「医師は患者の適格性を証明し、それを文書化しなければならない」とし、また患者に対しては「改めて心臓血管病のリスクがわかるまで理解してもらう」ことが必要となるということなので、相当厳しいアクセス制限といえます。(REMS:Risk Evaluation and Mitigation Strategy といいい、実際の運用には数ヶ月かかるそうです)

 FDAはQ&Aで、「他の治療法でコントロールができない人にとってベネフィットが心臓血管病のリスクを上回る。そういった状況下で使用するかどうかの判断は医療専門職にある。また、リスクを知った上で継続使用を望む人もいる。」としていますが、果たしてそれまでして使用するメリットがあるのかなあ?

 NEJM 誌のPerspectiveには、「膀胱がんの既往歴があって、ピオグリタゾンを使わないことを決める人もいる」といったことが書かれている(TOPICS 2010.09.18)ので、治療のオプションとして残したいのでしょうね。

Regulatory Action on Rosiglitazone by the U.S. Food and Drug Administration
NEJM  Perspective Topics 2010.09.25)
http://healthpolicyandreform.nejm.org/?p=12698

 おそらく、こういった厳しい制限下では米国でもほとんどアバンディアを使う人がいなくなるでしょうから、事実上市場からの撤退を勧告されたともいえなくはありません。

 インクレチン関連の治療薬が台頭しつつあるなか、ピオグリタゾン(アクトス)を含めたチアゾリジン系治療薬は今後どうなっていくのでしょう?

関連情報:TOPICS
  2010.07.15 Avandia販売継続支持もさらなる慎重使用必要(FDA諮問委)
  2010.09.24 ピオグリタゾンと膀胱がんの発症リスク(米FDA)

参考:F.D.A. to Severely Restrict the Diabetes Drug Avandia
    (New York Times 2010.9.23)
    http://www.nytimes.com/2010/09/24/health/policy/24avandia.html

9月24日 11:50更新 12:40更新(タイトルも変更)


2010年09月24日 02:25 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    日本語訳概要が、下記ページに掲載されています

    公的規制機関医薬品安全性情報 Vol.8 No.21
    http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/20101014.pdf