保護者の約65.5%が子どもの残み残しの再利用を容認(国内研究)

日本における小学校就学前の6歳未満の子どもの主な保護者を対象とした横断研究

保護者の属性、子どもの属性、急性期薬の残薬処理の実際、慢性期薬の残薬処理の実際、短期期薬の残薬処理の実際、抗生剤の残薬処理の実際、外用薬の残薬処理の実際、残薬に対する態度について、8つの領域と40の質問項目を作成した(Xに2024.10.25に投稿したものを再構成しました)

【Biol Pharm Bull. 2024;47(10):1690-1698】
Public Knowledge and Attitude of Caregivers Regarding Leftover Medications for Children under 6 Years of Age in Japan: A Descriptive Study on a Nationwide Exploratory Questionnaire Survey to Caregivers
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/47/10/47_b24-00475/_html/-char/ja

WEB調査に協力した3046人のデータを解析

慢性疾患のある小児の保護者のうち、慢性疾患の薬を服用している小児の57.4%が残薬があると回答。残薬の保管期間は1週間以内が最も多く、全体の49.7%を占めた。残薬の理由は「保護者の判断による服薬中止」(53.1%)が最も多く、次いで「薬物療法の変更」(23.8%)であった。

花粉症やインフルエンザなどの短期服用薬について、68.7%が残薬があると回答。短期服用薬の残薬理由として最も多かったのは「親の判断による服用中止」で、88.0%であった。そして、このうち3.6%は30日以上薬を保管していた

があった。回答者のうち26.6%が「子どもの緊急時に必要」と再利用をしたことがあると回答、さらに、兄弟、両親、および子供の友人に抗生物質を投与したという回答もそれぞれ8.7%、7.9%、3.2%あった。

また、処方後の抗生物質の保管期間は、「1~6か月間」が34.7%、「1週間~1か月間」が27.9%であった。さらに、1年以上保管した抗生物質を再利用したという回答も6.8% あった。

家庭に残った薬を置いておくことについて尋ねたところ、「子どもの緊急時に必要だから良いとは思わない」が44.1%と最も多かった一方、「子どもの緊急時に必要」と考える人も約26.8%いた。
残った薬の再利用に関する意識については、「不適切である」と回答した人が34.5%であった一方、「症状が類似している場合、保護者の判断で同一の子供に使用してもよい」回答した人が約31.5%、同様の症状がれば、保護者の判断で兄弟間での再利用を許容する人が9.1% いた。

今回の調査では、保護者のの約65.5%が、一定の範囲内であれば残薬の再利用は許されると考えていた。

これは、医薬品の適切な取り扱いに関する一般的かつ基本的な知識が普及していないためと考えられる。

家庭で薬が残ってしまう主な理由は、ほとんどの保護者が薬の服用を忘れてしまうことであり、時には子どもがすでに眠ってしまっていることもあった。

そのため、子どもたちの緊急時のために、残った薬を保管していた。

薬の保管理由もfuture use(同じような症状があればまた使いたい)など、EU諸国で観察された理由と類似している。

これは、保護者の意識から理解できる部分もあるが、保護者への教育が必要であり、特に緊急時には医師による正確な診断が重要であることを強調する必要がある。

また、飲み残しの薬を使用することは症状を覆い隠し、子どもの健康に悪影響を及ぼす可能性があることを理解する必要がある。

一方で、約60%の保護者は、薬剤師による残薬の回収を容認している。

不適切な薬物使用、特に残薬を減らすための取り組みとしては、薬剤師の介入、薬剤廃棄袋(茶色い袋)の提供、金銭的インセンティブなどがある。

飲み残しを残しておくことは不適切な使用につながるが、薬剤師による取り組み、特に小児の薬に関する取り組みは、飲み残しの再利用による害を部分的に減らすことができる。


2025年04月27日 14:29 投稿

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