ビタミンEと肺がんリスク

 抗酸化サプリメントの摂取と健康リスクとの関連が次々と明らかになっていますが、ワシントン大学の研究グループは、喫煙者がビタミンEを高用量で摂取すると肺がん発症のリスクが高まるとした研究結果をAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 誌に発表しています。

Long-Term Use of Supplemental Multivitamins, Vitamin C, Vitamin E, and Folate Does Not Reduce the Risk of Lung Cancer
  (Am J Respir Crit Care Med 2008; (177),524-530)
  http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/177/5/524

 この研究は、総合ビタミン剤、ビタミンC、ビタミンE、葉酸を日常的に摂取している、ワシントン州在住の50〜76歳の男女約77,000人を4年間追跡調査したもので、これらサプリメントに肺がんを発症する予防効果が認められなかった一方、毎日400mgのビタミンEを10年間摂取したグループでは肺がんの発症リスクが28%増加、また喫煙者が高用量摂取した(1日摂取が215mg以上)グループでは、肺がんの発症リスクが59%高まるとしています。

 以前の研究で、同じ抗酸化物質であるβカロチンの摂取が喫煙者の肺がんリスクを高めるとする報告がありましたが、今回もまた抗酸化サプリメントはがん予防にはならないばかりか、がんリスクを高めるリスクがあるという結果が示されました。

 研究者らは、ビタミンEには抗酸化作用があるが、高用量になると酸化促進作用があるのではないかとして、喫煙者が肺がん予防にこれらビタミンEサプリメントを摂取することは推奨できないとする一方、禁煙と果物の摂取の方ががんの予防になるとしています。

関連情報:TOPICS 2007.03.02 抗酸化サプリメントが寿命を縮めるかもしれない

参考:Vitamin Supplements Found Ineffective Against Lung Cancer
      (MedPage TODAY 2008.2.29)
     http://www.medpagetoday.com/Pulmonary/LungCancer/tb/8555
    Vitamin E linked to lung cancer(BBC NEWS 2007.2.29)
     http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/7271189.stm
    Vitamin E linked to lung cancer(AP 2007.3.1)

3月4日 0:40掲載


2008年03月04日 00:40 投稿

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