まいけるさんより情報提供を頂いています(TOPICS 2010.07.26 コメント)が、厚労省は12日、医療用のケトプロフェン外用剤(クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、貼付剤)の添付文書の改訂指示を行っています。
使用上の注意改訂情報(平成22年10月12日指示分)(PMDAウェブサイト)
ケトプロフェン外用剤については、光線過敏症などの有害事象が有名ですが、今回の改訂は欧州医薬品庁が今年7月22日行ったアナウンス(TOPICS 2010.07.26)を受けて8日に行われた、平成22年度第6回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会での検討結果を受けて行われるものです。
資料:平成22年度第6回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会
(2010年10月8日開催、厚労省10月13日掲載)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000tv0u.html
資料7-1 ケトプロフェン外用剤に関する調査報告書(PDF:775KB)
上記資料によれば、ケトプロフェン全剤型の国内副作用は、1986年の販売以来2010年5月まで、皮膚障害について4252例4352件の報告があり、そのうち光線過敏症は2028例2028件(うち重篤症例は47例47件)だったそうです。
[禁忌]の項の「チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート及びオキシベンゾンに対して過敏症の既往歴のある患者」の記載を
「チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート並びにオキシベンゾン及びオクトクリレンを含有する製品(サンスクリーン、香水等)に対して過敏症の既往歴のある患者」
と改め、「光線過敏症の既往歴のある患者」
を追記し、
[重要な基本的注意]の項の光線過敏症に関する記載を
「光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、本剤塗布部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数ヵ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに本剤の使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。また使用後は手をよく洗うこと。」
(手洗いについては、クリーム・ゲル・ローション剤のみ)
と改め、
[適用上の注意]の項に新たに「使用方法」として
「使用後、手をよく洗うこと。」
を追記する。(クリーム・ゲル・ローション剤のみ)
とのことです。
一方、一般用についてですが、1997年の販売開始以来2010年6月まで、皮膚障害の副作用は全剤型合計538件786例で、うち光線過敏症は28例28件(重篤症例は2例2件。パップ剤ではなし)だったそうです。
資料7-4 新一般用医薬品の製造販売後調査報告書(PDF:357KB)
資料7-1の報告書によれば、一般用医薬品については、国内における光線過敏症の副作用報告は少なく、現時点では販売を中止する状況にはないとする一方、医療用医薬品についての検討結果を踏まえ、下記のような従来以上に消費者に浸透しやすい形で注意喚起を行う必要があるとしています。
- 使用上の注意改訂についての販売店等への情報提供
- 製品個装箱表示におけるピクトグラムのサイズ位置等の変更
- 光線過敏症の注意喚起についての消費者への情報提供
資料7-2 ケトプロフェン外用剤(一般用)の安全対策案(企業提出資料)(PDF:886KB)
添付文書の変更は、医療用に準じた内容に加え、「妊婦又は妊娠していると思われる人」「15歳未満の小児」がしてはいけないことに追記され、禁忌となっています。
資料7-1の報告書により、一般用医薬品については、国内における光線過敏症の副作用報告は少ないとして、調査会では指定第二類にリスク区分の変更で同意したのですが、ケトプロフェン外用剤の一般用医薬品市場のシェアをあまり大きくないはずで、報告数ももって少ないと結論づけるのは疑問が残ります。(第二類にリスク分類が変更されれば、多くのメーカーが参入しシェアも拡大する)
個人的には、ケトプロフェン外用剤にこれだけ情報提供や使用前の確認が必要な事項が増えていることを考えると、やはり処方せん医薬品にするか、第一類にリスク区分を変更すべきと思います。
関連情報:TOPICS 2010.07.26 ケトプロフェン外用剤は処方薬とすべき(欧州医薬品庁)
参考:【薬食審安全対策調査会】一般用「ケトプロフェン外用剤」の継続販売を合意
(薬事日報 HEADLINE NEWS 10月13日)
http://www.yakuji.co.jp/entry20848.html
10月13日 17:20更新 14日 22:20更新
2010年10月13日 15:22 投稿
8日開催の安全対策部会安全対策調査会の資料が掲載されたので、資料を基に記事も更新しました。
添付文書の改訂の理由となるレビューを公表したことは評価したいと思います。
1月26日公表の医薬品・医療機器等安全性情報275号で、安全対策についてまとめられています。
ケトプロフェン外用剤による光線過敏症に係る安全対策について
http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/276-1.pdf