ビスホスホネート製剤による骨折リスクを追記(米FDA)

  TOPICS 2010.03.11で、ビスホスホネート経口剤による不定型非定型大腿骨転子下骨折のリスクの可能性についての米FDAのアナウンスを紹介しましたが、13日FDAは、不定型非定型大腿骨転子下骨折(Atypical subtrochanteric femur fractures)及び大腿骨骨幹部骨折(Diaphyseal femur fractures)の発症リスクについて、ラベルに追記すると発表しました。

FDA: Possible increased risk of thigh bone fracture with bisphosphonates
(FDA NEWS RELEASE 2010.10.13)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm229171.htm

Safety update for osteoporosis drugs, bisphosphonates, and atypical fractures
(FDA Drug Safety Communication 2010.10.13)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm229009.htm

 ラベルの変更が行われるのは骨粗鬆症の適応がある、Fosamax, Fosamax Plus D, Actonel, Actonel with Calcium, Boniva, Atelvia 及びこれらのジェネリック品(内服・注射)で、パジェット病や悪性腫瘍時の高カルシウム血症で用いられる、Didronel, Zometa, Skelid 及びこれらジェネリック品は今回の変更の対象外だそうです。

 FDAでは、不定型非定型大腿骨転子下骨折や大腿部骨幹部骨折は全ての大腿部骨折のうちの1%未満であるとしながらも、患者に対し、股関節部や大腿部に新たな痛みを感じるようになったら、医療専門職に相談するよう呼びかけています。

Possible Fracture Risk With Osteoporosis Drugs
(FDA Consumer Updates 2010.10.13)
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm229127.htm

 一方、医療専門職に対しては、改訂した Medication Guide を投与を受けた患者さんに渡すことを求めた他、次のような勧告を行っています。

  • 医療専門職は、ビスホスホネート製剤を使用している患者さんに不定型非定型大腿骨転子下骨折や大腿部骨幹骨折が起こる可能性があることを知っておく必要がある
  • 患者とビスホスホネート製剤を使用することのベネフィットとリスクについて話し合いなさい
  • 患者が大腿部や鼠径部の痛みを新たに訴えた場合は、これらの骨折ではないかどうかを評価しなさい
  • 大腿部骨幹骨折(femoral shaft fracture)が認められる人には、ビスホスホネートなど骨吸収抑制作用のある薬剤(potent antiresorptive)の使用はやめなさいい
  • 5年以上使用している患者へのビスホスホネート製剤の継続使用は、必要性についてに定期的に再評価を行うこと

関連情報:TOPICS
  2010.03.11 長期間のビスホスホネート服用と大腿骨の骨折リスク(米国) 
  2010.06.01 ビスホスホネート製剤の添付文書改訂を指示


2010年10月14日 13:47 投稿

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