自殺対策で薬剤師の活用は必要(参院厚労委)

 21日、参議院の厚生労働委員会が開かれ、国の自殺対策を取上げたみんなの党の川田龍平議員は、薬剤師の活用やリフィル処方せんの活用について質問しています。

川田龍平(みんなの党)(参議院厚生労働委員会10月21日)
(参議院インターネット審議中継、19分30秒~25分40秒)
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 川田議員は、厚労省のPT(プロジェクトチーム)がまとめた施策(TOPICS 2010.9.10)を取上げ、次のように質問しています。

 9月9日にPTがまとめた、過量服薬へのとりくみでは、薬剤師の活用という項目がありますが、どのように薬剤師を活用していこうと考えているのでしょうか。

 薬局では、患者さんの薬歴管理やお薬手帳の確認などによって、複数の医療機関から処方されている服用薬のチェックができることになってはいますが、現場での話をうかがうと、どれだけ実効力があるのか不安に感じます。

 例えば、民主党の事業仕分けで、薬剤服用歴管理料を止めてしまうということになれば、薬局によっては薬歴管理をしないところもでてくるのではないでしょうか? さらに過量服薬のチェックも難しくなるでしょう。

 また仮に十分に機能していないものを活用しようというのは、無理があるのではないでしょうか? 自殺予防のための総合的なプログラムを考えるのなら、薬剤師へのメンタルヘルスに対する卒後教育も重要となります。

 (中略 富士市のモデル事業に言及した答弁)

 過量服薬の背景には、医師より過量な処方というのも問題もあると思います。1回の処方で自殺ができるくらいの量を漫然と処方することは必ずしも合理的なものとはいえません。もちろん必要性があって処方している場合もあるのでしょうが、だとすれば少なくとも手元に過量服薬による不測な事態が起こらないよう、薬が残らないよう配慮する必要があると考えています。

 例えば、今年3月にまとめられた「チーム医療の推進について(チーム医療の推進に関する検討会 報告書)」でリフィル処方に言及していますが、明らかに処方量が多い処方せんの場合には、リフィル処方せんという仕組みを利用して、過量投与とならない範囲の日数で区切って調剤するという考え方もあります。

 リフィル調剤時に薬剤師が患者の状態を判断して、かかりつけ医に行くべきかどうかのアドバイスをするなどの方法もあるのではないでしょうか。

 地域医療連携を駆使して、地域の医療職が一丸となって患者さんをケアしていかなければ、救える命を救っていくためには有効に活用する方策を考えていただきたいと思います。

(以下略 レセプトの活用などに言及) 

 残念ながら、答弁では具体的な活用策や方策まで踏み込みませんでしたが、薬剤師のゲートキーパー役への期待をにじませています。

 国会という場で、本サイトで問題提起していることを代弁してもらったような気がして心強い限りです。

 とにかく、日薬は国会でこういったやり取りが行われているからには、薬剤師に自殺対策への関わりに期待が集まっていることをもっと会員に周知させること、とくに富士市の取組みは日薬のホームページ等で詳しく紹介すべきです。

 そして、改めて薬歴管理やお薬手帳の重要性や、リフィル処方の導入の意義を積極的に訴えていくべきです。(国民や他の医療職にこれらの必要性を理解してもらういい機会です。)

 まちかどセルフチェック(TOPICS 2009.02.15)もそうですが、どうして日薬は社会から期待されている独自活動に積極的取り組んだり、アピールをしていかないのでしょうか。

 在宅のようにフィーがつかないからですか? それとも医師会の顔色を見ているからですか? 

 関連情報;TOPICS
  2010.09.10 薬剤師は適切な医療に結びつけるキーパーソン(自殺対策PT)
  2010.05.29 地域薬局は自殺・うつ病対策のゲートキーパーとならないのか
  2010.03.23 チーム医療の推進に関する検討会 報告書
  2009.02.15 日薬、「まちかどセルフチェック」事業を全国に拡大か


2010年10月22日 01:26 投稿

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