公共の場を禁煙にすることによる成果(英国)

 英国では、2006年3月のスコットランド地域に続き、イングランド地域でも公衆の場での全面禁煙とした法律(禁煙法)が施行されて7月1日で1年となりました。英国保健省(Department of Health)では1日、禁煙法施行後の実施状況やバーの空気環境やバーで働く人たちの健康状況についてのレポートをまとめ、公表しています。

NEW REPORT SHOWS BENEFITS TO HEALTH(英国保健省プレスリリース2008.7.1)
  
 Smokefree England – one year on(英国保健省2008.7.1)
 Smoke-free bars 07(英国保健省2008.7.1)

 英国各紙は、数日前よりこのレポート他、別の研究や報告などを紹介し、他の禁煙法施行1年でどのように変わったかを伝えています。日本では共同通信のみがこれを伝えていますが、「飲み屋がつぶれる」といったネガフィブな点だけで、健康への影響についてはあまり伝えていません。以下に各紙が伝えた成果等について紹介します。

  • 建物や交通機関における実施率は98%
  • 導入前の9カ月では1.6%だった喫煙率の減少幅が、導入後の9カ月には5.5%に拡大した。
  • 2007年4月〜12月に、462,690人がNHSのサービスで禁煙支援を利用、このうちの半分以上の234,060人が4週間で禁煙を達成することができた。(これは前年比22%増)これにより、今後10年で40,00人の命を救うことができる。
  • COPDや喘息を持つ人(1000人以上を対象とした調査)の56%がたばこの煙を気にしないで、パブやレストランを利用できるようになり、また3人に2人が入院しないですむようになった。
  • スコットランド地域の9つの主要病院で心臓発作による入院が13%減少した。イングランド地域については期間がまだ短く、影響についての判断はできない。
  • バーで働く人の唾液中コチニンレベルが76%低下した(禁煙法施行前はバーで働く人は非喫煙者の6倍のたばこの煙を吸っていた)
  • 95%のパブやレストランが外気と同じようなレベルの空気環境となった
  • たばこの売上は6%減少した(税率は80%)
  • ニコチンパッチやニコチンガムの広告1,800万ポンドが投入された。
  • 政府は禁煙キャンペーンに600万ポンドを投入した。
  • 禁煙により平均6〜8kg増えたが、体重は維持された。
  • 自宅での禁煙率が61%から67%に上昇した
  • 喫煙者の80%以上は、ティーンエージャのときから吸っている。
  • 2007年には1409店のパブが店を閉めた。これは2006年の216店と比べ大幅に増加した

 今回の一連のレポートで公共の場での禁煙の意義の一定の証明が行われたといえます。が日本でも神奈川県が、公共の場での禁煙をすすめていますが、今後条例化に弾みがつくことは間違いないでしょう。

関連情報:TOPICS
    2008.06.16 神奈川県の公共的施設禁煙条例に賛否分かれる
    2008.02.09 世界各国のたばこ規制の取組み状況(WHO)      

参考:産経新聞6月30日(共同通信配信)
     http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080630/erp0806300842002-n1.htm
    中日新聞7月1日
     http://www.chunichi.co.jp/article/world/news/CK2008070102000247.html
  Puffed out: smokers quit in record numbers(Times Online 2008.6.30)
 http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/features/article4227318.ece
  Smoking ban ‘to save many lives’(BBC NEWS 2008.6.30)
      http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/7480856.stm
  Record numbers of smokers kick habit
    (guardian.co.uk 2008.6.29)
 http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/features/article4227318.ece


2008年07月01日 22:00 投稿

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