日本カトリック司教協議会常任司教委員会は2日、承認の検討が行われている緊急避妊薬「ノルレボ錠0.75mg」について、カトリック教会の教えに基づき、承認に反対する意見表明(パブコメに提出)を行ったと発表しています。
「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に関する意見
(カトリック中央協議会 2010年12月2日、リンクはしませんでした)
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/doc/cbcj/101202.htm
同協議会では、カトリック教会の教えに基づいて、ノルレボ錠の製造販売の承認については、次の3点から反対するとしています。
- 緊急避妊薬は積極的な中絶を目指している。
- 人工妊娠中絶は理性に従っても人間の生命尊重の義務に反する。人間は受精の瞬間から尊重すべきである。受精した可能性がある胚の着床を阻止するための緊急避妊薬は中絶であることが明らかである。
- 「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に反対し、医薬品製造販売承認が行われた場合は、その使用を避けることを呼びかける。
やはり出されたかという感がありますが、絶対反対というわけでもなさそうですね。少なくとも安易な使用につながらないような配慮は必要だと思います。(今回異例のブコメが行われたのも、こういった意見にも耳を傾けるという配慮でしょう)
くすりは元来、病気の治療や予防、生活の質の改善に用いられるものですが、今回の緊急避妊薬の他、経口堕胎薬のRU-486、経口避妊薬、排卵誘発剤、安楽死で使用される薬剤など、生命倫理に関わる場面で用いられるものもあります。
日本ではほとんど話題になることはありませんが、海外ではローマ法王の教えを守る敬虔なカトリック教徒の薬剤師がこれらの薬剤の調剤(販売)を拒否する場合があり、現在でも個人の信条を尊重しこれを認めるかどうかが論争になっています。
2007年10月にローマ法王Pope Benedict 16世 は、第25回 International Congress of Catholic Pharmacists で次のようにスピーチしています。
“all human beings are protected from conception to natural death, and so that medicines truly play a therapeutic role.”(独自訳:人は妊娠から死をまっとうするまで守られています。くすりは治療目的のみに使われるものです。)
どんなに薬理的にすばらしく有用な薬であっても、信仰や信条を理由に歓迎されない場合もあるのです。
くすりは常に社会とのつながりの中で存在しているということを認識させられます。
関連情報:TOPICS
2010.11.10 緊急避妊薬・ノルレボ錠承認に向けパブコメ開始
2010.11.27 緊急避妊薬・ノルレボ錠が第一部会を通過
参考:
日本カトリック司教協議会、緊急避妊薬の承認に反対(Christian Today 12月3日)
http://www.christiantoday.co.jp/society-news-1113.html
Pope warns pharmacists over ‘immoral’ drugs
~ Benedict urges Catholics to refuse to fill abortion, euthanasia prescriptions
(msnbc 2007.10.29、AP通信配信)
http://www.msnbc.msn.com/id/21535017/ns/world_news-europe
2010年12月03日 21:05 投稿