OTCアシクロビル軟膏を性器ヘルペス治療に転用?

 昨日、『薬剤師「失業時代」』という新聞広告につられて、経済誌ZAITENの2月号を見るためにとなりまちの書店まで行ってきました。

 薬剤師に関する記事は、マツキヨグループ(保険薬局協会と共同?)がこの春にも第2薬剤師会の設立を検討しているというのが目立った程度でしたが、さらにその先にあった、『大正製薬の人気薬「ヘルペシア」に浮上する“目的外”使用疑惑』という記事の方が目を引きました。

 簡単に紹介すると、OTCアシクロビル軟膏を、性器ヘルペスの治療目的で使用されているケースが散見されるというもので、そのため結構売れているらしいとのことです。

 医療用医薬品の適応症は、性器ヘルペスも含めた「単純疱疹」ということもあり、誤った使用ではありませんが、恥ずかしくて医者にかかりたくない人などが、薬局・薬店で使用目的を偽って購入、自己判断で試しに使うという光景が思い浮かびます。こういった情報はネット上で交わされているらしく、メーカーや厚労省もその実態を把握しているようです。

 雑誌の記者らは、実際にヘルペシア軟膏をあるドラッグストア?で購入を求めた(試買した)ところ、チェックシートを用いた確認は行われず、簡単に買えたとしています。ここでも、第一類の販売が手順が十分に徹底されていないことが明らかにされてしまいました。

 厚労省の担当者は、「日本ではセルフメディケーションが育たないのか」と嘆くと共に、薬事法施行前だとして守られない、第一類の販売方法の現状について強い懸念を示していました。

 やはり、第一類の販売に関する薬剤師向けの情報の不足(基本的に、商品を取り扱わないと入手できない。かといって、薬剤師会などの職能団体が作成しているわけでもない)と、販売手順の現場薬剤師への不徹底といった問題が改めて露呈されてしまいました。

 また、OTCは必ずしも効能・効果通りに使われるわけではないという現状を思い知らされました。OTCメーカーは承認をとりやすいように、適応症を限定させたり、使用を制限するなどを行っていますが、今日はインターネットなどの情報社会であり、さまざまな目的で使用される可能性があるということを、私たちは肝に銘じておく必要があるでしょう。

 英国では薬局で、性感染症など“Sexaul Health”の分野での情報提供が行っていますが、こういった成分がスイッチされたのであれば、日本でも検討する必要があるかもしれませんね

関連情報:TOPICS 2008.12.28 第一類の販売には、販売実践ガイダンスの開発が必要


2009年01月09日 01:21 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    アダルト情報が売りの夕刊紙WEB版が、この問題を取り上げています。

    性行為感染症の闇 アブない“隠密”自主治療疑惑が浮上
     (内外タイムス 2008.1.26 リンク切れしたらごめんなさい)
     http://npn.co.jp/article/detail/87389179/

    この記事でも、性器ヘルペス治療目的での購入・使用の可能性を指摘しています。

    また、ZAITENと同様に首都圏の複数のドラッグストアで試買したところ、また薬剤師によるチェックは、いずれでも受けなかったとしています。

    本剤を性器ヘルペス治療目的に販売することはあってはいけませんが、こういった性感染症の正しい知識をもつことは必要ではないかと考えます。